今週の注目レース

菊花賞にもっとも近い前哨戦!「第60回 神戸新聞杯(菊花賞トライアル)」
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出走馬情報

ゴールドシップ

父ステイゴールド、母の父メジロマックイーンは、今や“黄金の配合”と言われるほどで、その代表産駒は昨年の三冠馬オルフェーヴル。しかし、ピッチ走法で走るオルフェーヴルやその全兄のドリームジャーニーと違い、毛色が芦毛でフットワークも大きいこの馬は、母の父メジロマックイーンの影響が強く出ているようだ。「だから、馬場はいくら悪くなってもいい。菊花賞まで、ずっと雨でもいいくらいだよ」と笑う須貝尚介調教師だが、これまで高速馬場にも高い適性を示してきた。5着に敗れた前走の日本ダービーでマークした上がり3ハロン33秒8(推定)は、ワールドエース(4着)と並ぶ出走馬中最速タイム。「共同通信杯も速い上がりタイム(33秒3、推定)で勝っているので、オールマイティーですよ。ある程度の位置で競馬ができれば、結果はついてくるでしょう」と語っており、自信を持って臨む復帰戦で、クラシックホースの貫禄を示したいところだ。

 

ヒストリカル

皐月賞もNHKマイルCもパスして挑んだ前走の日本ダービーは18着に大敗、まるで競馬にならなかった。半兄に1600mから2000mで12勝を挙げたカンパニーがいる血統背景、さらに馬体重の減少(マイナス8キロ)が敗因として挙げられるが、音無秀孝調教師は「ゲート内で打撲したのが影響したようです。最後まで力が入らないまま、走ってきたようだから」と分析していた。「馬体重に関しては確かに減り過ぎたと思いますが、距離に関しての結果はまだ出ていないと考えています。だからこそ、神戸新聞杯を秋の初戦に選びました」。今回は日本ダービーの雪辱戦という意識を陣営は強く持っている。舞台は、マウントシャスタ(2着)を並ぶ間もなく差し切り、重賞初制覇を飾った毎日杯と同じ阪神の外回りコース。世代トップレベルの瞬発力をうまく活かせるようなら、結果はおのずとついてくるはずだ。

 

マウントシャスタ

今年の春シーズンは能力の高さを見せてはいたものの、収得賞金を思うように加算できず、目標としていた日本ダービーへの出走が叶わなかった。重いハンデが予想されたラジオNIKKEI賞をパスして挑んだのが、古馬の一線級を相手にした前走の宝塚記念。見せ場たっぷりの5着という結果は、早くから「素質は、同厩舎のワールドエースと同じくらいある」と語っていた陣営の見立て以上のものだったと言える。「さすがにレース後は疲れていたけれど、まだ若いということもあって、回復は早かったね。秋は同世代の馬を相手に、好結果を残していきたい」と、池江泰寿調教師はこの馬に大きな期待を懸けている。ワールドエース、トーセンホマレボシと、同じ池江厩舎所属のエース級が相次いで戦線離脱したため、期待を一身に背負うこととなりそうだ。

 

ベールドインパクト

2007年のヴィクトリアマイルを勝ったコイウタの半弟で、父がディープインパクトという血統背景なら、瞬発力に秀でたタイプを連想しそうだ。しかし、490キロ前後の恵まれた馬格に大きなストライドの同馬は、一瞬の速い脚よりも長く良い脚を使えるタイプで、同じディープインパクト産駒の大型馬トーセンホマレボシにイメージが似ている。JRAレコードの高速決着でスピードの持続力が求められた京都新聞杯(2着)で、この2頭がワンツーフィニッシュを決めたのがその証明と言えそうだ。阪神・内回りコースで行われたオープン特別のすみれS(芝2200m)を勝っているが、レースがしやすいのは、神戸新聞杯の舞台となる阪神・外回りコースと本番の菊花賞が行われる京都の外回りコースだろう。今回の結果次第では、本番でも注目を集める存在になるかもしれない。

 

カポーティスター

連闘で挑んだにもかかわらず、前々走の青葉賞では2番人気の高い支持を受けた。これは、レースの上がり3ハロンのラップが11秒3−11秒1−11秒1という瞬発力勝負の流れで、2着馬に5馬身差をつけた3走前の500万下・新緑賞(東京・芝2300m)での勝ちっぷりがあまりに鮮烈だったからにほかならない。「その新緑賞が12キロの馬体減と、仕上げ過ぎたかもしれない」と語る矢作芳人調教師の予感が的中し、次走の青葉賞では馬体重こそプラス2キロと維持したものの、直線でじりじりと伸びただけで9着に敗退した。しかし、陣営の同馬に対する高い評価は変わらず、父ハーツクライと同様にこの馬も晩成タイプと見ているようだ。前走の1000万下・玄海特別(小倉・芝2000m、2着)で14キロ増と馬体重が回復していた点は歓迎材料。実績馬は休み明けで臨む馬が多いだけに、ひと叩きされた上積みが見込めるのは大きなアドバンテージと言える。

   
   
実力がストレートに出やすい阪神競馬場の外回りコース・芝2400mに神戸新聞杯の条件が変更されたのは2007年。昨年までの過去5年の優勝馬のうち、4頭がすでにGI・JpnI を制していた馬で、ハイレベルな顔ぶれが名を連ねる。その後の勝ち鞍も含めると、日本ダービー、ジャパンカップ、宝塚記念、有馬記念と、GI の中でも最高峰に位置付けられているレースばかり。あくまでGII の菊花賞トライアルではあるが、その後のGI 戦線を見据えたうえでも重要な一戦と言えるだろう。ここは、休養明けの馬が多い登録馬の状態をしっかりとチェックすることから、話を進めていきたい。

