ホープフルSは2014年にラジオNIKKEI杯2歳Sを中山に移設する形でGⅡに昇格し、2017年にGⅠとなった。2019年優勝のコントレイルは無敗の三冠馬に輝き、他にも2018年優勝のサートゥルナーリアが皐月賞を制するなど、希望に満ちた2歳馬の戦いは翌年のクラシックを占う一戦でもある。ここではGⅠ昇格後の7回を参考に、レースの特徴を探ってみたい。
GⅠ昇格後の7回では単勝1番人気が5勝を挙げ、この5回では2着も2番人気から4番人気と上位人気馬が強さを見せている。ただ、2022年は14番人気のドゥラエレーデが優勝し、昨年は13番人気のサンライズジパングが3着と、近年は2桁人気馬が続けて好走している。〔表1〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 5-0-0-2 | 71.4% | 71.4% | 71.4% |
2番人気 | 1-2-1-3 | 14.3% | 42.9% | 57.1% |
3番人気 | 0-2-1-4 | 0% | 28.6% | 42.9% |
4番人気 | 0-2-1-4 | 0% | 28.6% | 42.9% |
5番人気 | 0-0-0-7 | 0% | 0% | 0% |
6〜9番人気 | 0-1-3-24 | 0% | 3.6% | 14.3% |
10番人気以下 | 1-0-1-42 | 2.3% | 2.3% | 4.5% |
過去7年の優勝馬は7頭とも前走がオープンクラスのレースで、2着馬と3着馬の半数以上も前走がオープンクラスだった。キャリアの浅い2歳馬の戦いとはいえ、GⅠともなると経験値が必要となってくるのだろう。前走で初勝利を挙げたばかりの馬は特に厳しく、好走例は2017年3着のステイフーリッシュが最初で最後となっている。〔表2〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
オープンクラス | 7-5-4-32 | 14.6% | 25.0% | 33.3% |
1勝クラス | 0-2-2-24 | 0% | 7.1% | 14.3% |
新馬 | 0-0-1-13 | 0% | 0% | 7.1% |
未勝利 | 0-0-0-16 | 0% | 0% | 0% |
地方のレース | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
前走で初勝利を挙げたばかりの馬は苦戦傾向にあるものの、ここ3年の優勝馬はいずれも勝ち鞍が新馬戦または未勝利戦のみの1勝馬だった。とはいえ、過去7年でみると1勝馬の3着内率は8.1%にとどまっている。昨年を除く6回は2勝以上していた馬が3着以内に複数入っていたので、2勝以上馬を中心に考えるべきだろう。〔表3〕
JRAでの勝利数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2勝以上 | 4-7-5-28 | 9.1% | 25.0% | 36.4% |
1勝 | 3-0-2-57 | 4.8% | 4.8% | 8.1% |
未勝利 | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
過去7年の出走馬のデビュー月別成績を調べてみると、6月デビューの馬が4勝を挙げている。3着内率も38.9%と高いので、この時期のGⅠでは仕上がりの早さが重要になってくるようだ。〔表4〕
デビュー月 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
6月 | 4-1-2-11 | 22.2% | 27.8% | 38.9% |
7月 | 1-1-4-18 | 4.2% | 8.3% | 25.0% |
8月 | 1-1-0-17 | 5.3% | 10.5% | 10.5% |
9月 | 1-3-0-12 | 6.3% | 25.0% | 25.0% |
10月以降 | 0-1-1-28 | 0% | 3.3% | 6.7% |
次に、デビュー戦の距離にも注目してみたところ、3着以内馬21頭中17頭が芝1800メートル戦でデビューしていた。なかでも、6月の芝1800メートル戦でデビューした馬は〔3・1・2・3〕という好成績。波乱を演出した2022年のドゥラエレーデ、2023年のサンライズジパングもこれに含まれているので、6月の芝1800メートル戦でデビューしていた馬は人気薄でも侮れないだろう。〔表5〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
デビュー戦の距離 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
芝1500m以下 | 0-0-0-6 | 0% | 0% | 0% |
芝1600m | 1-1-0-12 | 7.1% | 14.3% | 14.3% |
芝1800m | 6-5-6-36 | 11.3% | 20.8% | 32.1% |
芝2000m | 0-1-1-28 | 0% | 3.3% | 6.7% |
ダート戦 | 0-0-0-4 | 0% | 0% | 0% |
過去7年の優勝馬はいずれも芝1800メートル以上のレースから臨んでいた。また、〔表2〕の通り過去7年の全優勝馬が前走でオープンクラスのレースに出走しており、7頭とも前走が1着、もしくは敗れていたとしても勝ち馬とは0.2秒差以内だった。前走がオープンクラスの芝1800メートル以上戦で、前記の成績を収めていた馬が狙い目といえそうだ。〔表6〕
(高那実 マヤ)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年度 | 優勝馬 | 前走(距離) | 前走の着順(1着馬とのタイム差) |
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2017年 | タイムフライヤー | 京都2歳S(芝2000m) | 2着(0.0秒) |
2018年 | サートゥルナーリア | 萩S(芝1800m) | 1着 |
2019年 | コントレイル | 東京スポーツ杯2歳S(芝1800m) | 1着 |
2020年 | ダノンザキッド | 東京スポーツ杯2歳S(芝1800m) | 1着 |
2021年 | キラーアビリティ | 萩S(芝1800m) | 2着(0.0秒) |
2022年 | ドゥラエレーデ | 東京スポーツ杯2歳S(芝1800m) | 4着(0.2秒) |
2023年 | レガレイラ | アイビーS(芝1800m) | 3着(0.2秒) |
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