前年の勝ち馬テーオーケインズが、前走・JBCクラシックを制して意気揚々、単勝オッズ1.5倍の断然人気を背負ってチャンピオンズカップ（GⅠ）連覇に挑んだ。が、まさかの4着に終わる。大本命を打ち負かしたのは、ジュンライトボルトだ。

レースはレッドソルダードが緩やかなペースで先導した。UAEダービー1着のクラウンプライド、シリウスS2着などのあるハピ、交流重賞3勝のシャマルが続き、テーオーケインズや、ジャパンダートダービー勝ち馬ノットゥルノはこれらを見る位置へ。アンタレスS2着のグロリアムンディは後方で脚をためている。

ジュンライトボルトは中団。「馬のリズムを感じ取る」ことを心がけたという鞍上・石川裕紀人騎手とともに機を待っていた。

勝負は直線へ。クラウンプライドが先頭に躍り出ると、内からはハピ、外からはシャマルやテーオーケインズらが追いすがる。いっぽうジュンライトボルトは、まだ馬群の中。スパートをかけられないでいたものの、じわじわとテーオーケインズの背後に迫っていく。

残り200メートル強。ようやく外に持ち出せるチャンスが訪れると、そこからジュンライトボルトが見せた末脚は実に鮮やかだった。石川騎手の「進路が見つかれば弾けてくれると信じていた。『勝てる』と思わせる反応だった」という言葉通りの伸びで、テーオーケインズ、ハピ、そしてクラウンプライドを瞬く間に交わし去り、先頭ゴールを果たすのである。

この夏にダート路線へ転向すると、ジュライS2着、BSN賞1着、前走・シリウスSでは重賞初制覇、そしてGⅠの頂へと一気に駆け上ったジュンライトボルト。自身のGⅠ初制覇を石川騎手は「夢のようです」と喜んだが、ジュンライトボルトの未来にも、まだまだ大きな夢が横たわっているはずだ。新星誕生を感じさせる、そんな一戦であった。

（谷川　善久）