海外競馬発売
競馬の実施にあたっては、各国・地域ごとにそれぞれ固有のルールが定められており、JRAのものとは異なる点があります。
JRAが海外競馬の勝馬投票券発売を行う際、払戻しは競走終了後に現地主催者のルールにより確定した着順に基づいて行います。なお、JRAの競走と同様、確定後に競走成績上の着順の変更があった場合でも、払戻しの変更はいたしません。
JRAとアメリカにおける主なルールの違いを説明します。
アメリカでは、JRAと同じくゲート番号は馬番号と同一となります(例:馬番号「5」の出走馬は5番ゲートから発走)。
なお、ゲート番号は、内側からの順序を示すもので、出走取消がある場合(競走直前の競走除外を除く)は、発走時にそれぞれゲート番号が繰り上がります。
アメリカでは原則として、馬体重の計測、発表はありません。(一部競馬場では馬体重が計測、発表されていますが、公式成績表には記録されません。)
アメリカでは、芝コースの馬場状態は、「Hard」、「Firm」、「Good」、「Yielding」、「Soft」に区分されます。また、ダートコースの馬場状態は、「Fast」、「Good」、「Wet Fast」、「Slow」、「Muddy」、「Sloppy」、「Heavy」に区分されます。
JRAからは表のとおりJRA基準(良、稍重、重、不良の4段階)に置き換えて発表します。なお、アメリカでは著しい降雨等により芝コースでの実施が困難と判断された場合は、ダートコースに替えて実施することが一般的であること等を考慮し、芝コースについては不良の設定をせず、良、稍重、重の3段階に置き換えて発表します。
Hard Firm |
良 |
---|---|
Good | 稍重 |
Yielding Soft |
重 |
(設定なし) | 不良 |
Fast | 良 |
---|---|
Good Wet Fast |
稍重 |
Slow Muddy |
重 |
Sloppy Heavy |
不良 |
JRAでは、出馬投票締切り後の出走取消は、馬の事故又は疾病が判明した場合や病気等で騎乗できる騎手がいなくなった場合に認められます。
アメリカでは、馬場状態等を理由とした、関係者の意思による出走取消が認められていますが、その場合は、裁決委員によって当該競走に関して設定された「出走取消締切時刻」までに出走取消申請を提出する必要があります。
なお、ケンタッキーダービーでは「出走取消締切時刻」以降も馬場状態を理由とした出走取消が認められています。
また、一度出走取消(競走除外)となり、その後「賞金獲得のためだけに出走する馬」と宣言され同レースに出走した場合でも、JRAが発売する勝馬投票券においては、出走取消(競走除外)馬として取り扱い返還を行います。
ケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ブリーダーズカップでは補欠馬制度が採用されており、出走可能頭数を超える出馬投票があった場合、補欠馬が発表されます(出馬表発表時点で補欠馬にも馬番号が付されます)。それぞれのレース前日または当日の所定の時間までに出走取消が発生した場合、補欠馬の上位馬から順次繰り上り、当初付された馬番号で出走します。
なお、ベルモントステークスでは補欠馬制度はありません。
アメリカでは、前検量において、公表された負担重量より1ポンドを超過した場合は、直ちに負担重量の変更が発表されます。
また、各州の取決めにより以下の重量を超過した場合は、騎手変更となることがあります。
カリフォルニア州 | 5ポンドを超過した場合 |
---|---|
ケンタッキー州 | 5ポンドを超過した場合 |
ニューヨーク州 | 5ポンドを超過した場合 |
JRAでは、発走委員が「真正な発走でない」と認めたときは、発走のやり直しを行います(通称“カンパイ”)。具体的には、(1)フライング発走、(2)発馬機の故障および誤作動、(3)外的要因によるトラブルのいずれかが起きた際に行います。
アメリカでは、カンパイ制度は採用されておらず、発馬機の故障等により前扉が開かず、または発走合図時に発馬機内に枠入りしてなく、真正な発走合図を受けられなかった馬がいた場合は、当該馬を″ノンランナー″(=競走に参加していないものとみなす馬)とし、レース自体はそのまま継続し成立させることがあります。この場合、JRAの発売においても、当該馬に係る勝馬投票券は返還となります。なお、発馬機等の故障により出走馬に影響があった場合は、競走不成立となることがあります。
JRAでは後検量を終えてからレースを確定しますが、アメリカでは審議がない場合、後検量を行う前にレースを確定します。
JRAでは、前検量で計量した重量から後検量で計量した重量を差し引いた重量が、1キログラムを超えた場合に当該馬を失格とし、着順を変更のうえレースを確定します。
一方、アメリカでは、各州の取決めにより下表に該当する場合、当該馬を失格とすることがあります。競走成績上の着順は後刻変更となりますが、JRAの勝馬投票券の払戻しは現地と同様、後検量を行う前に確定した着順に基づいて行いますので、後検量失格による投票券上の勝ち馬の変更は行いません。
カリフォルニア州 | 前検量で計量した重量から後検量で計量した重量を差し引いた重量が、1ポンドを超えた場合 |
---|---|
ニューヨーク州 | 前検量で計量した重量から後検量で計量した重量を差し引いた重量が、1ポンドを超えた場合 |
ケンタッキー州 | 後検量で計量した重量が前検量で計量した重量を下回った場合 |
JRAにおける降着・失格のルールは次のとおりです。
降着 | 「その走行妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していた」と判断した場合、加害馬は被害馬の後ろに降着となります。 |
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失格 | 「極めて悪質で他の騎手や馬に対する危険な行為によって、競走に重大な支障を生じさせた」と判断した場合、加害馬は失格となります。 |
アメリカにおいては、騎手が同一レースにおいて、鞭を過剰に使用したと裁決委員が判断した場合、レース確定後に失格となる制度があります。裁定の結果、後日、競走成績上の着順の変更があったとしても、JRAが発売する勝馬投票券の払戻しに関する勝馬の変更はありません。
JRA同様、アメリカの競走成績における着差欄には、一つ上の入線順位の馬との着差が記載されます。
(2024年10月現在)