2023年のヴィクトリアマイルを優勝したソングラインは、2022年に当レースと同じ東京・芝1600メートルが舞台の安田記念を勝っていた。また、2022年の優勝馬ソダシは2020年の阪神ジュベナイルフィリーズと2021年の桜花賞の勝ち馬で、2021年の優勝馬グランアレグリアはJRAのGⅠを4勝、2020年の優勝馬アーモンドアイは国内外のGⅠを6勝していた。歴史的名牝と呼ばれるような馬の優勝が続いている春の古馬牝馬チャンピオン決定戦を制するのはどの馬だろうか。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬延べ30頭中18頭は、前走の着順が2着から5着だった。一方、1着だった馬は3着内率7.7%、6着以下だった馬は同12.2%と、やや苦戦している。前走で掲示板に載ることができなかった馬だけでなく、前走を勝っていた馬の好走率も低いので、前走の着順を比較する際は注意した方がよさそうだ。〔表1〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1着 | 0-3-0-36 | 0% | 7.7% | 7.7% |
2〜5着 | 4-6-8-44 | 6.5% | 16.1% | 29.0% |
6着以下 | 6-1-2-65 | 8.1% | 9.5% | 12.2% |
過去10年の騎手別成績を見ると、3着以内が複数回あったのは、C.ルメール騎手、戸崎圭太騎手(各5回)、吉田隼人騎手、D.レーン騎手、幸英明騎手(各2回)の計5名だった。3着以内数がもっとも多かった2名のうち、C.ルメール騎手は4月下旬時点で休業中だが、戸崎圭太騎手がエントリーしてきたらマークしておくべきだろう。〔表2〕
騎手 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
C.ルメール | 3-1-1-3 | 37.5% | 50.0% | 62.5% |
戸崎圭太 | 3-0-2-4 | 33.3% | 33.3% | 55.6% |
吉田隼人 | 1-1-0-3 | 20.0% | 40.0% | 40.0% |
D.レーン | 1-1-0-2 | 25.0% | 50.0% | 50.0% |
幸英明 | 1-0-1-1 | 33.3% | 33.3% | 66.7% |
過去7年の3着以内馬延べ21頭中18頭は、通算出走数が15戦以下だった。一方、16戦以上だった馬は3着内率7.0%と苦戦している。2016年以前はキャリア16戦以上だった馬の好走も少なくなかったが、近年の傾向を重視するならばキャリアが豊富な馬は過信禁物とみておきたい。〔表3〕
通算出走数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
15戦以下 | 7-6-5-60 | 9.0% | 16.7% | 23.1% |
16戦以上 | 0-1-2-40 | 0% | 2.3% | 7.0% |
過去4年の3着以内馬延べ12頭中10頭は、前年以降のJRAの2200メートル未満のGⅠにおいて2着以内に入った経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率4.2%と苦戦している。近年の傾向を重くみるならば、前年以降の2200メートル未満のGⅠで連対を果たしていない馬は割り引きが必要だ。〔表4〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 4-2-4-10 | 20.0% | 30.0% | 50.0% |
なし | 0-2-0-46 | 0% | 4.2% | 4.2% |
過去4年の3着以内馬延べ12頭中8頭は、前走がGⅠもしくは海外重賞だった。一方、GⅠもしくは海外重賞以外だった馬は3着内率8.2%と苦戦している。GⅠから直行してきた馬や海外遠征帰りの馬は、高く評価するべきだろう。〔表5〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
GⅠもしくは、海外重賞 | 4-1-3-11 | 21.1% | 26.3% | 42.1% |
その他 | 0-3-1-45 | 0% | 6.1% | 8.2% |
なお、前走がGⅠもしくは海外重賞以外だったにもかかわらず3着以内に入った4頭のうち3頭は、同年の左回りコースのJRA重賞において2着以内に入った経験がある馬だった。前走がGⅠもしくは海外重賞ではなく、年明け以降に左回りコースのJRA重賞で連対した実績もない馬は、上位に入る可能性が低いとみておきたい。〔表6〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 0-2-1-4 | 0% | 28.6% | 42.9% |
なし | 0-1-0-41 | 0% | 2.4% | 2.4% |
過去4年の優勝馬4頭は、いずれもJRAの芝1600メートルのGⅠを勝った経験がある馬だった。実績や距離適性を素直に評価した方がよさそうだ。また、この4頭は通算出走数が13戦以内だった点、前年以降のJRAの2200メートル未満のGⅠを勝っていた点も共通している。〔表3〕や〔表4〕などで挙げた傾向も考慮するべきだろう。〔表7〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年次 | 優勝馬 | JRAの芝1600mのGⅠにおける最高着順 | 通算出走数 | 前年以降のJRAの2200m未満のGⅠにおける最高着順 |
---|---|---|---|---|
2020年 | アーモンドアイ | 1着(2018年桜花賞) | 11戦 | 1着(2019年天皇賞(秋)) |
2021年 | グランアレグリア | 1着(2020年マイルCSほか) | 11戦 | 1着(2020年マイルCSほか) |
2022年 | ソダシ | 1着(2021年桜花賞ほか) | 10戦 | 1着(2021年桜花賞) |
2023年 | ソングライン | 1着(2022年安田記念) | 13戦 | 1着(2022年安田記念) |
ご注意 「今週の注目レース」ページの情報は、特別レース登録馬や過去のレース結果に基づいて制作しております。JRAが特定の競走馬を応援、推奨するものではありません。出走取りやめ、出走取消などにより、掲載した競走馬がレースに出走しないことがあります。