3月の高松宮記念は、スッと控えて中団やや後方を追走。不良馬場のタフなコンディションのなか、3コーナー過ぎから外を回って徐々に押し上げ、直線もしぶとく脚を伸ばして2着に好走した。続くヴィクトリアマイルは直線で伸びを欠いて8着に敗れたが、桜花賞（3着）以来の1600メートル戦だったことを踏まえれば、度外視できる結果だろう。約3か月半の休み明けとなった前走のキーンランドCは、外を回る正攻法のレース運びから、直線では混戦の2着争いを尻目にきっちりと抜け出して1馬身差の快勝。昨年のスプリンターズSは5着に敗れたが、1年の時を経て地力強化は明白だ。

1勝クラスから破竹の4連勝で、2月の阪急杯を制覇。続く高松宮記念は7着に敗れたが、不良馬場がこたえたもので、敗因は明白だ。2走前のチェアマンズスプリントプライズ（G1・香港・芝1200メートル）は、短距離界の層が厚い香港で5着なら悲観するレース内容ではないだろう。約4か月半の休養を経て、秋初戦となった前走のセントウルSは脚をためて後方待機策。テイエムスパーダが逃げ切る展開だったが、直線は徐々に外へ出しながら猛然と追い上げて2着に入り、“負けてなお強し”を印象づけた。ロードカナロアなど名スプリンターを送り出した安田隆行厩舎にとっては国内最後のスプリントGⅠ。注目の一戦になりそうだ。

昨年のセントウルSは、軽く促して5番手に取りつき、道中は折り合いに専念。直線はメンバー中最速となる上がり3ハロン32秒9（推定）の末脚で豪快に突き抜け、1分06秒2のコースレコードで、2着ファストフォースに2馬身1/2差をつけて快勝した。続くスプリンターズSは14着と大敗を喫したが、12月の香港スプリント（G1・芝1200メートル）では、ハイレベルの香港勢を相手に0秒3差の5着。2走前の高松宮記念（12着）は不良馬場、前走の安田記念（15着）は久々の1600メートル戦と、ともに敗因は明白だ。レースを使い込むよりも、休み明けの成績のほうがいいタイプ。力の出せる態勢を整え、念願のGⅠ制覇に挑む。

2走前の安土城S（リステッド・京都・芝1400メートル）は、好スタートを決めて好位の4番手で折り合いに専念。正攻法のレース運びから、ラスト300メートル付近で先頭に躍り出ると後続を突き放し、コースレコードと同タイムの1分19秒0の走破時計で3馬身差の快勝を決めた。約3か月の休み明けとなった前走の北九州記念は、1200メートルの速い流れにもすんなり対応して5番手集団を追走。ジャスパークローネの逃げ切りは許したものの、直線でしぶとく差を詰めて0秒1差の2着に入った。休み明け2戦目で状態面は上向いており、引き続きの1200メートルなら前走以上のパフォーマンスを発揮できそうだ。

サマースプリントシリーズ第1戦の函館スプリントSは16着と大敗を喫したが、中京に転戦した第2戦のCBC賞は、好スタートから同型馬を制して先手を主張。マイペースの逃げに持ち込むと上がり3ハロンを33秒5でまとめ、2着馬の追い上げを振り切って重賞初制覇を達成した。第4戦の北九州記念は、ポンと好スタートを決めてハナを奪取。前半600メートル通過タイム32秒9のハイペースで飛ばし、2馬身ほどのリードを保って直線を向くと、しぶとい二枚腰を発揮して鮮やかな逃げ切り勝ちを決めた。今回も同型馬との兼ね合いがポイントになるが、スピードの絶対値は互角以上だ。

連覇を狙った3走前のCBC賞は、2番手追走から直線で粘りを欠いて8着。2走前の北九州記念も先行策で早々に余力がなくなり13着に敗れた。前走のセントウルSは14番人気の低評価だったが、気合をつけて先手を主張。行き切った後は息を入れて平均ペースに持ち込んだ。直線もスピードは緩まず、ラスト200メートル付近で好位勢を力強く振り切ってリードを広げると、最後もアグリ以下の追い上げを封じて1馬身差で快勝した。昨年のスプリンターズS（15着）では前半600メートル通過タイム32秒7のハイペースで逃げており、前が残る展開になれば粘り込みが可能だ。

3走前の高松宮記念は、スタートで後手を踏み後方集団のインを追走。瞬発力をそがれる不良馬場のなか、4コーナー14番手から直線も馬群の内を突き、懸命に差を詰めて勝ち馬から0秒3差の4着に健闘した。2走前の安田記念は、1600メートルの距離も影響したのか直線の伸びを欠いて17着。前走のキーンランドCは出遅れと末脚不発の10着と、ここ2戦は大敗を喫しているが、これまでの実績を踏まえれば力負けではないはず。昨年のスプリンターズS（3着）は約4か月の休み明けだったが、今年は夏場に1度使われており、順調な臨戦過程と言える。状態は上向いているだけに、GⅠ馬の底力を見せたいところだ。

桜花賞（13着）後は短距離に矛先を向け、2走前の葵Sでは抜群のスタートを決めて、そのまま先手を主張。前半600メートル通過タイム33秒9のマイペースに持ち込むと、上がり3ハロンを33秒2でまとめ、後続を危なげなく振り切って重賞2勝目をマークした。走破時計もコースレコードに0秒4差の1分07秒1という優秀さだった。約3か月の休み明けとなった前走の北九州記念は、先行策から直線で粘りを欠いて10着に敗れたが、初めての年長馬相手だったことを踏まえれば悲観する内容ではない。今回は夏場を1度使った上積みも見込めるだけに、侮れない存在だ。