秋の女王決定戦であるエリザベス女王杯では、これまで主に同世代と戦ってきた3歳馬と古馬の実績馬が相まみえる。近年の優勝馬には、翌年に国内外でGⅠ3連勝を飾ったリスグラシュー、大阪杯を勝利したラッキーライラック、宝塚記念を制したマリアライトといった、性別の枠を超えて活躍した名牝も名を連ねている。今回は阪神競馬場で行われた2020年から2022年も含めた過去10年の結果を参考に、女王の座をめぐる争いの攻略法を探っていく。
2021年に3連単で300万馬券が飛び出すなど阪神開催時は波乱の決着が目立ったが、過去10年の3着以内馬延べ30頭中20頭は5番人気以内の馬で、4年ぶりに京都で行われた昨年は1番人気のブレイディヴェーグが勝利を収め、3連単は9780円に収まった。ただ、京都開催時に堅い決着が多かったというわけではなく、2014年から2019年は6番人気以下の伏兵が毎年3着以内に入っていたので、上位人気馬を軸に相手はやや手広く押さえるのがよさそうだ。〔表1〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 2-2-2-4 | 20.0% | 40.0% | 60.0% |
2番人気 | 0-0-1-9 | 0% | 0% | 10.0% |
3番人気 | 4-0-3-3 | 40.0% | 40.0% | 70.0% |
4番人気 | 1-0-1-8 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
5番人気 | 1-3-0-6 | 10.0% | 40.0% | 40.0% |
6〜9番人気 | 1-4-2-33 | 2.5% | 12.5% | 17.5% |
10番人気以下 | 1-2-0-79 | 1.2% | 3.7% | 3.7% |
過去10年の前走別成績を見ていくと、3着以内馬延べ30頭中20頭がGⅡから臨んでいた。そのうち12頭を府中牝馬S組が占めているが、同レース1着馬は〔1・2・1・4〕と半数が3着以内に入っている。その一方で、2016年に12番人気で2着に入ったシングウィズジョイや、2021年に10番人気で勝利を収めたアカイイトは同7着からの臨戦だった。さすがに10着以下に敗れていた馬は厳しいが、府中牝馬Sで1桁着順であれば人気にかかわらず注目しておきたい。〔表2〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
秋華賞 | 1-3-2-21 | 3.7% | 14.8% | 22.2% |
その他のJRA・GⅠ | 0-0-3-3 | 0% | 0% | 50.0% |
府中牝馬S | 4-6-2-38 | 8.0% | 20.0% | 24.0% |
オールカマー | 3-1-0-13 | 17.6% | 23.5% | 23.5% |
札幌記念 | 1-1-1-1 | 25.0% | 50.0% | 75.0% |
ローズS | 1-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
その他のレース | 0-0-1-66 | 0% | 0% | 1.5% |
なお、府中牝馬S組に次ぐ出走数の秋華賞組は2着以内だった馬が振るっていない。狙い目は3着以下に敗れていた馬で、2021年に7番人気で2着に入ったステラリアは秋華賞6着、2022年に12番人気で2着となったライラックが同10着からの臨戦だった。秋華賞組は大敗からの巻き返しも警戒しておくべきだろう。〔表3〕
秋華賞での着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2着以内 | 0-1-0-9 | 0% | 10.0% | 10.0% |
3着以下 | 1-2-2-12 | 5.9% | 17.6% | 29.4% |
同年の秋華賞連対馬こそ苦戦傾向にあるものの、過去10年の3着以内馬延べ30頭中17頭をJRA・GⅠで連対経験があった馬が占め、この経験を持つ馬は4歳に限れば〔4・1・3・7〕と3着内率は50%を超えている。該当馬がいれば軸馬候補となりそうだ。〔表4〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 6-5-6-37 | 11.1% | 20.4% | 31.5% |
なし | 4-6-3-105 | 3.4% | 8.5% | 11.0% |
2017年から2019年に3年連続で2着に入ったクロコスミアをはじめ、過去10年で実に7頭が2年続けて馬券に絡んでいる。前年の当レースで3着以内に入っていた馬は〔2・3・3・9〕と半数近くが3着以内に入っているので、昨年の3着以内馬が出走してきたらマークしておきたい。〔表5〕
年度 | 着順 | 馬名(前年の着順) |
---|---|---|
2014年 | 1着 | ラキシス(2着) |
2015年 | 2着 | ヌーヴォレコルト(2着) |
2017年 | 3着 | ミッキークイーン(3着) |
2018年 | 2着 | クロコスミア(2着) |
3着 | モズカッチャン(1着) | |
2019年 | 2着 | クロコスミア(2着) |
2020年 | 1着 | ラッキーライラック(1着) |
3着 | ラヴズオンリーユー(3着) |
2020年は5歳のラッキーライラックが前年覇者の貫禄を示したが、過去10年では4歳以下の馬が9勝と若い世代が強さを見せている。また、〔表2〕でも触れたように前走GⅡ組が9勝となっている。この双方を踏まえれば、GⅡからの臨戦となる4歳以下の馬が優勝候補の最右翼といえそうだ。〔表6〕
(高那実 マヤ)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年度 | 優勝馬 | 年齢 | 前走 |
---|---|---|---|
2014年 | ラキシス | 4歳 | オールカマー(GⅡ) |
2015年 | マリアライト | 4歳 | オールカマー(GⅡ) |
2016年 | クイーンズリング | 4歳 | 府中牝馬S(GⅡ) |
2017年 | モズカッチャン | 3歳 | 秋華賞(GⅠ) |
2018年 | リスグラシュー | 4歳 | 府中牝馬S(GⅡ) |
2019年 | ラッキーライラック | 4歳 | 府中牝馬S(GⅡ) |
2020年 | ラッキーライラック | 5歳 | 札幌記念(GⅡ) |
2021年 | アカイイト | 4歳 | 府中牝馬S(GⅡ) |
2022年 | ジェラルディーナ | 4歳 | オールカマー(GⅡ) |
2023年 | ブレイディヴェーグ | 3歳 | ローズS(GⅡ) |
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