海外競馬発売

ベルモントステークス(G1)

ベルモントパーク競馬場 2400m(ダート)3歳

  • 発売開始時刻日本時間6月10日(土曜)19時30分

  • 発走予定時刻日本時間6月11日(日曜)午前7時37分

レース結果・回顧

タップリットがG1初制覇、日本から遠征のエピカリスは出走取消

現地時間10日午前9時過ぎ。エピカリス(牡3歳、美浦・萩原清厩舎)は、主催者の獣医師の馬体検査により出走取消となった。

レース3日前(7日)の午後、歩様に違和感がみられた日本からの挑戦者は、その後2日間馬場入りを控え、スタッフらが懸命のケアに努めたが、残念ながら主催者からゴーサインを出してもらえなかった。萩原調教師をはじめとする現地に駆け付けたエピカリスの関係者は、アメリカ競馬のクラシック三冠最終戦をただ観戦するだけとなってしまった。C.ルメール騎手は、「とても残念だけど、脚元の問題なので仕方ありません」と寂しそうに語った。

エピカリスの出走取消により出走馬は11頭。30度近い気温の中でゲートが開くと、長丁場を考慮したのか、各騎手とも様子をうかがう感じで序盤からゆったりとした流れになった。

そんななか先頭に立ったのは、JRAでも現地でも1番人気に推されたアイリッシュウォークライ(牡3歳、G.モーション厩舎)。逃げると思われたミーンタイム(牡3歳、B.リンチ厩舎)は、外枠ということもあったのか、鞍上のM.スミスが無理にハナへ行こうとしない。最初のコーナーでは内外の差で自然とアイリッシュウォークライの2番手という位置になった。

その最初のコーナーでは、もっと後方でアクシデントが起きていた。最後方にいたハリウッドハンサム(牡3歳、D.スチュアート厩舎)が、すぐ前にいたツイステッドトム(せん3歳、C.ブラウン厩舎)と接触、騎乗していたF.ジェルー騎手の鐙(あぶみ)が外れてしまったのだ。

向正面に入っても先頭、2番手の隊列は変わらなかったが、淡々とした流れで3番手以下は一団。内にタップリット(牡3歳、T.プレッチャー厩舎)、中にゴームリー(牡3歳、J.シレフス厩舎)、外に隻眼のパッチ(牡3歳、T.プレッチャー厩舎)が横一線。その後ろの列にジェイボーイズエコー(牡3歳、D.ローマンズ厩舎)、マルチプライヤー(牡3歳、B.ウォルシュ厩舎)、ツイステッドトムらがいたが、鐙(あぶみ)が外れてコントロール不能となったハリウッドハンサムがこれらをかわして、一気に2番手ミーンタイムの外に並ぶような位置まで上がった。

ところがハリウッドハンサムは、向正面半ばで一転して後退。後方に控えていたシニアインベストメント(牡3歳、K.マクピーク厩舎)とルッキンアットリー(牡3歳、S.アスムッセン厩舎)にもかわされ最後方まで下がると、やがて競走を中止した。

そんなアクシデントこそあったものの、逃げるアイリッシュウォークライとその鞍上のR.マラージ騎手は全く動じるそぶりをみせない。前半1200mを1分14秒01という淡々としたペースで通過すると、4コーナー手前でやや加速。後続との差を広げにかかった。

ここで音を上げたのが、2番手にいたミーンタイム。外からゴームリー、内からタップリットにかわされると、さらにパッチにもパスされて圏外へと退いた。

一方、先頭を行くアイリッシュウォークライの脚色は衰えない。後方に控えた馬たちはもちろん、ゴームリーやパッチとの差も広げて最後の直線に向いた。

しかし、ただ1頭、タップリットだけが必死にくらいついてきた。直線の立ち上がりでは勢いにまかせて上手にアイリッシュウォークライの外へ出すと、その後も必死に追いすがった。この2頭と3番手以下の差は見る間に広がり、勝敗の行方は完全に前の2頭に絞られた。

一時はアイリッシュウォークライが振り切って逃げ切るかと思えるシーンを作ったが、ラスト100m付近からタップリットが一気に加速。アイリッシュウォークライを捕らえると、そのまま差を2馬身に広げ、2分30秒02の走破時計で栄光のゴールに飛び込んだ。粘ったアイリッシュウォークライが2着。そこから約1秒(5馬身3/4差)離された3着にパッチが入った。

