牡4歳
調教師:藤沢和雄(美浦)
昨年の日本ダービーでは、ペースの緩んだ向正面で一気に2番手に押し上げ、直線はスワーヴリチャードとの追い比べを制して優勝。2014年生まれのサラブレッド7015頭の頂点に輝いた。前哨戦のオールカマーを制し、GⅠ2勝目に向けて視界は良好だ。
4歳を迎えた今年は京都記念から始動し、断然の1番人気に支持されたものの、瞬発力のそがれる重馬場に加え、ペースの緩んだ向正面でいくらか折り合いを欠いて勝ち馬から0秒2差の3着。前々走のドバイシーマクラシック(G1・UAE。芝2410メートル)は、流れが落ち着いて道中で掛かり気味の追走になり4着と敗れた。約6か月の休養を挟み、帰国初戦となった前走のオールカマーでは、中団馬群で折り合いに専念。直線はアルアイン(2着)の直後から虎視眈々と迫り、鮮やかな差し切り勝ちを飾った。昨年の日本ダービーを制覇した、現役屈指の実力馬。休み明けを1度使われた上積みは大きく、折り合い面を考えれば200メートルの距離短縮もプラスに働きそうだ。
牡4歳
調教師:庄野靖志(栗東)
昨年の有馬記念は直線で内へモタれて4着に敗れており、左回りコースがベストと思われていたが、今年の大阪杯では、早め先頭で内ラチ沿いを走れたとはいえ、右回りコースで初のGⅠ制覇を成し遂げた。今回は約5か月の休み明けだが、絶好の舞台なら主役候補の一頭だ。
前々走の大阪杯では、スタートで後手を踏みレース序盤は後方に控えたが、鞍上のM.デムーロ騎手はスローペースと見るや、向正面から一気にポジションを上げて先頭に並びかける積極策。そのまま直線でもスピードは衰えず、後続の追い上げを危なげなく振り切って待望のGⅠタイトルを獲得した。前走の安田記念は、スタートを決めて好位のインを追走。直線はアエロリット(2着)を捕らえ切れず、モズアスコット(1着)の強襲を許して3着に敗れたが、初めてのマイルで速い時計での決着に対応しており、“負けてなお強し”を印象づけた。今回は休み明けでの参戦となるが、GⅠ馬として恥ずかしい競馬はできない。
牝5歳
調教師:友道康夫(栗東)
一昨年の秋華賞を制し、昨年のドバイターフ(G1・UAE、芝1800メートル)では、世界の強豪を撃破して見事に優勝。3歳時は410キログラム前後の馬体重だったが、4歳以降はひと回り体が大きくなり、優れた成長力を示している。今季も目が離せない存在だ。
連覇を目指したドバイターフ(G1・UAE)では、早めに抜け出したベンバトル(1着)には離されたものの、日本調教馬同士(他はリアルスティール、ディアドラ)の追い比べを制して2着を確保。帰国初戦となった前走の宝塚記念は中団追走から直線で伸び切れず、勝ち馬から0秒5差の4着に敗れたが、騎乗した福永祐一騎手が「スタートした後に窮屈になるシーンがあって馬にスイッチが入ってしまい、リラックスするまでに時間がかかりました」とコメントしたように、スムーズさを欠いたことが敗因の一つだろう。今回は約4か月の休み明けになるが、順調に乗り込みを消化。ひと追いごとに調教の動きが良くなり、力を出せる態勢が整っていそうだ。
牡4歳
調教師:池江泰寿(栗東)
昨年の皐月賞を1分57秒8のレースレコードで優勝。その後は勝ち星を挙げていないが、距離が長かった菊花賞(7着)を除けば安定した成績を残している。アメリカG1馬の母に、ディープインパクトが配された良血馬で、もうひと皮むけても不思議はない。
