今週の注目レース

ジャパンカップ(GⅠ)

東京競馬場 2400メートル(芝)定量 3歳以上オープン

出走馬情報

牡4歳

調教師:A.オブライエン(アイルランド)

  • 父:ディープインパクト
  • 母:Rhododendron
  • 母の父:Galileo
ここに注目!

時に大きく崩れることがあるが、2走前のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(G1・イギリス・芝2390メートル、5着)については、管理するA.オブライエン調教師が「公式発表のGood to Firm(良)よりも悪かった」と語ったように、馬場状態が影響したか。父譲りのトップスピードの高さが武器で、良馬場こそが本領発揮の舞台だろう。

アイルランド生まれのディープインパクト産駒。2歳時に制したフューチュリティトロフィーS(G1・イギリス・芝1600メートル)、3歳時の英ダービー(G1・芝2410メートル)、愛ダービー(G1・芝2400メートル)、愛チャンピオンS(G1・芝2000メートル)、ブリーダーズカップターフ(G1・アメリカ・芝2400メートル)、そして4歳となった今年6月のプリンスオブウェールズS(G1・イギリス・芝1990メートル)と3年連続、計6度のG1制覇を誇る。そのプリンスオブウェールズS後は7月のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(G1)こそ先行策から伸び切れずに勝ったゴリアットから11馬身半差の5着に終わったが、続く前走9月の愛チャンピオンS(G1)は差して、勝ったエコノミクスのクビ差2着に好走。改めてトップレベルの力を示した。

せん4歳

調教師:F.グラファール(フランス)

  • 父:Adlerflug
  • 母:Gouache
  • 母の父:Shamardal
ここに注目!

非常にハイレベルだったキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(G1・イギリス・芝2390メートル)を快勝。その後は、セン馬で凱旋門賞への出走資格がないこともあり、早くからジャパンカップに照準を合わせていた。9月に一頓挫あったことが気がかりだったが、前走でその不安は払拭した。

今年5月のエドヴィル賞(G3・フランス・芝2400メートル)を3馬身差で逃げ切って重賞初制覇。その後は遅い流れで行きたがり最後方まで下げた6月上旬のシャンティイ大賞(G2・フランス・芝2400メートル)が4着、同じく流れが遅く、折り合いに苦労する面が見られた同月下旬のハードウィックS(G2・イギリス・芝2390メートル)も2着に終わったが、続く7月のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(G1)では中団追走から直線であっさりと抜け出すと、最後は流す余裕を見せながら、のちに凱旋門賞馬となるブルーストッキングに2馬身1/4差をつけて優勝。G1初制覇を果たした。その後は9月のオイロパ賞(G1・ドイツ)をステップにして来日する予定だったが、脚の膿瘍で直前に回避。仕切り直しのレースとなった10月のコンセイユドパリ賞(G2・フランス・芝2200メートル)は不良馬場に加え他馬よりも2キログラム重い60キログラムの斤量をものともせずにG3・8勝のヘイミッシュに半馬身差をつけて優勝した。

牡4歳

調教師:S.シュタインベルク(ドイツ)

  • 父:Sea The Moon
  • 母:Frangipani
  • 母の父:Jukebox Jury
ここに注目!

強靱な末脚が最大の魅力。今年は6戦して2度崩れているが(4月のガネー賞、10月の凱旋門賞でともに9着)、この2戦はともに不得手な重馬場でのもの。度外視することも可能だろう。ここは良馬場を求めての参戦だ。

昨年のドイツ年度代表馬。昨年7月の独ダービー(G1・芝2400メートル)では後方追走から直線では外ラチ沿いを一気に伸びて優勝(管理するS.シュタインベルク調教師は女性調教師初の同レース制覇)。G1初制覇を果たした。その後、同年9月にはニエル賞(G2・フランス・芝2400メートル)も制したが、追加登録で臨んだ凱旋門賞(G1・フランス・芝2400メートル)は11着だった。今年はシーズン3戦目となった6月のバーデン経済大賞(G2・ドイツ・芝2200メートル)で差し切り勝ちを収めると、そこからバイエルンツホトレネン(G1・ドイツ・芝2000メートル)2着を経て向かった9月のバーデン大賞(G1・ドイツ・芝2400メートル)では、最後方追走から直線で外ラチ沿いを突き抜けて、G1・3勝馬ドバイオナーに1馬身1/4差をつけて優勝。2つ目のG1タイトルを手にしたが、続く凱旋門賞(G1)ではバーデン大賞で見せた末脚が影を潜めて、勝ったブルーストッキングから9馬身半差の9着に終わった。

日本ドウデュース

牡5歳

調教師:友道康夫(栗東)

  • 父:ハーツクライ
  • 母:ダストアンドダイヤモンズ
  • 母の父:Vindication
ここに注目!

