海外競馬発売

メルボルンカップ(G1)

フレミントン競馬場 3200メートル(芝)3歳以上 ハンデキャップ

発売開始時刻
日本時間11月6日(火曜)
ネット投票:午前7時00分
発走予定時刻
日本時間11月6日(火曜)午後1時00分

2018年メルボルンカップ レース結果・回顧

南半球最大のレースを制したのは、ヨーロッパ馬・クロスカウンター

メルボルンカップのスタート時刻は毎年、同じだ。11月の第1火曜日、午後3時。今年は11月6日の同時刻だが、多頭数の24頭立てとあって厳密には1分遅れの3時1分にゲートが開いた。
総賞金は今年から大幅にアップされて705万オーストラリアドル(約6億2040万円。1オーストラリアドル=88円で換算。以下、同じ)。1着馬の関係者には400万オーストラリアドル(約3億5200万円)の賞金と25万オーストラリアドル(約2200万円)相当のトロフィーが贈られる。

この日はメルボルンカップの開催されるフレミントン競馬場があるヴィクトリア州では「メルボルンカップデー」という祝日になる。連日好天の続いていた同地区だが、今年は前日の予報で雨。3月からフレミントン競馬場の馬場管理長に就任したL.オキーフ氏に、1週間前に話を聞いたところ次のように答えていた。
「主催するレーシングヴィクトリアのポリシーとして、可能な限りGood3の馬場状態を目指す」
ここで言うGood3とは日本流に言う良馬場。オーストラリアでは馬場状態が10段階に分かれており、硬い方から順にFirm1、2、Good3、4、Soft5、6、7、Heavy8、9、10。それ以上に悪くなるようなら開催が中止、もしくは延期になる事もある。
そんな中、Good3を目指すため、例えばレース当日が晴れ予報であれば、「前日に散水し、Good4くらいにしておき、天候が崩れる予報なら散水はせずFirm2くらいを保つ」のだ。

  • 川田将雅騎手(中央)をはじめとする騎乗騎手たち

  • まもなくレースを迎える各馬

ところが、今年は翌日が雨予報にも関わらず、前日の馬場状態はGood4。そして、予報通り未明から雨が降ったため、馬場はみる間に悪化した。
その雨量は過去1週間の総量25ミリグラムを上回る28ミリグラム。10時15分にSoft5となった馬場は更に雨を吸い、1レースが終わった11時5分にはHeavy8。一定の力で馬場に棒を刺し、どのくらい沈んだかを数字で公表するゴーイングスティックの値はインコースで10.2。今年のスプリングカーニバルで初めて10を超す軟らかい馬場となった。
しかし、内から2メートルの仮柵を設けた事と、元より水はけの良さで知られる競馬場らしく、雨が止むと馬場は急速に回復。結局、第7レースのメルボルンカップの頃にはSoft6まで持ち直した状態で、ゲートが開いた。

まず先手を取ったのはランナウェイ。前走ジーロンカップを逃げ切っていた同馬は、管理するG.ウォーターハウス&A.ボット厩舎の女性調教師ウォーターハウス調教師が言うように「名前の通り逃げる馬」。
内からヴァンジュールマスク、外からエースハイが続き、その間にフィンシュ。更にその内に20番枠からするするとインへ潜り込んだアプリンスオブアランという態勢で最初のコーナーに差し掛かった。

この時、後方でアクシデントが起きていた。ザクリフスオブモハーが馬群の中でバランスを崩し、右前の肩を骨折。競走を中止する際に後方にいたアヴィリオスはまともに不利を受けた。しかし、そのまた直後にいたクロスカウンターは上手に外に避け、事なきを得た。

最初のコーナーをカーブし終わる。先行勢の隊列は変わらず中団にヤングスターベンチュラストームマジックサークルらが続く。その後ろの外にユカタン、内にチェスナットコート、更に後方の馬群の中にマルメロ、内にベストソリューションがいて、クロスカウンターは更に後ろの後方2、3番手を追走した。

11秒台を刻みながら逃げたランナウェイだが、1400メートル過ぎでは15秒台と極端にペースを落とす。するとエースハイの舌がハミを越し、前走のコーフィールドカップ同様、掛かり気味となった。そこからはランナウェイが再加速をしながら各馬は向正面を走った。

