2番人気に推された2走前の中京記念は、ポンと好スタートを決めて好位の外めを追走。スローペースもあって上位馬とは位置取りやコース取りの差が出たが、最後までしぶとく脚を伸ばして勝ち馬から0秒2差の4着に入った。前走の天皇賞（秋）もスタートは速く、他馬の出方をうかがいながら好位をキープ。スローペースの瞬発力勝負で後れを取り11着に敗れたが、7頭のGⅠ馬をはじめ好メンバーがそろったなかで勝ち馬から0秒6差なら、悲観するレース内容ではないだろう。重賞タイトルこそ獲得していないが、今春の大阪杯4着など一線級で活躍する実力馬。ここなら主役の座は譲れない。

1番人気に支持された3走前の中山牝馬Sは、他馬の出方をうかがいながら2番手をキープ。逃げたペイシャフラワー（11着）が向正面でペースを上げたことで、前に行った組には厳しい展開になったが、直線でしぶとく脚を伸ばして勝ち馬から0秒1差の3着に入った。上位2頭より2キログラム重いハンデを背負っていたことを踏まえれば、“負けてなお強し”と言えるはずだ。2走前のヴィクトリアマイルは9着も、初の1600メートル戦で勝ち馬アスコリピチェーノと0秒4差。前走のクイーンSはスタートで立ち遅れて9着に敗れたが、本来のパフォーマンスを発揮できれば、あっさり勝っても不思議はない。

約3か月半の休み明けとなった前走の3勝クラス・甲斐路S（東京・芝1800メートル）は、中団で折り合いに専念。スローペースの瞬発力勝負になったなか、メンバー中最速タイとなる上がり3ハロン33秒1（推定）の末脚で豪快に突き抜けて、1馬身3/4差で快勝した。ペースの違いはあるが、同開催のアイルランドT（ラヴァンダ・1分45秒7）を上回る1分45秒4の走破時計も優秀。騎乗した津村明秀騎手も「中間の調教に乗って成長を感じていました。この勝ちっぷりで、このあとが楽しみになりました」と称賛を送っており、重賞でも能力は引けを取らない。

格上挑戦となった2走前の小倉記念は、最内枠を生かして好位のインをキープ。大逃げする馬がいてハイペースになったが、前を深追いせずにじっくり脚をためると、直線で馬群の中からスパッと抜け出して1馬身3/4差で快勝した。前走のチャレンジCはスタートで出負けしたが、二の脚で挽回して中団のインを追走。速いペースで飛ばした2頭の勢いが鈍り、4コーナーで馬群が凝縮したことで仕掛けをワンテンポ待つシーンはあったが、直線でジワジワと脚を伸ばして見せ場十分の5着に入った。2か月半ほど間隔は空いたが、栗東CWコースで自己ベストタイムをマークしたように、状態は高いレベルで安定している。

2走前の天皇賞（春）は好位のインに取りつくが、距離が長く2周目の3コーナー付近からポジションを下げて15着に敗退。約3か月半の休養で立て直しを図り、適条件に戻した前走の札幌記念は、じっくり脚をためて後方待機策。稍重のタフなコンディションのなか、3コーナー付近からインを通って徐々に押し上げると、メンバー中最速となる上がり3ハロン35秒0（推定）の末脚で懸命に追い上げて勝ち馬から0秒3差の3着に好走した。福島記念はこれまで3度出走して3着、3着、1着と抜群の相性を誇っており、58.5キログラムのトップハンデでも上位争いが期待できそうだ。

去勢明けとなった2走前の小倉記念は、本来のパフォーマンスを発揮できず11着。騎乗した団野大成騎手が「ポジションはいいところを取れてスムーズでしたが、3コーナー過ぎからハミを取りませんでした」と振り返った。前走のオールカマーは好位のインに収まったが、向正面でフェアエールング（4着）などが動いて、ポジションが後退。4コーナー9番手から直線で盛り返すように脚を伸ばして6着なら、レース内容は悪くない。気性面の難しさがあって陣営は試行錯誤を続けているが、去勢の効果が徐々に出て、好調時の雰囲気が戻ってきた。近況が不振でも、重賞勝ちの実績馬で軽視はできない。

昨年夏のクイーンSは、脚をためて中団を追走。スローペースで馬群が固まるなかで外を回ったが、直線では長くいい脚を使って一完歩ごとに差を詰め、ゴール寸前で先頭を捕らえると、最後はボンドガールの追い上げをアタマ差しのいで重賞タイトルを獲得した。その後は秋華賞9着、チャレンジC8着と振るわなかったが、4歳初戦となった前走の小倉牝馬Sでは、4コーナー15番手から直線で猛然と追い上げて勝ち馬から0秒2差の3着に入り、改めて能力の高さを示した。骨折による休養を余儀なくされ、ここは約10か月ぶりの実戦となるが、久々は苦にせず、有力候補に挙げられる。

秋初戦となった2走前のマリーンC（JpnⅢ・船橋・ダート1800メートル）は好位に取りつくも、3コーナー過ぎからジリジリと後退。離された9着に敗れたが、船橋の馬場が合わなかったとみれば、度外視可能だろう。前走の秋華賞は、五分のスタートからスッと控えて後方待機策。前に行った組が残る展開だったが、3コーナー過ぎから徐々に外へ出し、直線はセナスタイル（5着）と併せるように脚を伸ばして勝ち馬から0秒7差の7着なら、レース内容は悪くなかった。レース後の回復が早く、引き続き好調をキープしている様子。展開がかみ合えば遜色のない競馬ができそうだ。