出走馬中最速の上がり3ハロン34秒8（推定）の末脚を駆使し、メイクデビュー京都（芝1600メートル）を差し切り勝ち。騎乗した北村友一騎手は「調教ではいい意味で言えば遊びが、悪い意味で言えば集中力がない面を感じていましたが、4コーナーから直線でスイッチが入るといい走りを見せてくれました」と振り返った。半姉には阪神ジュベナイルフィリーズを筆頭に重賞を4勝し、管理する松下武士調教師に初のGⅠタイトルをもたらした名牝レシステンシア（父ダイワメジャー）がいる血統。その姉はデビュー直後のキャリア2戦目で重賞初制覇を果たした。同じ形で本馬も出世街道を歩めるかどうか、注目が集まる。

2番手から競馬を進めるセンスの良さを見せたメイクデビュー小倉（芝2000メートル、1着）とは異なり、勝負どころの3コーナー過ぎで手応えが怪しくなる雰囲気もあった前走のオープン特別・芙蓉S（中山・芝2000メートル）。それでも能力の高さで差し切り勝ちを決め、デビューから無傷の2連勝とした。前走の手綱を取った横山武史騎手は「直線でやっとエンジンがかかって届いてくれました。まだまだこれからの馬ですが、それで2戦2勝だからすごいです」と、素質の高さを認めていた。2000メートルにこだわって出走してきた一頭。1勝馬が多いこのメンバー構成なら、オープンクラス勝ちの実績は胸を張れる。

かなりのスローペースを差し切ったメイクデビュー中京（芝2000メートル）と違い、前走の1勝クラス・紫菊賞は2歳コースレコード決着での2着。逃げたロードラヴォールを捕らえ切れず、クビ差で惜敗とはなったが、全く異なるペースでも結果を出せたことは収穫と言っていいだろう。騎乗した団野大成騎手も「結果だけが伴いませんでした」と語り、内容に合格点を与えていた。2012年のヴィクトリアマイルなど重賞5勝をマークしたホエールキャプチャを母に持つエピファネイア産駒。血統的な魅力も大きいとあれば、ここでの重賞制覇だけでなく、クラシック路線につながるような走りを期待したい。

三冠馬コントレイルの産駒で、父と同じ矢作芳人厩舎の管理馬。前走時の体重が446キログラムと牡馬にしては体が小さい面も、父によく似ている。メイクデビュー阪神（芝2000メートル）は3番人気での出走だったが、好位の内を進んで折り合いはスムーズ。直線での加速も素質を感じさせるものだった。騎乗した坂井瑠星騎手も「返し馬からいい印象を持っていました。すごく性格のいい馬。レースで色々と勉強しながらでしたが、結果も内容も良かったです」とコメントした。父はキャリア2戦目で重賞制覇を果たし、その後の活躍につなげた。今回は来春の可能性を確認する大事なレースとなりそうだ。

5頭立ての未勝利（小倉・芝1800メートル）を単勝オッズ1.1倍の圧倒的支持に応えて楽に勝ち切ると、札幌に遠征したオープン特別・コスモス賞（札幌・芝1800メートル）も単勝1.6倍の1番人気で完勝。勢いに乗って挑んだ前走のサウジアラビアロイヤルCでは8頭立ての7着と結果を出せなかったが、控える形の競馬を試したことも響いたようだ。騎乗した岩田康誠騎手も「素直過ぎて、リラックスして走れなかったです」と、現時点での課題を認めていた。前走の敗戦を糧にしながら、初めての2000メートルを克服できるかどうかが焦点になりそうだ。

メイクデビュー中京（芝2000メートル）を3馬身差で快勝したシスキン産駒。1番人気の支持を受けた前走のオープン特別・芙蓉S（中山・芝2000メートル）では4着に敗れたが、当時の体重が540キログラムという大型馬。それに比例してフットワークもかなり大きく、瞬時の加速が必要なコースと展開が向かなかった印象だ。その状況でも勝ち馬ウイナーズナインとのタイム差は0秒2。悲観する結果ではなかっただろう。騎乗した荻野極騎手も「緩さが残っているなかで走ってくれましたし、先々が楽しみな馬です」とコメントした。良化の余地がかなりありそうな馬だけに、重賞でも好勝負が期待できそうだ。

デビュー2戦目の未勝利（中京・芝2000メートル）で勝ち上がりを決めたエピファネイア産駒。初戦と違い、外枠からスムーズな競馬ができたことが大きかったとはいえ、出走馬中最速の上がり3ハロン33秒1（推定）をマークして楽々と突き抜けたレースぶりは、資質の高さを感じさせるものだった。騎乗していた吉村誠之助騎手も「いい内容で勝ち切ってくれました。体がしっかりとしてくれば、さらに良くなりそうです」と高く評価。2戦連続で2000メートルの距離を選択しているように、牝馬ながら目指す舞台は桜花賞でなく、中距離以上のオークス、秋華賞というイメージがある。牡馬相手の一戦で結果を出せるようなら、来年がかなり楽しみになる。

メイクデビュー京都（芝1800メートル）は11頭立ての5番人気での出走。調教での時計はそれなりの数字をマークし、動きそのものも良好ではあったが、メンバーがそろっていたことに加え、本馬自身が緩さを残す仕上がりであったこともこの人気の理由にあったはずだ。管理する吉岡辰弥調教師も「調教をあれだけやっても体には余裕がありました。それでこれだけ走るのですから、基本的な能力が高いのでしょう。鞍上の指示にも従えていましたし、距離の融通も利きそうとジョッキーも言ってくれました」とコメント。競馬を使ったことの上積みがかなり見込めるとあれば、重賞に条件を移しても互角以上の走りを期待してよさそうだ。