今年初戦の京都記念では、レイデオロ(3着)との追い比べをクビ差制して2着。続く大阪杯は、スローペースを好位で進み、向正面でスワーヴリチャードが一気にポジションを上げると、その動きに合わせて進出を開始。直線半ばで1度は2番手に浮上して見せ場を作った(結果は3着)。前々走のクイーンエリザベスⅡ世カップ(G1・香港。芝2000メートル)は、初の海外遠征で調整の難しさがあったのか5着と敗れたが、約5か月の休養で立て直された前走のオールカマーで2着に入り、秋初戦としては上々の滑り出しを見せている。レースを1度使われた上積みは大きく、200メートルの距離短縮も好材料。昨年の皐月賞馬が、2度目の戴冠を狙う。
牡4歳
調教師:中竹和也(栗東)
かなりの不良馬場だった昨年の菊花賞(1着)での疲れが尾を引いたのか、その後の成績はひと息だったが、今秋初戦となった前走の毎日王冠で見せ場十分の3着に入り、復調をアピール。豊富なスタミナを生かせれば、ここでも上位進出が可能だろう。
今年初戦の日経賞では、レース序盤は中団後ろに控えて、1コーナー手前から一気に動いて2コーナーで先頭を奪ったが、直線で粘りを欠いて9着。3か月の間隔を空けて立て直された前々走の宝塚記念も8着に敗れたが、騎乗したM.デムーロ騎手が「折り合いは問題なかったのですが、大外枠が厳しかったです。4コーナーでインに入りましたが、結果としてうまく進路が取れなかったです」と唇を噛み、不完全燃焼の結果だったことは明らかだ。秋初戦となった前走の毎日王冠は、最内枠を生かして2番手追走の積極策。直線でもしぶとく脚を伸ばして勝ち馬から0秒2差の3着に好走した。昨年の菊花賞馬が、雌伏の時を経て復活の勝利を目指す。
牡5歳
調教師:友道康夫(栗東)
一昨年の日本ダービーでは、サトノダイヤモンド(2着)、ディーマジェスティ(3着)との追い比べを制して見事に優勝。秋には凱旋門賞(G1・フランス。芝2400メートル、14着)にも挑戦した実力馬だ。ここで復活のGⅠ制覇を果たせるのか、注目だ。
3歳9月のニエル賞(G2・フランス。芝2400メートル)以来勝ち星から遠ざかっているものの、4歳時の昨年は大阪杯4着、天皇賞(秋)5着、ジャパンカップ4着とビッグレースで差のない競馬を続けて、地力の高さをアピールした。骨折による休養を経て約9か月の休み明けとなった前走の札幌記念は、後方に控えてじっくりと脚を温存。瞬発力をそがれる稍重の馬場コンディションだったが、直線で外から猛然と追い込んで1度先頭に立つシーンを作った(結果はハナ差の2着)。昨年の本レースは不良馬場で切れ味を生かせなかったが、おそらく東京・芝2000メートルはベストの舞台。瞬発力が生きる展開になれば、引けを取らないはずだ。
牡5歳
調教師:音無秀孝(栗東)
7度目のGⅠ挑戦となった前走の宝塚記念で、念願のビッグタイトルを獲得。そこから天皇賞(秋)に直行するローテーションになるが、9月下旬から時計を出し始めて入念な乗り込みを消化している。もともと間隔が空いても力を出せるタイプだけに、能力を発揮できそうだ。
9番人気だった前々走の天皇賞(春)は、直線でしぶとく脚を伸ばして勝ち馬から0秒2差の4着に入り、前走の宝塚記念では、好スタートを決めて好位のインを追走。淀みのない流れだったが、残り600メートル付近から積極的に動いて直線の入り口で先頭に躍り出ると、最後までスピードは衰えず、ワーザー(2着)の追い上げをクビ差しのいで念願のGⅠ初制覇を達成した。その後は休養先での調整が遅れて復帰予定だった京都大賞典を見送り、休み明けでの天皇賞(秋)出走となるが、帰厩後の調整は順調。昨年の本レースは不良馬場がこたえた印象で12着に敗れたが、もともと左回りコースの方がスムーズに走れる馬。ここも侮れない存在だ。
(京増 真臣)
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