5週連続でGⅠを迎える東京競馬場。第一弾はNHKマイルカップ（GⅠ）だ。その直線では、熾烈な追い比べが繰り広げられた。

大外からハナに立ってレースを先導したシンザン記念1着馬ピクシーナイトが、ここでも逃げ切り勝ちを狙い、4コーナーを回り切る。これに並びかけていくのがアーリントンCを制したホウオウアマゾン。が、2頭はすぐさま朝日杯フューチュリティS勝ち馬グレナディアガーズに交わされる。持ち味であるスピードの持続力を存分に発揮し、坂を駆け上がりながらグレナディアガーズは先頭へと躍り出た。

一瞬の後、ソングラインが外から脚を伸ばしてきた。前走・桜花賞では15着に敗れたものの、昨秋このコースで初勝利をあげている馬。当時と同様の鋭いスパートで、残り200メートル、ソングラインは完全に抜け出した。

これを猛追するのが、弥生賞ディープインパクト記念2着からの臨戦となった外国産馬シュネルマイスターだ。こちらは2走前・中山1600メートルの1勝クラスで3馬身差の完勝がある。マイルに戻って切れ味が復活。「エンジンがかかるまで時間がかかったけれど、前を目標とすることができたのでちょうどよかった」と鞍上クリストフ・ルメール騎手が振り返ったように、シュネルマイスターはソングラインを一完歩ずつ追い詰めていき、遂には2頭並んで決勝線を駆け抜ける。

写真判定の結果、軍配はシュネルマイスターに上がる。父はマイルG1・4連勝で2014年の欧州年度代表馬に輝いたKingman、母は独オークス馬。シュネルマイスターの中で確かに息づくマイル適性と大レース向きの底力が、一気に開花し、そしてつかんだ3歳マイル王のタイトルである。

（谷川　善久）