5歳を迎えた今年初戦となった前々走の京都牝馬Sは、久しぶりの1400メートルだったが2着。敗れはしたものの、勝ち馬ソーダズリングとはクビ差と、好内容で始動戦を終えた。年齢的な衰えも感じさせないレースぶりだった。念願のGⅠ制覇を狙った前走の高松宮記念では重馬場を苦にせず2着。ビッグタイトルこそ逃したが、改めてGⅠ級の能力を証明した。勝ち馬が道中3番手、3着馬が逃げた馬というレースのなか、メンバー中最速の上がり3ハロン33秒2（推定）をマークしており、展開的にも不向きだった。今回は実績最上位の存在としての走りが期待される。

3連勝で重賞初挑戦となった3走前の阪急杯では4着に敗れたが、約10か月ぶりのレースで勝ち馬から0秒4差なら、決して悲観する内容ではなかっただろう。前々走の春雷S（リステッド・中山・芝1200メートル）では、単勝オッズ1.9倍という断然の1番人気に応えてオープンクラス初勝利を挙げた。前走の函館スプリントSでは、内枠（2枠4番）を生かしてインをそつなく立ち回ると、直線で力強く抜け出し、1馬身1/4差の完勝で重賞初制覇を飾った。函館・芝のレースでは、3戦して2勝、2着1回と洋芝への適性もしっかりと示しており、重賞連勝のチャンスとなりそうだ。

前走のオープン特別・青函S（函館・芝1200メートル）では、道中を先行集団で運び、直線で外に出されるとジリジリと末脚を伸ばし、ゴール直前できっちりと差し切り優勝。前々で運びながら終いの脚もしっかりとしており、レースセンスの高さもしっかりと示した。昇級4戦目にして挙げたオープンクラス初勝利。徐々に力をつけ、今回は重賞初制覇のチャンスと言えるだろう。一昨年の夏には、今回と同じ札幌・芝1200メートルの未勝利戦で初勝利を挙げると、同舞台の1勝クラスを連勝。この舞台は2戦2勝と実績を残しており、条件もぴったりと言えそうだ。

3走前に初の海外遠征となったゴールデンイーグル（オーストラリア・芝1500メートル）を制し、525万オーストラリアドルの賞金をゲット。世界にも通用する高い能力を示した。4走前のNHKマイルCでは、メンバー中2位タイの上がり3ハロン34秒4（推定）の鋭い末脚を披露して3着に好走。勝ち馬から0秒2と差もわずかだった。重馬場や稍重馬場でしっかりと結果を残していることから、力の要る洋芝への出走は初めてでも、適性は秘めているはずだ。14日には、栗東CWコースで6ハロン81秒4（ラスト1ハロン11秒3）を一杯に追われてマーク。態勢も万全とみていいだろう。

母Nahoodhは、イギリスのファルマスSを制したG1ウイナー。すでにフィリーズレビューを制している本馬も、血統背景を考えればさらなる大舞台での活躍が見込まれる。前走の葵Sは、本来の前々で運ぶ形ではなかったが4着を確保。本質的には距離が長かったはずの桜花賞でも勝ち馬ステレンボッシュから0秒3差の5着で走っており、近2走は負けてはいるものの、それぞれ敗因があると言えるだろう。1200メートルのレース自体は、未勝利、オープン特別・福島2歳S（福島・芝1200メートル）と2勝を挙げており、距離適性は高いと言ってよさそうだ。

安定した末脚で近走は大崩れのないレースを続けている。前々走の函館スプリントSでは、先行馬が1、2着を占める展開のなか、後方からメンバー中2位タイの上がり3ハロン33秒9（推定）をマーク。6着とはいえ見どころのある内容だった。勝ち馬サトノレーヴから0秒4差と、着順ほど上位との差はなかった。前走のオープン特別・しらかばS（札幌・芝1200メートル）では、レースの前半600メートル通過タイム34秒1というゆったりとした流れのなか、メンバー中最速の上がり3ハロン33秒5（推定）をマークして差し切り勝ちを収めた。前走同様の末脚をここでも発揮したいところだ。

初めての1200メートルのレースとなった前走のオープン特別・UHB賞（札幌・芝1200メートル）では、スタートこそひと息だったが、二の脚を利かせて先行集団にすぐさま取りついた。締まったペースでも流れに戸惑うことなく、スムーズに追走。4コーナーでは、4頭分ほど外を回りながら直線へ。最後までジリジリと伸びてはいたものの、前を捕らえることはできずに6着となった。敗れはしたが、もともと折り合い面に課題のあった馬だけに、この距離でその課題が解消されれば、芝1200メートル2戦目となる今回はさらなるパフォーマンスアップが見込めるだろう。

2歳時から1勝クラス・アスター賞（中山・芝1600メートル）を勝って2勝目を挙げるなど、早くから素質の高さをうかがわせていた。3歳3月のファルコンSで重賞初制覇。その後は長く白星から遠ざかっていたが、前走のオープン特別・UHB賞で待望の4勝目を挙げた。レースの内容自体も、先行馬に厳しいハイペースの流れを道中3番手から直線で抜け出し、3/4馬身差で勝利。勢いに乗って重賞に挑めるだろう。父イスラボニータは6歳時の引退レースとなった阪神CをV。父から受け継いだ成長力があれば、さらにひと皮むけた姿を見せられるかもしれない。