海外競馬発売

香港カップ(G1)

シャティン競馬場 2000メートル(芝)3歳以上

発売開始時刻
日本時間12月8日(日曜)
ネット投票:午前7時00分
UMACA投票:午前9時20分または午前9時30分
発走予定時刻
日本時間12月8日(日曜)午後5時15分

2019年香港カップレース結果・回顧

日本馬ウインブライトが春のクイーンエリザベスⅡ世Cに続き香港G1の2勝目を飾る

香港マイルを終えた時点で、日本が香港ヴァーズと香港マイルの2勝、香港が香港スプリントの1勝という状況に、誰もが18年前のあの日の再現を予感していた。日本馬による、香港国際競走1日3勝。しかも、人気の一角(日本では1番人気、香港では3番人気)としてウインブライト(牡5歳。美浦・畠山 吉宏 厩舎)は歓喜の再現に挑む。

週の間を通して、香港や海外メディアから香港カップに関する話題を振られる際は「アーモンドアイがいなくなった香港カップ」を残念がることが枕詞のようになっていた。もちろんウインブライト自身も、春に同じ舞台でクイーンエリザベスⅡ世Cを勝っており、有力馬の1頭であると目されてはいた。しかし、「アーモンドアイロス」とも言える空気感においては、むしろ春の覇者としてはそれほどプレッシャーを受けずに済んでいたようだ。

ところが、引き続き鞍上を託されていた松岡正海騎手はそうではなかった。レース後の談話で「責任重大だった」という言葉を用いていたように、それは外部からのプレッシャーではない。相手にマジックワンドがいようとも、自分にミスがなければ勝てるはずの馬。無様なレースをしてしまえば、4月の勝利はフロック視されてしまう。そして、今回日本人騎手で香港国際競走に騎乗するのは彼一人だけだった。春の王者としての矜持と、日本人騎手としての意地が間違いなくそこにはあった。

レースは8頭立ての少頭数。ウインブライトは大外の8番枠を引き当てた。大外は不利とされるシャティン競馬場の芝2000メートル。14頭立ての8番枠であれば悲観するものではないが、8頭立てであれば、むしろこの小さな差こそが勝敗を分けることとなりやすい。最初のコーナーで判断を躊躇してはいけない。行くか、控えるか、腹を括った乗り方が必要だ。

ゲートが開いて、ウインブライトは少し外によれるようなスタートとなってしまい、1歩目が遅れ気味となった。4月のレースでもやや出遅れたが、最内だったことでうまく挽回できた。しかし、今回は大外。松岡騎手は躊躇せず先団へと馬を促した。1コーナーに入ったところでは、5頭分外を回されたが、それでも、2コーナーに入る前に、やや強引ながらも、タイムワープとグロリアスフォーエバーが積極的に先行するすぐ後ろ、マジックワンドの外のポジションを取り切った。

道中は2頭ずつが縦に4つに並ぶ展開。逃げたタイムワープはそれほど飛ばさず、ほぼ1ハロン12秒のペースをキープする。3コーナーまで変わらないまま推移した隊列が、4コーナーを向かえるところでぐっと凝縮する。直線に入ったところで、ウインブライトは、すぐ前のグロリアスフォーエバーをうまく使って、内のマジックワンドに出しどころを与えないようにしながら、前を行く2頭をかわしにかかる。そこへ外から並び掛けてきたのがライズハイ。これを振り切った残り150メートルで、内からもマジックワンドが狭いところを縫って一気に差を詰めてきた。ウインブライトとマジックワンドが内のほうへもつれるようにしてゴールイン。わずかにウインブライトに軍配が上がった。

  • 後続の追撃を振り切り優勝したウインブライト

  • 今回の香港国際競走で唯一の日本人騎手となったが見事に勝利した松岡騎手

引き上げてきたマジックワンドのR.ムーア騎手は口を真一文字に閉じ、眉間にきつめのしわを寄せたまま、一言も発さずに検量室へと入っていった。C.ホー騎手は自身初のビッグタイトルを獲れなかったことにうつむくことなく、「よく走ってくれました。まだ先があります」と前を向いた。