1番手に取り上げるのは、皐月賞馬のゴールドシップ(牡3・須貝尚介)。8月12日に函館競馬場に入厩して、秋競馬に向けての調整を開始。その後は札幌競馬場に移動して調整されたあと、9月2日に栗東トレーニング・センターへ帰厩した。主戦の内田博幸騎手が騎乗して行われた12日の1週前追い切りは、坂路で4ハロン58秒7と予定していた時計よりもかなり遅くなったため、毎日王冠に出走を予定しているジャスタウェイ(3歳・オープン)との併せ馬を15日にCWコースで敢行して軌道修正。6ハロン82秒3−3ハロン36秒8-ラスト1ハロン11秒9をマーク、1馬身の先着を果たした動きに須貝尚介調教師も満足した様子だった。今週のひと追いで、出走態勢がほぼ整うと見てもいいだろう。

毎日杯で重賞初制覇を飾ったヒストリカル(牡3・音無秀孝)は、続く前走の日本ダービーで18着のしんがり負け。予期せぬ大敗を喫した陣営にとって、ここは改めて実力を証明するための大事なレースとなりそうだ。日本ダービー出走時の馬体重426キロは、デビュー戦から16キロ減少したもので、まずは放牧で充電して馬体の回復を最優先。栗東トレーニング・センターに帰厩したのは8月24日だった。12日の1週前追い切りは、併せたトラバント(4歳・1600万下)が攻め駆けするタイプということもあって2馬身ほどの併走遅れとなったが、坂路で4ハロン51秒9という時計は及第点以上の数字。むしろ、春よりもふっくらと見える馬体に好感が持てる。レース当日は大幅な馬体増であっても、プラス材料と解釈できるはずだ。

毎日杯2着馬のマウントシャスタ(牡3・池江泰寿)は、収得賞金不足で日本ダービーへの出走が叶わず、オープン特別の白百合S(京都・芝1800m)を快勝したあと、続く前走の宝塚記念で始めて古馬と対戦、12番人気ながら5着に健闘して上半期を終えた。前走後は放牧で英気を養い、栗東トレーニング・センターに帰厩したのは8月29日。調整は極めて順調で、13日にCWコースで行われた1週前追い切りでは、3頭併せの最内から楽々と突き抜けた。5ハロン66秒5−3ハロン37秒1−ラスト1ハロン11秒9のタイムは上々の内容。好仕上がりでの出走となりそう。この秋は、同世代でトップクラスの能力があることを証明したいところだ。

ベールドインパクト(牡3・大久保龍志)は、前々走の京都新聞杯で2分10秒0のJRAレコードをマークして圧勝したトーセンホマレボシから0秒4差の2着に入ったあと、前走の日本ダービーで9着に敗退。レース後は放牧でリフレッシュを図られた。秋はここから始動の予定で、8月22日に栗東トレーニング・センターへ帰厩。CWコースで行われた9月12日の1週前追い切りは併走馬にわずかに遅れたが、これは併せた相手が走り過ぎた印象で、ラスト1ハロンは11秒8と鋭い伸び脚を見せており、仕上がり具合は決して悪くないはず。

約4か月の休み明けで臨んだ前走の1000万下・玄海特別(小倉・芝2000m)で古馬と初対戦し、勝ち馬から0秒1差の2着に入ったカポーティスター(牡3・矢作芳人)は、今後の活躍が期待できる素質馬だ。まだ1000万下クラスの身で、ここは是が非でも3着以内に入って、菊花賞の優先出走権を獲得したいところだろう。

メイショウカドマツ(牡3・藤岡健一)は、皐月賞トライアルの若葉S(阪神・芝2000m)で2着に入ったほか、前々走の京都新聞杯5着、前走のラジオNIKKEI賞4着と、オープンクラスで好成績をマーク。展開に条件が付く競馬が多かった状況下での掲示板確保は素質の証明と言える。今夏の休養で心身ともに成長を遂げていれば、この秋は大きく飛躍する可能性もありそうだ。今回、有力馬は差しタイプが多く、展開面で有利なメンバー構成となりそうなだけに、マイペースの逃げに持ち込んでどこまで粘れるかがポイントだろう。

前走で1000万下の特別レースを勝ち上がってきた2頭にも注目したい。ミルドリーム(牡3・角居勝彦)は、約4か月の休み明けで臨んだ前走の弥彦特別(新潟・芝1800m)で中団追走から上がり3ハロン32秒7(推定)という極限の末脚を繰り出して優勝。前走時の馬体重はプラス10キロの432キロで、今回はひと叩きされた上積みが大きく見込める。ユウキソルジャー(牡3・服部利之)は、ここ4戦で3勝を挙げている上がり馬。前走の北海ハンデキャップ(函館・芝2600m)では、好位追走から直線で抜け出して2着馬の追撃を半馬身退け、1番人気の支持に応えて勝利。この2頭はともに2400m以上のレースで勝ち星を挙げており、長距離は良さそうなタイプ。今回の強力メンバーを相手にどこまでやれるかがポイントとなるが、今回だけでなく、次走につながる競馬を期待したい。

(松浪大樹)

ご注意:当コーナーの情報は、制作段階の情報に基づき制作されております。出走回避などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。

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