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日本馬3頭を含む8頭立てで行われた今年のドバイシーマクラシック。戦前は地元ゴドルフィンのレーシングヒストリーがハナへ行くかと予想されたが、思わぬ馬が引っ張る形となった。
JRAのオッズで単勝1番人気に支持され、日本馬3頭の中でも実績的にエースと思われていたレイデオロ(牡5歳。藤沢和雄厩舎)が2コーナー付近でハナに行ったのである。
「最初のコーナーまではリラックスしていたけど、その後はハミを噛んで逃げる形になってしまいました」
レース後、手綱を取ったC.ルメール騎手はそう言った。その様子を見守る藤沢和雄調教師は、後に次のように話す。
「逃げるのを予想できなかったわけではありません。でも、実際に行ってしまうと大丈夫かな? という思いで見ていました」
レイデオロの後ろはマジックワンド、ハンティングホーンのA.P.オブライエン厩舎勢。さらに後ろのインにオールドペルシアン、その少し外にレーシングヒストリーと、ゴドルフィン勢が追走。後方にはシュヴァルグラン(牡7歳。友道康夫厩舎)とスワーヴリチャード(牡5歳。庄野靖志厩舎)の日本勢。デザートエンカウンターが最後方という隊列で、レースはゆったりと流れた。
序盤の前半800メートル通過が50秒45。遅い。前に有利と思えるラップだが、逃げるレイデオロの鞍上で、ルメール騎手は異変を感じていた。
「掛かってはいないのですがハミを噛みっ放しになりました」
それでも流れは依然緩いまま。前半1200メートルの通過時計は1分14秒66となり、中団にいたオールドペルシアンに騎乗したW.ビュイック騎手は後に次のように語っている。
「緩い流れの分、馬群が一団となり、前との差はそれほど開いてはいなかったのですが、だからこそ前に残られてしまわないか? という不安はよぎりました」
3コーナーではヨーロッパ競馬に見られるような隊列が内と外の2列に。遅いラップのわりに早々に手応えが怪しくなったレイデオロを、まず捕まえに動いたのは2番手にいたマジックワンドだった。4コーナー過ぎにレイデオロに並びかけ、かわしにかかる。そのさらに外からオールドペルシアンにもかわされると、レイデオロに抵抗する余力はなかった。
一瞬、先頭に立ったマジックワンドをすぐにかわしたのがオールドペルシアン。これがラスト300メートル付近の出来事。するとマジックワンドも伸びを欠き、差し馬勢が一気に襲い掛かったが、末脚が中でも目を引いたのは日本勢の2頭。大外からシュヴァルグラン、馬群の中をさばいてスワーヴリチャードが伸びた。しかし、残念ながらともに先頭を奪うまでには至らず、オールドペルシアンから1.5馬身差の2着にシュヴァルグラン、そこからに0.5馬身遅れの3着にスワーヴリチャードが入った。
最後の直線で鋭い末脚を繰り出したオールドペルシアン(右)が優勝
喜びの表情を浮かべる関係者(右はC.アップルビー調教師)
2分27秒17の時計で勝利したオールドペルシアンのC.アップルビー調教師とビュイック騎手のコンビはこの日、ドバイゴールドカップ(G2)とアルクオーツスプリント(G1)に続く重賞3勝目。オールドペルシアンは前哨戦のドバイシティーオブゴールド(G2・UAE)を含め過去に重賞を3勝しているが、いずれもG2。G1はこれが初めての制覇となった。
「久々の前走あたりから状態がどんどん良くなっていました。ウイリアム(ビュイック騎手)も上手に乗ってくれました」
アップルビー調教師は満面の笑みでそう語った。
文:平松 さとし
2着シュヴァルグラン
3着スワーヴリチャード
6着レイデオロ
2着 シュヴァルグラン 友道 康夫 調教師のコメント
「もう一列前のポジションが理想でしたが、スタートで寄られてしまいました。初めての海外遠征でしたが、良く頑張ってくれたと思います」
2着 シュヴァルグラン H.ボウマン 騎手のコメント
「常に良い走りをしてくれる馬ですね。スタートで少し出遅れてしまいましたが、レース序盤の早いペースから中盤スローになったので、位置取りは悪くありませんでした。最後は勝馬が強かったですが、本当に良く頑張ってくれました。褒めてあげたいと思います。私自身メイダンで初めて騎乗しましたが、勝ちたかったです」