「日本にとってファンタスティックデー再び、ステイゴールドの仔、ウインブライト!」
場内アナウンスは、あの18年前の歓喜の記憶を呼び起こさせる。日本調教馬の今年の海外GIは、なんとこれが8勝目。香港ではサトノクラウンとモーリスが勝った2016年以来奮わず、昨年は香港調教馬が完全勝利と押され気味だったが、あらためてその存在感を世界に知らしめた。

多くの日本人ファンが祝福する中、観客の前を引き上げてきた松岡騎手は、ほっとしたような表情を見せる。畠山調教師は「来年の4月、また来てくれるか?」の問いに、「呼ばれれば是非」と答える。香港としても負けたままで終われない。

表彰式が終わった頃には、誰もアーモンドアイの名前を口にしなくなった。アーモンドアイのいなくなった香港カップではない。類稀なるシャティン巧者、ウインブライトが香港2000メートルの国際招待競走を完全制圧したとして、記録と記憶に刻まれる香港カップとなった。

文:土屋 真光

  • 今年の12戦目となったマジックワンド(左)はゴール前差を詰めるも2着

  • 表彰式で喜びの表情を見せるウインブライト関係者

1着 ウインブライト 畠山 吉宏 調教師のコメント
「夏以降の2戦は残念でしたが、香港に来てからは香港ジョッキークラブのサポートもあり、体調も上がって日に日に良くなりました。このレースは日本でも中継されているので、最高な日となりました。来年も選出されたら香港に来たいと思います」

1着 ウインブライト 松岡 正海 騎手のコメント
「秋の2戦は不甲斐なかったのですが、香港に来てからは調子が良かったのでいけると思いました。右回りのこういうコース形態は彼に合っていると思っていました。ゴールの瞬間は頭くらい出ていると思いました。結果を出せて良かったです」

2019年12月8日(日) シャティン競馬場(香港)

8R

第33回 香港カップ(G1)

3歳以上 定量 2000m 芝・右
賞金総額28,000,000香港ドル 発走  16:15 (現地時間)
1着賞金15,960,000香港ドル 芝:良
着順 馬番
(ゲート)
馬 名 (生産国)



騎手 タイム ・
着差



(kg)
調教師 (調教国)


1 1 (08) ウインブライト(JPN) 牡5 57.0 松岡 正海 2:00.52 486 畠山 吉宏(JPN) 1
2 7 (02) マジックワンド(IRE) 牝4 55.5 R.ムーア 短アタマ 472 A.オブライエン(IRE) 3
3 2 (03) ライズハイ(FR) せん5 57.0 C.ホー 1/2 501 C.ファウンズ(HK) 4
4 6 (01) フローレ(NZ) せん5 57.0 H.ボウマン 1 3/4 499 F.ロー(HK) 2
5 8 (04) エディザ(USA) 牝3 54.0 S.パスキエ 2 1/4 422 A.ドゥロワイエデュプレ(FR) 7
6 4 (05) グロリアスフォーエバー(GB) せん5 57.0 Z.パートン 2 3/4 534 F.ロー(HK) 5
7 5 (07) ダークドリーム(AUS) せん5 57.0 D.レーン 3 1/2 506 F.ロー(HK) 8
8 3 (06) タイムワープ(GB) せん6 57.0 K.ティータン 7 569 A.クルーズ(HK) 6
 着差は1着馬からの着差を表しております。
払戻金
単勝 1 330円 1番人気 馬連 1-7 610円 1番人気 馬単 1-7 1,140円 3番人気
複勝 1
7
2
130円
130円
120円
3番人気
4番人気
1番人気
ワイド 1-7
1-2
2-7
260円
260円
250円
5番人気
4番人気
2番人気
3連複 1-2-7 710円 1番人気
3連単 1-7-2 3,130円 2番人気

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