2023年の皐月賞は、単勝オッズ5.2倍(2番人気)のソールオリエンスが1着、同9.0倍(5番人気)のタスティエーラが2着、同3.8倍(1番人気)のファントムシーフが3着となり、3連単2万4780円の決着となった。皐月賞における3連単の配当を振り返ってみると、2017年に106万4360円、2018年に37万2080円の高額配当が飛び出した一方、2019年以降の過去5回はいずれも10万円未満で、平均配当が約3万4000円となっている。ちなみに、2010年から2016年までの計7回もすべて10万円未満で、この間の平均配当は約3万2000円だった。ここ最近の傾向を見る限りでは、大きな波乱が起きにくいレースと言えるだろう。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬30頭中28頭は、前走が重賞だった。一方、重賞以外だった馬は3着内率4.9%と苦戦している。前走がオープン特別や条件クラスだった馬は、割り引きが必要だ。〔表1〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
重賞 | 10-9-9-104 | 7.6% | 14.4% | 21.2% |
重賞以外 | 0-1-1-39 | 0% | 2.4% | 4.9% |
なお、前走が重賞だった馬のうち、前走との間隔が中6週以上だった馬は3着内率35.6%と優秀な成績を収めている。今年であれば、前走が2月以前の重賞だった馬を高く評価するべきだろう。〔表2〕
前走との間隔 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
中5週以内 | 2-6-4-75 | 2.3% | 9.2% | 13.8% |
中6週以上 | 8-3-5-29 | 17.8% | 24.4% | 35.6% |
過去10年の前走の単勝人気別成績を見ると、1番人気だった馬は3着内率35.6%と優秀な成績を収めている。一方、7番人気以下だった馬は全て4着以下に敗れている。前走を比較する際は、単勝人気にも注目したい。〔表3〕
前走の単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 5-6-5-29 | 11.1% | 24.4% | 35.6% |
2〜6番人気 | 5-4-5-86 | 5.0% | 9.0% | 14.0% |
7番人気以下 | 0-0-0-28 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬30頭中23頭は、東京・中山の重賞において、“着順が2着以内、かつ4コーナー通過順が2番手以下”となった経験のある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率6.9%と苦戦しているうえ、2020年以降の過去4年に限ると〔0・0・0・42〕である。関東圏で行われた重賞において、4コーナー2番手以下のポジションから連対を果たしたことのない馬は、疑ってかかった方がよさそうだ。〔表4〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-7-7-49 | 12.5% | 22.2% | 31.9% |
なし | 1-3-3-94 | 1.0% | 4.0% | 6.9% |
過去6年の3着以内馬18頭中17頭は、通算出走数が4戦以内だった。一方、5戦以上だった馬は3着内率2.6%と苦戦している。キャリアが比較的少ない馬を重視するべきだろう。〔表5〕
通算出走数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4戦以内 | 6-5-6-49 | 9.1% | 16.7% | 25.8% |
5戦以上 | 0-1-0-37 | 0% | 2.6% | 2.6% |
過去5年の3着以内馬15頭中12頭は、前走の着順が1着、かつ前走の2着馬とのタイム差が0.2秒以上だった。該当馬は3着内率も46.2%と優秀な水準に達している。近年の傾向を重くみるならば、前走が1着で2着馬に0.2秒以上のタイム差をつけていた馬は、上位に入る可能性が高いとみておきたい。〔表6〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走の着順ならびに2着馬とのタイム差 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
着順が1着、かつ2着馬とのタイム差が0.2秒以上 | 4-5-3-14 | 15.4% | 34.6% | 46.2% |
着順が1着、かつ2着馬とのタイム差が0.1秒以内、もしくは着順が2着以下 | 1-0-2-59 | 1.6% | 1.6% | 4.8% |
なお、「前走の着順が1着、かつ2着馬とのタイム差が0.1秒以内、もしくは着順が2着以下」だったにもかかわらず3着以内に入った3頭は、いずれも朝日杯フューチュリティSにおいて5着以内に入っていた。前走が2着以下、もしくは勝っていたとしても2着馬に0.2秒以上のタイム差をつけておらず、前年末の朝日杯フューチュリティSで5着以内に入ってもいない馬は、過信禁物とみておいた方がよさそうだ。〔表7〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
朝日杯FSでの着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
5着以内 | 1-0-2-5 | 12.5% | 12.5% | 37.5% |
6着以下、不出走 | 0-0-0-54 | 0% | 0% | 0% |
過去6年の優勝馬6頭は、いずれも前走の着順が2着以内だった。前走の着順が3着以下だったにもかかわらず優勝を果たしたのは、2008年のキャプテントゥーレが最後である。また、この6頭は東京・中山の重賞において2着以内に入った経験があった点、通算出走数が4戦以内だった点も共通している。〔表4〕〔表5〕などで挙げた傾向も考慮するべきだろう。〔表8〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年次 | 優勝馬 | 前走の着順 | 東京・中山の重賞における最高着順 | 通算出走数 |
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2018年 | エポカドーロ | 2着 | 2着(スプリングS) | 4戦 |
2019年 | サートゥルナーリア | 1着 | 1着(ホープフルS) | 3戦 |
2020年 | コントレイル | 1着 | 1着(ホープフルSほか) | 3戦 |
2021年 | エフフォーリア | 1着 | 1着(共同通信杯) | 3戦 |
2022年 | ジオグリフ | 2着 | 2着(共同通信杯) | 4戦 |
2023年 | ソールオリエンス | 1着 | 1着(京成杯) | 2戦 |
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