最終コーナーにさしかかる。道悪ということを考慮し、逃げるランナウェイは内から4、5頭分を空けている。外からランナウェイに並びかけてきたのはフィンシュエースハイヴァンジュールマスクは手応えが悪く後退し始める。対照的に馬群の中にいたアプリンスオブアランが好手応え。中2日での出走となったこの馬は内外どちらへも行ける態勢に見えたが、鞍上のM.ウォーカー騎手は外を選択。フィンシュの外から先頭を窺う。

同じ頃、後方の外からインへ進路を取ったのがH.ボウマン騎手のマルメロ。その際、チェスナットコートの進路を塞ぐと、川田将雅騎手は内のベストソリューションとの間に挟まれ、立ちあがるほどの大きな不利。この事象でボウマン騎手は騎乗停止処分を受ける事になる。なお、ボウマン騎手は他にも直線での鞭の多用、更に0.5キログラムを超える斤量超過も確認された。つまり、この1レースで3つの異なる事象で騎乗停止処分を受けたのだ。

話をレースに戻そう。最後の直線で外に出されたフィンシュはラスト300メートルで先頭に立った。しかし、更に外から中2日でここに出走してきたアプリンスオブアランがかわして先頭へ。その外に出されたヤングスターは伸びを欠き、23番枠からのスタートで終始外を回らされたユカタンも伸びない。しかし、それらの更に外からクロスカウンターが良い脚で追い上げて来た。

ラスト200メートルで内から迫って来たマルメロアプリンスオブアランをかわして先頭に立つ。内で先頭のマルメロ、真ん中で2番手となったアプリンスオブアランで勝負あったかと思えたが、更にその外からケタ違いの脚で伸びて来たのがK.マカヴォイ騎手に操られたクロスカウンターだ。スタート後の最初の直線では24頭立ての最後方24番手。更に最初のコーナーでは不利を受けそうになる場面があったが、結果的にその分、脚がたまったか。物凄い末脚を披露すると残り50メートルではついにマルメロをかわして先頭に立つ。そして、逆に1馬身の差をつけたところがゴールだった。

なお、ラスト100メートルまででマカヴォイ騎手は鞭を9回使用。これは規定を上回り、通常なら800豪ドルの罰金対象となる回数だったが、裁決委員が「勝っている事を考慮し、3000豪ドルの罰金を科す」とレース後に発表した。

勝ち時計は3分21秒17。2着にはマルメロが入り、更に2馬身遅れた3着がアプリンスオブアラン。トップハンデでコーフィールドカップの覇者ベストソリューションは8着、人気の一角となったユカタンが11着、チェスナットコートは4コーナーでの不利も響き14着、マジックサークルは16着に敗れた。

  • クロスカウンターがメルボルンカップ制覇

  • C. アップルビー調教師

勝ったクロスカウンターは前々走、イギリスのグッドウッド競馬場で行われたゴードンS(G3)でコースレコード勝ち。続くヴォルティジュールS(G2・イギリス)はオールドペルシアンの2着に敗れたものの、3着に下したキューガーデンズが直後に英セントレジャー(G1・イギリス)を優勝していた。輸送時の外傷は元より、ゴードンSが僅か4頭立てだったり、8月以来のレースという事で、少々"狙い辛い馬"ではあったが、終わってみれば末脚の生きる展開もハマり、快勝となった。

指揮官のチャーリー・アップルビー調教師はゴドルフィンと共にオーストラリアへ乗り込むようになって3年目でついに念願の金的を射止め、次のように語った。
「メルボルンカップを制覇する事は皆が憧れている夢です。シェイク(ゴドルフィンのモハメド殿下)の目標でもあり、彼はリスクを恐れずに挑戦するよう勧めてくれました。後方にいた時は勝つのは容易ではないと思いましたが、動き出した時には充分に余力があるのが分かったので、なんとかなるかと思いました。チームとしてはなかなか困難な数週間でしたが、クリスには『心配はいらない。乗り越えれば更に強くなれる』と伝えました」
ここで語られたクリスとは遠征主任のクリストファー・コネット氏の事。そして”困難な数週間”とはおそらく輸送時に外傷を負った事。左前脚を負傷した同馬は「1週間ほど馬場入りをせずに調整した」(コネット氏)そうで、この間のコネット氏を労うアップルビー調教師の気持ちが、先の言葉として語られたのだろう。
ちなみにウェリビー競馬場の検疫厩舎では常に四肢をバンテージで巻いていた同馬は、メルボルンカップでは両前脚のバンテージ装着を申告していたが、実際には1本も巻いて来なかった。怪我が完治した事の現れだったのだろう。

