昨年のマイルチャンピオンシップは、藤岡康太騎手とタッグを組んだ単勝オッズ17.3倍(5番人気)のナミュールが、4コーナー15番手から豪快に差し切ってGⅠ初制覇を成し遂げた。2015年から2021年までの7回はいずれも3連単の配当が6万円未満だったものの、2022年が同14万2650円、2023年が同17万6490円と、ここ2回は10万円を超える配当での決着となっている。今回は阪神・芝1600メートルで行われた2020年から2022年を含む、過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬延べ30頭中29頭は、前走の着順が1着、もしくは2着以下に敗れていたものの1着馬とのタイム差が0.5秒以内だった。一方、前走の着順が2着以下、かつ1着馬とのタイム差が0.6秒以上だった馬は3着内率1.6%と苦戦している。0.6秒以上のタイム差で敗れた直後の馬は評価を下げるべきだろう。〔表1〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走の着順ならびに1着馬とのタイム差 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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着順が1着、もしくは2着以下で1着馬とのタイム差が0.5秒以内 | 9-10-10-80 | 8.3% | 17.4% | 26.6% |
着順が2着以下、かつ1着馬とのタイム差が0.6秒以上 | 1-0-0-62 | 1.6% | 1.6% | 1.6% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中28頭は、通算出走数が18戦以内だった。一方、19戦以上だった馬は3着内率3.0%と苦戦している。キャリアが19戦以上の馬は、割り引きが必要だ。〔表2〕
通算出走数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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18戦以内 | 9-10-9-78 | 8.5% | 17.9% | 26.4% |
19戦以上 | 1-0-1-64 | 1.5% | 1.5% | 3.0% |
前走の単勝人気別成績を見ると、前走で2番人気以内だった馬が3着内率34.5%と優秀な成績を収めている。一方、7番人気以下だった馬は全て4着以下に敗れている。直近のレースを比較する際は、前走での単勝人気もチェックしておきたい。〔表3〕
前走の単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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2番人気以内 | 8-6-5-36 | 14.5% | 25.5% | 34.5% |
3〜6番人気 | 2-4-5-56 | 3.0% | 9.0% | 16.4% |
7番人気以下 | 0-0-0-50 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中26頭は、同年6月以降に東京・中山・京都・阪神競馬場で行われた重賞において4着以内となった経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率5.2%と苦戦しているうえ、2019年以降の過去5年に限ると〔0・0・0・32〕(3着内率0%)と好走例がない。今年6月以降にこの実績を残せていない馬は、過信禁物とみるべきだろう。〔表4〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-9-8-69 | 9.5% | 18.9% | 27.4% |
なし | 1-1-2-73 | 1.3% | 2.6% | 5.2% |
過去6年の3着以内馬延べ18頭中10頭は、前走の距離が1600メートル超だった。1600メートル超だった馬は3着内率が33.3%となっている。一方、1600メートル以下だった馬は同11.3%とやや苦戦している。〔表5〕
前走の距離 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1600m以下 | 3-3-2-63 | 4.2% | 8.5% | 11.3% |
1600m超 | 3-3-4-20 | 10.0% | 20.0% | 33.3% |
なお、前走の距離が1600メートル以下だったにもかかわらず3着以内に入った8頭のうち7頭は、前年以降のJRAの1600メートルのGⅠ・GⅡを優勝した経験がある馬だった。マイルのGⅠ・GⅡを勝っているような、距離適性を証明済みの実績馬でない限り、マイル以下のレースから臨む馬は疑ってかかった方がよさそうだ。〔表6〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 3-3-1-16 | 13.0% | 26.1% | 30.4% |
なし | 0-0-1-47 | 0% | 0% | 2.1% |
過去6年の優勝馬延べ6頭は、いずれも前走がGⅠ・GⅡだった。前走がそれ以外のレースだった馬は、勝つ可能性が低いとみておきたい。また、この6頭は前走の着順が1着だったか、2着以下で1着馬とのタイム差が0.4秒以内だった点、キャリア14戦以内だった点、前走の単勝人気が3番人気以内だった点、同年6月以降の東京・中山・京都・阪神競馬場の重賞における最高着順が2着以内だった点も共通している。〔表1〕、〔表2〕、〔表3〕、〔表4〕などで挙げた傾向も考慮するべきだろう。〔表7〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年 | 優勝馬 | 前走(格) | 前走の着順(1着馬とのタイム差) | 通算出走数 | 前走の単勝人気 | 同年6月以降の東京・中山・京都・阪神競馬場の重賞における最高着順 |
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2018年 | ステルヴィオ | 毎日王冠(GⅡ) | 2着(0.2秒) | 8戦 | 3番人気 | 2着(毎日王冠) |
2019年 | インディチャンプ | 毎日王冠(GⅡ) | 3着(0.4秒) | 11戦 | 3番人気 | 1着(安田記念) |
2020年 | グランアレグリア | スプリンターズS(GⅠ) | 1着 | 9戦 | 1番人気 | 1着(スプリンターズSほか) |
2021年 | グランアレグリア | 天皇賞(秋)(GⅠ) | 3着(0.2秒) | 14戦 | 2番人気 | 2着(安田記念) |
2022年 | セリフォス | 富士S(GⅡ) | 1着 | 7戦 | 1番人気 | 1着(富士S) |
2023年 | ナミュール | 富士S(GⅡ) | 1着 | 12戦 | 1番人気 | 1着(富士S) |
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