2012年以降の宝塚記念における優勝馬延べ11頭中、前年以降に国内外のGⅠを勝った経験がなかったのは、2015年のラブリーデイと2018年のミッキーロケットのみだった。また、1999年以降の宝塚記念における優勝馬延べ24頭中、前年以降に国内外のGⅠで4着以内に入った経験がなかったのは、2008年のエイシンデピュティと2015年のラブリーデイのみである。上半期のチャンピオンを決める一戦を制するには、それ相応の実績が必要なようだ。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬延べ30頭中27頭は、通算出走数が22戦以内だった。一方、23戦以上だった馬は3着内率6.7%と苦戦している。キャリア23戦以上の馬は過信禁物とみるべきだろう。〔表1〕
通算出走数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
22戦以内 | 10-8-9-71 | 10.2% | 18.4% | 27.6% |
23戦以上 | 0-2-1-42 | 0% | 4.4% | 6.7% |
また、過去10年の3着以内馬延べ30頭中11頭は牝馬だった。牝馬は3着内率が42.3%と優秀な水準に達している。牝馬は牡・せん馬よりも高く評価した方がよさそうだ。〔表2〕
性 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
牡 | 6-7-4-90 | 5.6% | 12.1% | 15.9% |
せん | 0-2-0-8 | 0% | 20.0% | 20.0% |
牝 | 4-1-6-15 | 15.4% | 19.2% | 42.3% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中19頭は、前走の着順が4着以内だった。一方、5着以下だった馬は3着内率15.1%とやや苦戦している。〔表3〕
前走の着順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4着以内 | 7-6-6-51 | 10.0% | 18.6% | 27.1% |
5着以下 | 3-4-4-62 | 4.1% | 9.6% | 15.1% |
なお、前走の着順が5着以下だったにもかかわらず3着以内に入った延べ11頭のうち10頭は、前走の距離が1600メートルか3200メートルだった。前走が2200メートル前後のレースだったにもかかわらず、そのレースで上位に食い込めなかった馬は評価を下げたい。〔表4〕
前走の距離 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1600m | 0-1-3-7 | 0% | 9.1% | 36.4% |
1600m超3200m未満 | 1-0-0-38 | 2.6% | 2.6% | 2.6% |
3200m | 2-3-1-17 | 8.7% | 21.7% | 26.1% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中26頭は、“前年以降のJRAのGⅠ”において8着以内となった経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率9.8%と苦戦している。2022年以降のGⅠで8着以内に入っていない馬や、GⅠ以外のレースに出走し続けてきた馬は、扱いに注意するべきだろう。〔表5〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 10-7-9-76 | 9.8% | 16.7% | 25.5% |
なし | 0-3-1-37 | 0% | 7.3% | 9.8% |
なお、“前年以降のJRAのGⅠ”において8着以内となった経験がなかったにもかかわらず3着以内に入った4頭のうち3頭は、“同年5月以降のJRAの重賞”において3着以内に入った経験がある馬だった。2022年以降のGⅠで8着以内に入っておらず、5月以降のJRA重賞で馬券に絡むこともできなかった馬は、割り引きが必要だ。〔表6〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 0-2-1-6 | 0% | 22.2% | 33.3% |
なし | 0-1-0-31 | 0% | 3.1% | 3.1% |
過去4年の3着以内馬延べ12頭中9頭は、“阪神競馬場のGⅠ”において2着以内に入った経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率6.8%と苦戦している。近年の傾向を重視するならば、まずは今回と同じ阪神のGⅠで連対したことがある馬に注目したい。〔表7〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 4-2-3-7 | 25.0% | 37.5% | 56.3% |
なし | 0-2-1-41 | 0% | 4.5% | 6.8% |
なお、“阪神競馬場のGⅠ”において2着以内に入った経験がなかったにもかかわらず3着以内に入った3頭は、いずれも“同年に中山・阪神競馬場で行われた出走頭数が14頭以上のレースにおいて着順が4着以内、かつ4コーナー通過順が5番手以下”となった経験のある馬だった。この経験がなく、阪神のGⅠで連対を果たしたこともない馬は疑ってかかるべきだろう。〔表8〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 0-2-1-7 | 0% | 20.0% | 30.0% |
なし | 0-0-0-34 | 0% | 0% | 0% |
過去4年の優勝馬延べ4頭は、いずれも“前年以降のJRAのGⅠ”において1着となった経験がある馬だった。また、この4頭は通算出走数が19戦以内だった点、前走の着順が3着以内だった点、“阪神のGⅠ”で2着以内に入った経験があった点も共通している。〔表1〕、〔表3〕、〔表7〕などで挙げた傾向も重視したい。〔表9〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年次 | 優勝馬 | 前年以降のJRAのGⅠにおける最高着順 | 通算出走数 | 前走の着順 | 阪神競馬場のGⅠにおける最高着順 |
---|---|---|---|---|---|
2019年 | リスグラシュー | 1着(2018年エリザベス女王杯) | 19戦 | 3着 | 2着(2017年桜花賞ほか) |
2020年 | クロノジェネシス | 1着(2019年秋華賞) | 10戦 | 2着 | 2着(2020年大阪杯ほか) |
2021年 | クロノジェネシス | 1着(2020年有馬記念ほか) | 14戦 | 2着 | 1着(2020年宝塚記念) |
2022年 | タイトルホルダー | 1着(2022年天皇賞(春)ほか) | 11戦 | 1着 | 1着(2022年天皇賞(春)ほか) |
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