なお、アップルビー調教師は11月2日に行われたブリーダーズカップジュベナイルターフをラインオブデューティーで制している。僅か5日の間にアメリカとオーストラリアでビッグレースを制した事になるが、当初の予定ではこのメルボルンカップにはエモーションレスとハマダも登録していた。しかしその2頭は現地入り後に故障し、リタイア。後者に至っては命を落としている。つまり日本流に言えばここは弔い合戦の意味合いもあったわけだ。

一方、騎乗したケリン・マカヴォイ騎手は2000年のブリュー、一昨年のアルマンダンに続く3度目の同レース優勝。2000年に勝った時はまだ二十歳になった直後で、近代競馬となってからは記録的な若さでの勝利だった。
ちなみにブリューは、ジャパンカップでオグリキャップと死闘を演じた末に当時のレコードである2分22秒2で同レースを制したホーリックスの子供。メルボルンカップ前日に行われたパレードにも過去の優勝馬の1頭として参列していた。

閑話休題。今回は前々走であのウィンクスと接戦を演じたお手馬のヤングスターを断り、クロスカウンターに騎乗。この選択が吉と出た。
「1コーナーで故障馬が出た際に、不利を免れられたのは幸運でした。理想より後ろの位置取りになってしまいましたが、ペースが流れてくれました。ユカタンをマークしていたのですが、ラスト400メートルで手応えが怪しく見えたので、自ら動いていきました。ラスト200メートルでは『また勝てるの?!』と自分に問いかけながら追いました」
そう口を開いたマカヴォイ騎手は、更に感謝の言葉を述べた。
「シェイク・モハメドの馬でメルボルンカップを勝てるなんて最高です。青い勝負服を着て勝てて、少しは恩返しが出来たかと思います。そして何よりもお世話になっているチャーリー・アップルビー調教師と、この小さな馬が素晴らしい仕事をしてくれました。チャーリーの事は彼がゴドルフィンで働き始めた頃から知っていて、トラベリングヘッド(遠征主任)をしていた頃は、ドンカスターやチェスターによく一緒に行きました。あれから20年が経って、彼の馬でメルボルンカップを勝てるなんて最高です」

更に、家族への感謝の言葉を述べると、最後は笑顔で次のように言ってしめた。
「妻のキャシーには感謝しかありません。メルボルンカップを勝ったらスイミングプールを子どもたちにプレゼントすると約束していました。絶対に新しい家を探さなくてはなりません!!」
名を挙げられた妻のキャシーは、2015年にプリンスオブペンザンスでメルボルンカップを制したミシェル・ペイン騎手(現騎手兼調教師)と姉妹関係にある。女性騎手として唯一メルボルンカップを制した彼女はパドックを馬が回り始めた頃から姿を現し、マカヴォイ騎手が表彰されるまでの間、ずっとその様に目を向けていた。

“The race that stops the nation”(オーストラリア国家を止めるレース)と言われたメルボルンカップだが、近年はヨーロッパの馬やヨーロッパからの移籍馬の活躍ばかりが目立つ。今年も上位3頭をヨーロッパ勢が独占。4着がヨーロッパからの移籍馬で、5着もヨーロッパの馬。レース7日前、ヴィクトリアレーシングクラブのチェアマンであるA.エリオット女史は「もはやメルボルンカップは“The race that stops the world”(世界を止めるレース)です!!」と語ったが、皮肉な形でそれに頷かざるを得ない結果となった。南半球最大のレースは、北半球の馬達に席巻され、その様相が変貌しつつある。来年はまたどのような傾向となるだろう。2019年11月の第1火曜日の午後3時を楽しみに待とう。

文:平松 さとし

  • これがG1初制覇のクロスカウンター

  • K.マカヴォイ騎手はメルボルンカップ3勝目

  • チェスナットコートは14着

14着 チェスナットコート 矢作芳人調教師のコメント
「コーフィールドカップの時に比べ、だいぶ馬の状態が上がっていました。4コーナーのこれから追い出そうというところでの不利がかなり決定的でした。あの不利がなければ、もう少し良いところまで来られたと思います。馬は頑張ってくれたので、まずは馬に感謝したいです」

14着 チェスナットコート 川田将雅騎手のコメント
「馬は前回より良い具合で動きも良かったです。道中は予定していた通りの競馬を組み立てることが出来ました。前回を踏まえ、中団やや後ろの内目をキープすることを考えていましたが、思い通りの競馬が出来ました。馬は精一杯の競馬をしてくれたと思います。この2戦は関係者にとって大きな経験になったと感じています。この機会を作ってくれたオーナーに改めて感謝したいです。また日本でチェスナットコートを応援してくれたらと思います」