推定上がり3ハロン32秒5という驚異的な末脚で天皇賞(秋)を制してGⅠ4勝目。昨年のジャパンカップは4着だったが、最高の過程で迎える今年はGⅠ連勝の期待が高まる。年内で引退の予定。その走りを目に焼きつけたい。

2022年の日本ダービー勝ち馬。前年には朝日杯フューチュリティSを勝ち、昨年は有馬記念を制覇、そして今年の天皇賞(秋)の優勝で、牡馬としてはグレード制導入後初となる2歳からの4年連続GⅠ勝ちという快挙を成し遂げた。改めて能力の高さを印象づけた前走は遅い流れのなか、これは届くまいというポジションから驚きの追い込み。既に年内での引退が発表されているが、末脚の爆発力は5歳秋となった今が最盛期ではと思える。最上の勢いを持って迎える今年は、4着だった昨年を超える結果を求めたくなるのは当然。日本ダービー制覇の舞台でGⅠ5勝目となるか、大注目だ。

日本チェルヴィニア

牝3歳

調教師:木村哲也(美浦)

  • 父:ハービンジャー
  • 母:チェッキーノ
  • 母の父:キングカメハメハ
ここに注目!

今年のオークス馬。秋華賞も勝利して世代トップ牝馬の地位を確固たるものにした。他世代との対戦は初めてだが、近年のジャパンカップは3歳牝馬の好走が目立つ。鋭い決め手はここに入っても通用するはずだ。

直線外から豪快な差し切り勝ちを決めたオークスとは異なり、秋華賞は好位直後の位置取りからしっかりと前が開くのを待っての抜け出し。強靭な末脚はもちろんのこと、落ち着いたレース運びから精神面の成長を感じさせるGⅠ連勝となった。今回は2歳時以来となる牡馬相手、しかも他世代の強豪ぞろいで一気の相手強化となるが、3歳牝馬はジャパンカップ出走のあった近5回で1着、2着、3着、6着、2着と好成績を残しており、しかもこれら5頭はいずれもオークス連対馬。2012年のジェンティルドンナ、2018年のアーモンドアイに続く3歳牝馬の優勝に期待が高まる。

日本スターズオンアース

牝5歳

調教師:高柳瑞樹(美浦)

  • 父:ドゥラメンテ
  • 母:サザンスターズ
  • 母の父:Smart Strike
ここに注目!

2022年の桜花賞、オークスを制した牝馬二冠馬。昨年のジャパンカップはイクイノックス、リバティアイランドに次ぐ3着だった。ここはドバイシーマクラシック(G1・UAE・芝2410メートル、8着)以来だが、改めてその実力を見直したい。

一昨年のオークス以来勝利に手が届いていないが、昨年は大阪杯2着、ヴィクトリアマイル3着、ジャパンカップ3着、有馬記念2着と距離も競馬場も問わず活躍。これらの実績だけでも名牝の域に達していると言っていいだろう。今年初戦のドバイシーマクラシック(G1)8着でデビュー以来継続していたオール3着以内の成績が途切れることとなったが、急遽の乗り替わりがあってもので、参考外でいいのではないか。そのUAE遠征以来だが、帰厩後は間断なく乗られて11月14日の1週前追い切りでは美浦Wコースでラスト1ハロン11秒3という鋭さを見せた。昨年同様、好勝負できる態勢にある。

日本ジャスティンパレス

牡5歳

調教師:杉山晴紀(栗東)

  • 父:ディープインパクト
  • 母:パレスルーマー
  • 母の父:Royal Anthem
ここに注目!

昨年、天皇賞(春)を勝ってGⅠホースの仲間入り。その後も宝塚記念3着、天皇賞(秋)2着、有馬記念4着と、充実の1年になった。今年も天皇賞(秋)で久々ながら4着と地力の高さを証明。ここは躍進を見込んでいい。

前走の天皇賞(秋)は後方からの競馬を余儀なくされたが、直線では内から馬群をさばいて4着。GⅠでは遅いと言える流れのなか、しっかりと追い込んできた点は能力の高さを再認識させるものだった。今回は9着だった日本ダービー以来となる東京・芝2400メートルだが、天皇賞(春)の勝ち馬であることを思えば距離が延びるのはプラスのはずで、前走のように多少スタートで遅れたとしても、リカバーはしやすいのではないか。さらに、久々だった前走を1度使っての良化も見込めるところ。多くの面で条件が好転するとみていいだろう。2度目のGⅠ制覇の可能性は十分にある。

日本シンエンペラー

牡3歳

調教師:矢作芳人(栗東)

  • 父:Siyouni
  • 母:Starlet's Sister
  • 母の父:Galileo
ここに注目!

