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  カーインライジング／ヘリオスエクスプレス

香港短距離界に出現した「新怪物」と称されているのが、カーインライジングだ。3番手追走から、残り300メートル付近で先頭に立ち、そこから鞍上が追うと瞬時に後続を突き放した、前走・香港ジョッキークラブスプリント（G2・香港）のレースぶりは圧巻だった。ゴール前100メートルは流したにもかかわらず、勝ち時計1分07秒43は2007年にセイクリッドキングダムが作った記録を17年ぶりに更新するトラックレコードで、桁違いのスプリント能力を持つ馬との印象を受けた。2018年のホットキングプローン、2022年のラッキースワイネスなど、日の出の勢いで躍進してきた若手スプリンターがここでつまずく場面を見てきたが、カーインライジングは別格とみる。

2番手には、地元・香港のヘリオスエクスプレスを推したい。昨シーズンの香港4歳三冠シリーズの二冠馬で、1800メートルまでこなしていたのだが、今季は短距離路線に特化。プレミアボウル（G2・香港）2着、香港ジョッキークラブスプリント3着と、安定した成績を残している。

合田　直弘（海外競馬解説者）

1959年（昭和34年）東京生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年（昭和57年）大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の制作に携わり、1988年（昭和63年）テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬を学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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  カーインライジング／スターラスト

破竹の急上昇を見せている香港の新たなスターホース・カーインライジングが、今年の香港スプリントで敗れる場面は想像しがたい。2024年はここまで9戦しているが、初戦と2戦目が2着だった以降は、7連勝中である。極端な道悪になるなど、よほどのことがない限り、この馬の連勝は続きそうだ。

実績で言えば、2023/24年シーズンの香港最優秀短距離馬・カリフォルニアスパングルが上位だが、ここ2戦はカーインライジングに連敗しており、勢いをそがれている印象が否めない。

替わって2番手に推したいのが、3歳馬で今が伸び盛りのスターラストだ。11月2日に行われたブリーダーズカップターフスプリント（G1・アメリカ）の勝ち馬だが、デルマーのタイトなコーナーをスピードに乗って走り切った姿が目に焼き付いている。前走は1000メートルの距離だったが、1ハロンの延長はまったく問題ない。

2頭のセレクションからは漏れてしまったが、日本調教馬3頭も、いずれも2着に来ておかしくない能力の持ち主とみている。（訳：合田直弘）

Emma Berry（エマ・ベリー）

ワールドワイドな競馬日刊紙サラブレッド・デイリー・ニュースのヨーロッパ・パートの編集責任者。これまでも、サラブレッド・オーナー&ブリーダー、ペースメーカーホース&ハウンド、レーシングポスト、インサイドレーシング（オーストラリア）など、数多くの競馬および馬術関係出版物に寄稿している。 少数ながら馬も所有し、生産と競馬にも従事。夫は調教師のジョン・ベリーで、現在はニューマーケット在住。