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モスターダフ/オーギュストロダン
2頭のセレクションは奇しくも、ここが現役最後の一戦になる公算が大きい、ヨーロッパ調教馬2頭となった。
1番手には素直に、ロンジンワールドベストレースホースランキングでイクイノックスに次ぐ第2位タイの評価を受けているモスターダフを挙げたい。アスコットのプリンスオブウェールズS(G1・イギリス)やヨークの英インターナショナルS(G1・イギリス)で見せたレースぶりは鮮やかで、乾いた馬場の2000メートル戦ならヨーロッパで図抜けた存在と見ている。サンタアニタの軽い馬場はこの馬向きだし、2400メートルの距離も充分に守備範囲にあるとみている。
ディープインパクト自身はアメリカで走ることがなかったが、もし走ることがあれば、瞬発力がモノをいう競馬が多いだけに、彼の一刀両断の切れ味が炸裂したはずだ。その直仔であるオーギュストロダンも、アメリカ適性は高いはずで、複数いる先行力のある馬を前に見る位置で競馬をし、4コーナーからアクセルを踏み出して優勝争いに加わるものと思う。今季に入ってイギリスに遠征した3戦のうち2戦で大敗しており、輸送への懸念がささやかれているが、現地入り後の同馬は元気である。
1959年(昭和34年)東京生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の制作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬を学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。
オネスト/モスターダフ
今年のブリーダーズカップ14レースの中で、最もスリリングな一戦がここだ。今年の英ダービー(G1・イギリス)の1・2着馬(オーギュストロダン・キングオブスティール)がいて、その両馬とも、前走で素晴らしい競馬を見せてくれての参戦となっているのである。そして、その2頭とも、サンタアニタの馬場に合いそうな馬だ。
しかし、私の本命はオネストである。まずは、3着となった前走・凱旋門賞(G1・フランス)におけるレースぶりが素晴らしかったこと。今季の始動が8月で、春から使い詰めできた馬たちに比べて、余力を残してこの一戦を迎えること。さらに、瞬発力があり、サンタアニタの馬場に向きそうなことなどが、この馬を推す理由である。
2番手は、ヨーロッパ調教馬として最高の実績を誇るモスターダフ。プリンスオブウェールズS(G1・イギリス)、英インターナショナルS(G1・イギリス)をいずれも素晴らしい競馬で制した後、凱旋門賞、英チャンピオンS(G1・イギリス)を回避し、フレッシュな状態でこの一戦に挑む。
2頭のセレクションには入らなかったが、日本からの遠征馬シャフリヤールが、サンタアニタでとても良い調教を見せていることを、ぜひ付記しておきたい。私はシャフリヤールも、馬券に絡めるつもりだ。(訳:合田直弘)
ワールドワイドな競馬日刊紙サラブレッド・デイリー・ニュースのヨーロッパ・パートの編集責任者。これまでも、サラブレッド・オーナー&ブリーダー、ペースメーカーホース&ハウンド、レーシングポスト、インサイドレーシング(オーストラリア)など、数多くの競馬および馬術関係出版物に寄稿している。 少数ながら馬も所有し、生産と競馬にも従事。夫は調教師のジョン・ベリーで、現在はニューマーケット在住。
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