  • タップリットが競り合いを制す

  • 初のG1制覇となった

勝ったタップリットに騎乗したJ.オルティス騎手は、「言葉にできないくらい興奮した」と語り、さらに続けた。
「トッド(プレッチャー調教師)が仕上げているので、距離は大丈夫だと思った。実際に彼は最後までバテなかった。こんな機会を与えてくれたオーナーとトッドに感謝したい」

“トッド”と呼ばれたプレッチャー調教師は、逆にオルティス騎手の騎乗を褒めたたえた。
「彼は実に上手に乗ってくれた。パドックで話し合った作戦通りに乗ってくれたんだ」
また、ケンタッキーダービー(G1)では6着に敗れていたが、その後、プリークネスS(G1)を回避して、ここに備えたことも勝因の一つだと笑顔で語った。

  • 見事な騎乗を見せたJ.オルティス騎手(中央)

  • トロフィーを掲げるT.プレッチャー調教師

タップリットは、昨年のベルモントSでも産駒が1、3着(1着クリエイター、3着は日本のラニ)に入ったタピットを父に持つ芦毛馬。タンパベイダービー(G2)の勝ち鞍こそあったものの、G1はこれが初制覇となった。エピカリスの出走取消は残念だったが、新たなるヒーローの誕生で大いに盛り上がって、今年のアメリカ三冠レースは幕を閉じた。

  • 勝利を称えられるタップリット

  • 関係者は歓喜に沸いた

文:平松さとし

2017年6月10日(土) ベルモントパーク競馬場(アメリカ)

11R

第149回 ベルモントステークス(G1)

3歳 定量 2400m ダート・左
賞金総額1,500,000米ドル 発走  18:37 (現地時間)
1着賞金800,000米ドル 天候:晴 ダート:良
着順 馬番
(ゲート)
馬 名 (生産国)



騎手 タイム ・
着差



(kg)
調教師 (調教国)


1 2 (02) タップリット(USA) 牡3 57.0 J.オルティス 2:30.02 T.プレッチャー(USA) 2
2 7 (07) アイリッシュウォークライ(USA) 牡3 57.0 R.マラージ G.モーション(USA) 1
3 12 (12) パッチ(USA) 牡3 57.0 J.ヴェラスケス 5 3/4 T.プレッチャー(USA) 8
4 3 (03) ゴームリー(USA) 牡3 57.0 V.エスピノーザ 4 1/4 J.シレフス(USA) 4
5 8 (08) シニアインベストメント(USA) 牡3 57.0 C.ヒル 7 3/4 K.マクピーク(USA) 5
6 1 (01) ツイステッドトム(USA) せん3 57.0 J.カステリャーノ C.ブラウン(USA) 6
7 6 (06) ルッキンアットリー(USA) 牡3 57.0 I.オルティスJr. 1/2 S.アスムッセン(USA) 3
8 9 (09) ミーンタイム(USA) 牡3 57.0 M.スミス クビ B.リンチ(USA) 7
9 4 (04) ジェイボーイズエコー(USA) 牡3 57.0 R.アルバラード 1/2 D.ローマンズ(USA) 10
10 10 (10) マルチプライヤー(USA) 牡3 57.0 J.ロザリオ 18 1/2 B.ウォルシュ(USA) 9
中止 5 (05) ハリウッドハンサム(USA) 牡3 57.0 F.ジェルー D.スチュアート(USA) 11
取消 11 (11) エピカリス(JPN) 牡3 57.0 C.ルメール 萩原 清(JPN)  
 着差は先着馬からの着差を表しております。
払戻金
単勝 2 540円 2番人気 馬連 2-7 930円 1番人気 馬単 2-7 2,100円 3番人気
複勝 2
7
12
180円
160円
360円
2番人気
1番人気
7番人気
ワイド 2-7
2-12
7-12
370円
1,370円
1,080円
1番人気
17番人気
14番人気
3連複 2-7-12 5,820円 20番人気
3連単 2-7-12 28,470円 95番人気
返還馬番 11番

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