2018年11月6日(火) フレミントン競馬場(オーストラリア)

7R

第158回 メルボルンカップ(G1)

3歳以上 ハンデキャップ 3200m 芝・左
賞金総額7,050,000豪ドル 発走  15:00 (現地時間)
1着賞金4,000,000豪ドル 天候:曇 芝:重
着順 馬番
(ゲート)
馬 名 (生産国)



騎手 タイム ・
着差



(kg)
調教師 (調教国)


1 23 (19) クロスカウンター(GB) せん3 51.0 K.マカヴォイ 3:21.17 C.アップルビー(GB) 7
2 9 (10) マルメロ(GB) 牡5 55.0 H.ボウマン 1 H.モリソン(GB) 4
3 17 (20) アプリンスオブアラン(GB) せん5 53.0 M.ウォーカー 3 C.フェローズ(GB) 10
4 13 (15) フィンシュ(GB) 牡4 54.0 Z.パートン 3.5 C.ウォーラー(AUS) 15
5 24 (21) ロストロポーヴィチ(IRE) 牡3 51.0 W.ローダン 4.5 A.オブライエン(IRE) 11
6 22 (08) ヤングスター(AUS) 牝4 51.5 C.ウィリアムズ 5.75 C.ウォーラー(AUS) 8
7 19 (14) サーチャールズロード(AUS) せん5 53.0 D.ダン 8.25 L.オサリバン&A.スコット(NZ) 23
8 1 (06) ベストソリューション(IRE) 牡4 57.5 P.コスグレイヴ 8.75 S.ビン・スルール(GB) 1
9 5 (13) ムンタハー(IRE) せん5 55.5 J.クローリー 9.5 J.ゴスデン(GB) 9
10 16 (07) ベンチュラストーム(IRE) せん5 54.5 M.ザーラ 11 D&Bヘイズ&T.デイバーニッグ(AUS) 16
11 11 (23) ユカタン(IRE) 牡4 54.5 J.マクドナルド 11.75 A.オブライエン(IRE) 2
12 18 (03) ナキータ(GB) せん7 53.0 R.ベイリス 11.85 I.ジャーディン(GB) 21
13 20 (24) ザカダ(NZ) せん6 53.0 D.レーン 13.85 M.ベイカー&A.フォースマン(NZ) 24
14 4 (04) チェスナットコート(JPN) 牡4 55.5 川田 将雅 16.1 矢作 芳人(JPN) 13
15 15 (02) ヴァンジュールマスク(IRE) せん6 54.0 P.モロニー 16.3 M.モロニー(AUS) 12
16 3 (17) マジックサークル(IRE) せん6 56.0 C.ブラウン 19.55 I.ウィリアムズ(GB) 5
17 7 (18) フーショットザバーマン(NZ) せん10 55.5 B.メルハム 22.55 C.ウォーラー(AUS) 17
18 6 (16) サウンドチェック(GER) 牡5 55.5 J.チャイルズ 27.55 M.モロニー(AUS) 14
19 21 (12) ランナウェイ(AUS) 牡4 52.0 S.バスター 28.05 G.ウォーターハウス&A.ボット(AUS) 19
20 8 (22) エースハイ(AUS) 牡4 55.0 T.アングランド 28.15 D.ペイン(AUS) 20
21 12 (01) オーヴレイ(FR) せん7 54.0 T.ベリー 68.15 R.フリードマン(AUS) 22
22 10 (11) アヴィリオス(GB) せん4 54.5 G.スコフィールド 69.15 J.カミングス(AUS) 6
23 14 (05) レッドカーディナル(IRE) せん6 54.0 D.オリヴァー 69.55 D.ウィアー(AUS) 18
中止 2 (09) ザクリフスオブモハー(IRE) 牡4 56.5 R.ムーア A.オブライエン(IRE) 3
 着差は1着馬からの着差を表しております(馬身表示)。
払戻金
単勝 23 1,240円 7番人気 馬連 9-23 4,810円 19番人気 馬単 23-9 11,200円 44番人気
複勝 23
9
17
460円
300円
760円
8番人気
4番人気
10番人気
ワイド 9-23
17-23
9-17
1,750円
6,130円
3,630円
18番人気
67番人気
33番人気
3連複 9-17-23 47,510円 133番人気
3連単 23-9-17 315,040円 832番人気

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