3着 スワーヴリチャード 庄野 靖志 調教師のコメント
「今日はずっと落ち着いていました。状態は非常に良かったです。装鞍所からパドックまでの歩様も良かったです。スタートは上手く出て、道中もリラックスして走れていました。直線でも良い手応えだったのですが・・・
でも、3着まで良く来てくれたので褒めてあげたいと思います」
3着 スワーヴリチャード J.モレイラ 騎手のコメント
「3着には満足しています。レース中もこちらの指示通り動いてくれました。スタートで良い位置を取れたのですが、前にいた馬が下がってきてしまい、位置取りが後ろになってしまいました。直線も良い脚を使ったのですが、前の2頭には届きませんでした」
6着 レイデオロ 藤沢 和雄 調教師のコメント
「思わぬ展開になりました。スタートして一旦落ち着きかけましたが、我慢できませんでした。今日はこの展開につきます」
6着 レイデオロ C.ルメール 騎手のコメント
「逃げる形になってしまいました。スタートから1コーナーまではリラックスしていましたが、向正面でかかってしまいました」
2019年3月30日(土) メイダン競馬場(アラブ首長国連邦) | ||
8R |
第22回 ドバイシーマクラシック(G1) |
北半球産馬4歳以上,南半球産馬3歳以上 定量 | 2410m 芝・左 | |||
賞金総額 | : | 6,000,000米ドル | 発走 20:00 (現地時間) | |
1着賞金 | : | 3,600,000米ドル | 天候:晴 芝:良 |
着順 | 馬番 (ゲート) |
馬 名 (生産国) | 性 齢 |
負 担 重 量 |
騎手 | タイム ・ 着差 |
馬 体 重 (kg) |
調教師 (調教国) | 単 勝 人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 (02) | オールドペルシアン(GB) | 牡4 | 56.5 | W.ビュイック | 2:27.17 | C.アップルビー(UAE) | 2 | |
2 | 1 (01) | シュヴァルグラン(JPN) | 牡7 | 57.0 | H.ボウマン | 1.5 | 友道 康夫(JPN) | 4 | |
3 | 7 (07) | スワーヴリチャード(JPN) | 牡5 | 57.0 | J.モレイラ | 0.5 | 庄野 靖志(JPN) | 3 | |
4 | 5 (05) | ハンティングホーン(IRE) | 牡4 | 56.5 | W.ローダン | 8.25 | A.オブライエン(IRE) | 8 | |
5 | 3 (03) | マジックワンド(IRE) | 牝4 | 54.5 | R.ムーア | ハナ | A.オブライエン(IRE) | 5 | |
6 | 6 (06) | レイデオロ(JPN) | 牡5 | 57.0 | C.ルメール | 2.25 | 藤沢 和雄(JPN) | 1 | |
7 | 4 (04) | レーシングヒストリー(IRE) | 牡7 | 57.0 | C.スミヨン | 1.75 | S.ビン・スルール(UAE) | 6 | |
8 | 8 (08) | デザートエンカウンター(IRE) | せん7 | 57.0 | J.クローリー | 2.25 | D.シムコック(GB) | 7 |
単勝 | 2 | 300円 | 2番人気 | 馬連 | 1-2 | 1,120円 | 5番人気 | 馬単 | 2-1 | 1,960円 | 10番人気 |
複勝 |
2 1 7 |
120円 150円 170円 |
1番人気 3番人気 4番人気 |
ワイド |
1-2 2-7 1-7 |
330円 400円 410円 |
4番人気 6番人気 8番人気 |
3連複 | 1-2-7 | 2,080円 | 8番人気 |
3連単 | 2-1-7 | 10,170円 | 42番人気 |
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