日本ダービー3着の後、愛チャンピオンS(G1・2000メートル)で3着。2着オーギュストロダンとは3/4馬身差で、ヨーロッパの強豪相手に互角の走りができた点は高く評価できる。ここでのGⅠ初制覇が十分にあり得る。

2020年の凱旋門賞(G1・フランス)を勝ったソットサスの全弟としてデビュー前から大きな注目を集めていた馬。その注目に違わず、新馬戦、京都2歳Sを連勝してホープフルSではレガレイラの2着に好走した。3歳となった今年は日本ダービー3着後に海外遠征へ。兄弟制覇を狙った凱旋門賞(G1・フランス・芝2400メートル)は12着だったが、その前哨戦として選択した愛チャンピオンS(G1)では勝ち馬から0秒2差の3着。2着のG1・6勝馬オーギュストロダンと互角の走りができたことは能力の高さを端的に示すものだろう。今回はホームでオーギュストロダンと対戦。何より自身のGⅠ初制覇がかかる。

日本ドゥレッツァ

牡4歳

調教師:尾関知人(美浦)

  • 父:ドゥラメンテ
  • 母:モアザンセイクリッド
  • 母の父:More Than Ready
ここに注目!

昨年の菊花賞は途中からハナを切り、一度先頭を譲ったあとに直線で差して勝つという驚きのパフォーマンスで制した。その後は未勝利だが、菊花賞の内容から能力の高さは明らか。実力発揮がかなえば好勝負になるはずだ。

昨年は未勝利からの5連勝で菊花賞を制覇。その菊花賞はレース史上に残る好パフォーマンスだった。1周目の3コーナー過ぎで一気に先頭を奪うと、2コーナー後には主張してきた他馬に先頭を譲り、一時は3番手まで抑える位置取り。そこから直線で力強く抜け出してダービー馬タスティエーラに3馬身1/2をつけての快勝だった。騎乗していたC.ルメール騎手の手腕もさることながら、それに応えるだけの地力と持久力を備える本馬のすごさが浮き彫りとなるレースだった。その後勝ち星はないが、タフな東京・芝2400メートルは合うイメージ。海外遠征からの帰国初戦で真価発揮となるか、注目したい。

日本ブローザホーン

牡5歳

調教師:吉岡辰弥(栗東)

  • 父:エピファネイア
  • 母:オートクレール
  • 母の父:デュランダル
ここに注目!

今年の宝塚記念の勝ち馬。前走の京都大賞典はまさかの11着だったが、あれが実力でないことは衆目の一致するところだろう。その後は熱心に乗り込まれ、巻き返しの態勢は整いつつある。当週の気配に注目したい。

今年の日経新春杯で重賞初勝利。阪神大賞典3着、天皇賞(春)2着と経て宝塚記念に挑んだ。その宝塚記念は、後方の位置取りから直線は大外も大外、外ラチ沿い付近を駆け抜けて前を行く馬たちを一気にかわし去り1着でゴール。本馬自身も鞍上の菅原明良騎手も念願のGⅠ初制覇となった。宝塚記念の勝利が強烈だっただけに、前走の京都大賞典(11着)での大敗は気になるところだが、その後は厩舎で順調に調整。栗東の坂路とCWコースで十二分に乗り込まれている。東京は新馬戦4着以来だが、2400メートルは重賞勝ちを決めた距離。開催最終日の馬場コンディションも合いそうで、巻き返しを狙う。

日本ソールオリエンス

牡4歳

調教師:手塚貴久(美浦)

  • 父:キタサンブラック
  • 母:スキア
  • 母の父:Motivator
ここに注目!

昨年の牡馬三冠で1着、2着、3着と好走。好結果を出せない時期もあったが、前々走の宝塚記念で2着に入ると、前走の天皇賞(秋)でも勝ち馬から0秒4差の7着と、復調の兆しを見せた。完全復調をこの大舞台で示したい。

3戦3勝で昨年の皐月賞を制覇。しかもその勝ち方が鮮烈で、4コーナー17番手、さらに直線は大外という位置から、ラストで強烈な伸びを見せての追い込み勝ちだった。当時の勝ちっぷりからすると、前々走の宝塚記念2着、前走の天皇賞(秋)7着では物足りなさを感じるくらいだが、それでも以前に比べれば状態面の上昇を感じる走りを見せており、実際、前走の天皇賞(秋)も勝ち馬ドウデュースから0秒4差。上がり3ハロン33秒3(推定)の脚を使えているのなら、今回のメンバーでも互角以上に戦えるはずだ。また水分を含んだ馬場状態が得意の印象。降雨があればさらに台頭の可能性が増す。

(外国馬=秋山 響(TPC)、日本馬=山下 健)

ご注意 「今週の注目レース」ページの情報は、特別レース登録馬や過去のレース結果に基づいて制作しております。JRAが特定の競走馬を応援、推奨するものではありません。出走取りやめ、出走取消などにより、掲載した競走馬がレースに出走しないことがあります。

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