断続的に降る雨が淀の芝コースを濡らしていく。ディープインパクトが勝利した2006年以来、18年ぶりの京都開催となった宝塚記念（GⅠ）。重馬場の決戦で豪快に突き抜けたのは、ブローザホーンだ。

エリザベス女王杯2着のルージュエヴァイユが大外枠からハナを奪い、京都で重賞2勝のプラダリア、大阪杯の覇者ベラジオオペラなどが続く。昨春の天皇賞勝ち馬ジャスティンパレス、皐月賞の勝ち鞍を持つソールオリエンス、大阪杯2着馬ローシャムパークらは中団に構え、実績断然の1番人気ドウデュースは後方で脚をためている。

前走・天皇賞（春）で2着に追い込んだブローザホーンも後方待機策。鞍上・菅原明良騎手は「流れを読み、周りを見ながら」レースを進めたという。その表れが3、4コーナー。詰まり始めた馬群の外をゆっくりと駆け上がるブローザホーンの姿があった。

そして直線。コース外寄りから前に出たプラダリアとベラジオオペラの、もっと外、ラチ沿いで弾けたのがブローザホーンだ。「4コーナーを回ってくるときも余裕があった。すごくいい脚。気持ち良かった」と菅原騎手が振り返った通りのパワフルなラストスパート。鋭く追い込んだソールオリエンスに2馬身の差をつけてのゴールで、ブローザホーンはGⅠ初制覇を飾ったのだった。

初勝利までに9戦を要したブローザホーンだが、そこからは順調にステップアップ。特に今年に入ってからは日経新春杯1着、阪神大賞典3着、天皇賞（春）2着とハイレベルな走りを続けていた。京都・芝2200メートルでは不良馬場の3勝クラス・烏丸Sで5馬身差圧勝の経験あり。充実度、コース適性、馬場適性の総合力でつかんだ勝利といえるだろう。

「乗るたびに成長を感じる。まだまだGⅠを勝っていきたい」と、自身もGⅠ初勝利となった菅原騎手。人馬のさらなる躍進を期待したいところである。

（谷川　善久）