栗東トレーニング・センター(栗東トレセン)は、約150万平方メートル(甲子園球場約40個分)の広大な敷地の中に、6つのトラック型調教コース、全長約1キロメートルの坂路調教コース、競走馬スイミングプール、逍遥馬道といったさまざまな調教施設を有しています。
また、2,000頭を超える競走馬が生活するための厩舎、競走馬診療所、調整ルーム、乗馬苑などの施設を備え、世界に通用する強い馬作りのため、日々運営されています。
栗東トレセンでは騎手、調教師、調教助手、厩務員など、約1,400名の厩舎スタッフが働いています。
騎手は、競馬開催日にレースで騎乗するだけでなく、依頼を受けて日々の調教にも騎乗します。また、厩舎に所属してその厩舎を中心に活動する騎手と、厩舎には所属しない「フリー」の騎手がいます。
調教師は、馬主から競走馬を預り、調教メニューや出走レースを決めて、雇用している調教助手・厩務員とともに厩舎を運営しています。
調教助手は、調教師からの指示を受けて騎乗調教します。また、調教師の代理として、競馬場での装鞍や馬装といった業務や、出馬投票や登録といった事務手続きも行います。
厩務員は、調教師の指示を受けて担当馬の飼育管理、運動、手入れ、馬房掃除などの厩舎作業を行います。調教には騎乗しない厩務員と、調教に騎乗することができる「調教厩務員」がいます。
栗東トレセンでは、夏は午前5時から9時、春・秋は午前6時から10時、そして冬は午前7時から11時に調教を行っています。寒さに強く、暑さに弱い競走馬に適した気温の中で調教を行えるように配慮しています。
競走馬が栗東トレセンで調教するときは、競走馬ごとに決められた番号の調教ゼッケンを装着します。調教ゼッケンは以下のように色分けされています。
2歳9月頃まで
(牡馬・せん馬)
2歳10月頃から3歳9月頃まで
(牡馬・せん馬)
3歳10月以降
(牡馬・せん馬)
2歳9月頃まで
(牝馬)
2歳10月頃から3歳9月頃まで
(牝馬)
3歳10月以降
(牝馬)
GⅠ(J・GⅠ)レースを除く中央競馬の重賞レース優勝馬は、調教ゼッケンに馬名を入れた「馬名入り調教ゼッケン」を装着します。
GⅠレースに特別登録した競走馬は、レースまでの一定期間、以下の馬名入り「特殊ゼッケン」を装着します。レース後は通常のゼッケンに戻ります。
GⅠレース特別登録馬
特殊ゼッケン
牝馬限定GⅠレース
特殊ゼッケン
GⅠレースを勝利した競走馬は「GⅠレース優勝馬ゼッケン」を装着します。星の数はGⅠレースを勝った数を表しています。
GⅠレース優勝馬調教
ゼッケン
J・GⅠレース優勝馬調教
ゼッケン
栗東トレセンで調教を行うときは、あらかじめ決められた色のヘルメットを着用することが義務付けられています。
(以下、主な例)
トレーニング・センターができるまで、競馬場は競馬を開催する場所と、競走馬が生活し調教も行う場所という二つの側面がありました。
しかし、昭和30年代に入ると、高度経済成長を背景に競馬場周辺の市街化が進み、競走馬を飼育管理する場所として適さなくなってきました。
また、競馬人気の高まりとともに競走馬の頭数も増加し、競馬場の厩舎だけでは手狭になってきました。
そこで、レースの施行とファンサービスに特化した「競馬場」と、一定の自然環境の中で競走馬の管理・調教に専念した「トレーニング・センター」を分ける構想が打ち出されました。
そして昭和44年11月、競走馬の飼養管理に適した広大な土地を有し、京都・阪神・中京の各競馬場にもアクセスが良い滋賀県栗東市に栗東トレーニング・センターが誕生しました。
用地売買契約締結
「栗東トレーニング・センター」の名称決定
敷地造成工事着工
中京競馬場から人馬移動、当場での調教開始
阪神競馬場から人馬移動
栗東トレーニング・センター開場
京都競馬場から人馬移動
逍遥馬道が完成
昭和天皇・皇后両陛下が当場へ行幸啓
調教風景をご覧になる
「びわこ国体」馬術競技を当場乗馬苑にて開催
坂路調教コース(全長394m)完成
競走馬スイミングプール完成
3度の坂路調教コース延長工事により全長が1,085メートルに延伸
「栗太郡栗東町」が「栗東市」となる(市制施行)
新・競走馬診療所が完成
新・調教師スタンドが完成