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欧州における10ハロン路線の中核を成す一戦であると同時に、過去10年の凱旋門賞1・2着馬20頭のうち6頭の前走がこのレースで、凱旋門賞(G1・フランス)の前哨戦としても見逃せない戦いとなる。
昨年に続くこのレース連覇を狙っての出走となるのが、オーギュストロダンだ。G1・6勝という堂々たる戦績を誇る一方で、まるで別馬のような凡走も幾度となく見せてきた同馬。前走のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(G1・イギリス)では1番人気を裏切り5着に敗れた彼が、これまで何度も見せてきた惨敗後の鮮やかな復活劇をここでも演じることができるかどうかが、今年のアイリッシュチャンピオンステークスを占う最大のポイントとなる。前走後の調整はすこぶる順調と伝えられており、レパーズタウンはここまで2戦2勝と相性の良いコースだ。おそらくは3頭以上を出走させてくるA.オブライエン勢にあって、主戦のライアン・ムーアがこの馬に騎乗予定というのも心強い材料である。良馬場なら、復活があると筆者はみる。
今年の欧州における3歳世代は、水準が高いとみる関係者が多い。3歳・古馬混合戦が始まって以降、エクリプスS、ファルマスS、サセックスS、ナッソーS、英インターナショナルS、ヨークシャーオークスといったG1で3歳世代が勝利を収め、このうちナッソーSでは上位4頭を、英インターナショナルSでは上位3頭を、3歳世代が占める結果となっている。
ここで3歳世代の筆頭格と見られているのが、エコノミクスだ。今年5月にヨークで行われた、英ダービー(G1・イギリス)へ向けた代表的前哨戦ダンテS(G2・イギリス)を6馬身差で圧勝した同馬。ところが英ダービーは未登録で、追加登録を行っての参戦もなかった。約3か月の休みを挟んで出走した、8月15日にドーヴィルで行われたギヨームドルナノ賞(G2・フランス)も2馬身差で快勝している。
前々走のエクリプスS(G1・イギリス)、前走の英インターナショナルS(G1・イギリス)がいずれも3着と、堅実な成績を残しているゴーストライター、愛ダービー(G1・アイルランド)勝ち馬で、レパーズタウンの10ハロン戦(愛ダービートライアルS)でも勝利をあげた実績のあるロスアンゼルスらも、侮れない3歳勢だ。
ここに日本から挑むのがシンエンペラーである。純度の高い欧州血統の持ち主である彼にしてみれば、デビュー7戦目にしてようやく、本領を発揮できる舞台で走ることができるのがこの一戦だ。ただし大目標は3週間先にあり、結果よりは内容を重視してレースぶりを見守りたいと思う。
1959年(昭和34年)東京生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の制作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬を学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。
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