強さが伝わってきた前走のJBCスプリント（JpnⅠ）。4コーナーでは外でやり合う先行集団を出し抜くようにインを鋭く伸びた。ラストは実績馬タガノビューティーとの競り合いにハナ差敗れたものの、屈強な年長馬たちを相手に奮闘。騎乗した武豊騎手は「思い通りにやりたいレースができました。1200メートルよりは少し切れが鈍るかなという感じだったので、ベストは1200メートルかな」と話しており、今回の距離短縮はプラス材料だろう。今春から地方交流重賞で4戦4連対と高いレベルで安定。戦法にも幅があり、どんな展開にも対応できる強みがある。伸び盛りの3歳馬に注目したい。馬名の由来は「ものすごく、とても（博多弁）」。

1番人気に応えた前走のオープン特別・ながつきS。ハナでやり合う2頭から距離を取った3番手を追走し、道中をリズム良くクリア。直線で悠々と先頭に立つと、後方から迫る馬たちも問題にせず。最重量タイの59キログラムを背負いながら後続を2馬身1/2振り切ってゴールを駆け抜けた。騎乗したC.ルメール騎手は「自分のリズムで走れたし、直線はいい反応でした。休み明けだったので次はもっと良くなります」と振り返った。ダートの1200メートルから1400メートルに限れば、キャリア14戦で7勝と勝率50パーセント。先行力を備えており、どんな相手でも簡単には崩れない魅力がある。馬名の由来は「冠名＋愛（仏）」。

4番人気だった前走のオープン特別・室町S（京都・ダート1200メートル）は中団後方を追走。強さが際立ったのが3、4コーナーで、遠心力が強くかかるコーナーの大外をグングンと駆け上がった。先行集団を次々とパスしたあとに、じっと脚をためていたイスラアネーロにクビ差だけ差されたが、自ら動いての惜敗。その内容は濃かった。着実に地力を強化し、今年初戦のオープン特別・ジャニュアリーS（中山・ダート1200メートル）を優勝。4月の東京スプリント（JpnⅢ、2着）では昨年のカペラS覇者テイエムトッキュウ（3着）に先着している。充実した2024年の暮れに、待望の重賞タイトルを手にしたい。馬名の由来は「黒獅子＋冠名」。

7番人気で優勝した前走のオープン特別・藤森S。大外枠から無理せず後方につけると、勝負どころまでじっと我慢し、直線で武器の末脚を一気に解放。一瞬で先行勢を抜き去り、メンバー中最速の上がり3ハロン35秒4（推定）の脚で差し切った。騎乗した藤懸貴志騎手は「行く馬も多かったし、ハマりそうだなと思っていました。惜しい競馬が続いていたので、差し切ってくれてよかったです」と喜んだ。休養を挟んだ前走はプラス12キログラムの馬体重で、心身の充実を感じさせる。重賞初挑戦だが、秘める末脚は確かなだけに、休み明け2戦目でさらに鋭さが増すようなら楽しみだ。馬名の由来は「冠名＋ハーブの名前」。

昨年のカペラSは鮮やかな逃げ切り勝ちだった。前半600メートル通過タイム33秒5と締まったペースを演出しながら、直線入り口でも余力十分。後続に付け入る隙を与えない逃走劇で2着チェイスザドリームに3馬身、3着馬はさらに2馬身離した。騎乗した津村明秀騎手は「スタートセンスが抜群で、自分のリズムで運べました。セーフティーリードがありましたし、頑張ってくれました」と振り返った。カペラSはJRA唯一のダート1200メートルの重賞。2018年、2019年にはコパノキッキングが連覇を飾っている。1400メートルだった前走は8着に敗れたが、得意舞台での反撃が濃厚だ。馬名の由来は「冠名＋特急」。

12番人気の低評価を覆した前走のオープン特別・室町S。中団でじっと我慢し、直線でしぶとく伸びると、内でやり合うクロジシジョー（2着）、ドンアミティエ（3着）の実力馬を差し切った。騎乗した川又賢治騎手は「中団の後ろから抜け出すイメージでした。その通りの競馬ができましたし、（道中は）よく馬群で我慢して学ぶことができました。同じようなレースができれば今後も楽しみです」と、約1年ぶりの勝利を喜んだ。昨年カペラSは、室町S5着から参戦したテイエムトッキュウが勝利。本馬も同じローテで再びの好走を警戒したい。馬名の由来は「憧れの島（スペイン語）」。

2番人気で5着に敗れた前走のオープン特別・藤森S。最後方付近からメンバー中2位の上がり3ハロン35秒9（以下推定）の脚を繰り出したが、上位勢には及ばなかった。2走前のクラスターC（JpnⅢ・盛岡・ダート1200メートル）では、メンバー中最速となる上がり3ハロン33秒5の末脚を使って4着を確保した。母のサンビスタは5歳から軌道に乗り、JRAと地方交流の重賞で計6勝をマーク。晩成の血が覚醒するようなら、ここで重賞タイトルをゲットしても驚きはない。先行勢がやり合う展開になれば、直線で一気に浮上してきそうだ。馬名の由来は「サンバの指揮者。母名より連想」。

芝スプリント戦の前走・京阪杯は9番人気で15着に敗戦。外めの7枠15番から一気に好位3番手を確保し、道中はスピード感十分の追走。ただ、直線入り口で手応えが苦しくなると、上位勢に食らいつくことはできなかった。今年5月のオープン特別・韋駄天S（新潟・芝1000メートル）優勝など、その速力は芝でも上位。昨年のカペラSは2番手をリズム良く運び、10番人気ながら2着を守った。ここは4戦ぶりのダート戦となるが、うまく流れに乗ることができれば、再びの激走がありそうだ。馬名の由来は「夢を追いかける。母名より連想」。