これぞ世界的強豪のパワー。安田記念（GⅠ）を制したのは、1番人気に推されたロマンチックウォリアー。コックスプレート（オーストラリア、G1）、連覇を果たした香港C、プログノーシスら日本勢を一蹴したクイーンエリザベス2世Cなど4連勝中、G1計7勝を誇る香港の雄だ。

このコースで逃げ切りのあるドーブネとウインカーネリアンが先導したレース。ヴィクトリアマイル2着のフィアスプライド、マイルに活路を求めるステラヴェローチェらが好位をうかがい、もう1頭の香港からの遠征馬ヴォイッジバブル、ダービー卿チャレンジTを勝ったパラレルヴィジョン、フェブラリーS2着馬ガイアフォース、悲願のG1タイトル獲得に燃えるソウルラッシュらが続く。ともにマイルCSの勝ち鞍を持つ実績馬2頭、ナミュールとセリフォスは後方に構えている。

ロマンチックウォリアーは先団馬群の中。鞍上のジェームズ・マクドナルド騎手が「コンディションは良く、来日してからの調教は順調。自信があったし、いいスタートを切ることもできた」と振り返った通り、隙のない追走を実現していた。

勝負は直線へ。抜け出しを図るフィアスプライドの直後から脚を伸ばしたロマンチックウォリアーが、坂を駆け上がりながら先頭へと躍り出る。外から猛追するのはナミュールとソウルラッシュ。さらにはセリフォス、馬群を割ってガイアフォースも前へ迫る。

だが、「勝ちたいという強い心を持つ馬」とマクドナルド騎手が称えるロマンチックウォリアーの底力が一枚上手。最後はナミュールを半馬身振り切って栄冠をつかむのである。

「優秀な馬と偉大な騎手がそろって、勝つことが難しいレース。でも彼はチャンピオンホース、その強さを見せられた。誇りに思う」とマクドナルド騎手。確かに、ワールドクラスの走りを堂々と披露した、そんな一戦だったといえるだろう。

（谷川　善久）