3歳時のユニコーンSで3着に入った素質馬。昨年の東海Sではオープンクラス入り初戦ながら4着に入り、その健闘が評価されて続くマーチSでは1番人気の支持を集めた。結果は好位から積極的な競馬をするも直線の伸びを欠いて6着と、本来の力を出し切れなかった。その後は大事に使われて3戦したのみ。今年初戦となった前走のオープン特別・アルデバランSは立て直した効果が表れたようで、道中から推進力十分の走りを見せ、直線では2着馬との激しい競り合いを制して1着となった。改めて能力の高さを示したうえ、さらなる進化も遂げた様子。昨年のリベンジを果たすに十分な好態勢にある。

前走のオープン特別・総武Sでは、前半は後方のポジションで進めて3コーナー手前から動き出し、4コーナーでは5、6頭分の外を回りながら懸命に追い込んだ。最後は追ってきたハビレをしのいで優勝。昇級16戦目にして嬉しいオープンクラス初勝利を果たした。速い時計での決着が奏功した面はあっただろうが、外を回る距離ロスがありながら長くいい脚を使っての1着は、明確に地力強化の表れと言っていいだろう。また、前走が2度目の中山コースだったが、その走りを見る限りこのコースが合っているようだ。培ってきた経験と今の勢いを武器に重賞初制覇を目指す。

ダートに転じて4戦4勝。いずれも先行して他馬を突き放す圧巻のパフォーマンスで、まったく底を見せていない。3連勝目となった前々走の2勝クラス・花見小路特別（京都・ダート1900メートル）は、2番手から競馬を進めて終始余裕十分の手応え。抑え切れないといった感じで直線入り口では早々に先頭に立ち、そこから追われると2着馬に1秒4差をつけて快勝した。京都競馬場のダートで行われた2勝クラスのレースで2着に1秒4差以上をつけた馬は2000年代に入ってから本馬を含めて3頭しかおらず、そのうちの1頭がその後にフェブラリーSを勝ったインティ。将来性も含めて耳目を集める存在だ。

ダート重賞3勝は今回のメンバーでは抜けた実績。しかもその3勝の内訳が東京1600メートル、名古屋2100メートル、札幌1700メートルと求められる適性がまったく異なるコースでのもの。高い能力はもちろん、どんな舞台でも力を発揮できる機動力と自在性を示していると言えるだろう。中山・ダート1800メートルでも結果を残しており、自身2勝目が当舞台。昨年のマーチSはトップハンデを背負っての3着だった。今回は59キログラムのトップハンデとなるが、この1年で重賞勝ちを1つ上積みして、GⅠでも健闘。ハンデ増を克服できるだけの力をつけていることは強調できる。

JRAの成績だけを見ても、ヒヤシンスS（リステッド・東京・ダート1600メートル）3着、レパードS5着とダートの強敵が集う2レースで好走。レパードS以後の1着、2着、1着、2着、2着という素晴らしい成績も十分に納得できる素質馬と言っていいだろう。昇級2戦目となった前走のオープン特別・総武S（中山・ダート1800メートル）では、時計の速い決着に対応して2着。着実に経験が実になっている印象を受ける。後半に脚を使って追い上げるタイプだが、中山・ダート1800メートルではその追い上げがスムーズ。その分、直線でもいい脚が使えるようだ。今回は重賞となるが、ここ2戦同様の走りができればチャンスは十分にあるだろう。

ポテンシャルの高さを感じさせたのが4走前のBSN賞（リステッド・新潟・ダート1800メートル）だ。新潟のダートで決めた4コーナー11番手からの鮮やかな追い込みは、力がなければできない芸当。続くオープン特別・ラジオ日本賞も逃げた勝ち馬のしぶとさに屈したとはいえ、メンバー中最速タイの推定上がり3ハロンタイムで2着に好走した。終い一手ゆえ展開に左右されやすく、ここ2戦は6着、5着と末脚不発に終わっているが、決して悲観する内容ではなかった。調教はいつも動かないタイプだが、この中間から調教でチークピーシーズを着用。この工夫が功を奏せば、新味を見せるかもしれない。

大きく成長を示した一戦が、オープンクラス初勝利となった昨年1月のオープン特別・門司S（小倉・ダート1700メートル）。好位から力強く抜け出して2着馬に4馬身差の快勝で見た目からして強かったが、レースのラスト2ハロンが12秒8、12秒5というラップも優秀だった。これをきっかけとして、その後は交流重賞を含めて重賞で3度の2着と充実ぶりがうかがえたが、ここ2戦はひと息。とはいえ、前々走はGⅠ挑戦、前走はこれまで走ったことのない東京と、それぞれに力を出し切れない要因があったのも事実だ。実績のある右回りでコーナー通過4回の競馬なら、一変しても不思議はない。

前走のプロキオンSは、前年の不来方賞（JpnⅡ）、みやこSを勝ったサンライズジパング、2年連続チャンピオンズC3着のドゥラエレーデなど、フェブラリーSの前哨戦らしい豪華な顔ぶれ。そのなかにあって本馬は8番人気の評価だったが、それに反発するかのように直線でインを突いて目立つ伸びを見せ、4着に健闘した。昨年のアンタレスSの覇者ミッキーヌチバナ（5着）には先着しており、重賞でもチャンスがあることを示すに十分な力走を見せた。中山は久しぶりだが、新馬、1勝クラス・黒竹賞（ともにダート1800メートル）と過去に連勝している舞台。コース替わりは望むところだろう。