海外競馬発売

ドバイゴールデンシャヒーン(G1)

メイダン競馬場 1200メートル(ダート)3歳以上

  • 発売開始時刻日本時間3月31日(土曜) 午前7時00分

  • 発走予定時刻日本時間3月31日(土曜) 午後11時40分

レース結果・回顧

マインドユアビスケッツがレコードタイムで連覇達成

枠順確定後にシロングが出走を取り消して8頭立て。
太陽はすでにスタンドの裏に隠れ、ナイター照明がコースを浮かび上がらせる。まさに黄昏時ともいえる雰囲気の中、誘導馬に先導された、8頭の出走馬がパドックに姿を現した。

逃げのエックスワイジェット、好位差しのロイエイチ、追い込みのマインドユアビスケッツ。三者三様のキャラクターを持つアメリカのトップスプリンターの三つ巴の様相で、オッズの面ではG1・2勝を含む目下3連勝中のロイエイチ(せん6歳)が断然の人気を集めていた。

そのロイエイチにはピーター・ミラー調教師が常に馬の内側を歩く。調教で見せていた陽気さは、この日は全く見られず、むしろナーバスに見えるほど。
エックスワイジェット(せん6歳)のホルヘ・ナヴァロ調教師は、泰然自若といった様子。穏やかな笑みで、周囲の人間と挨拶を交わしていた。
ゼッケン1番ながら最後にパドックへ姿を現したのが連覇を狙うマインドユアビスケッツ(牡5歳)。「この馬は競馬の日は少しナーバスなところがあるんだ。それを抑えるために“おまじない”をかけてきたんだ」そう言いながら握手するチャド・サマーズ調教師の手は、じっとりと汗がにじんでおり、少し目の下がくぼんで疲れているようにも見えた。

  • ゴールへと向かうアメリカ馬3騎

  • マインドユアビスケッツが連覇達成

この日のダートのレースは、口開けのゴドルフィンマイル以外、ここまでカハイラクラシック、UAEダービー(G2)ともにレコード決着。特にUAEダービーに至っては、勝ったメンデルスゾーンの1600メートル地点通過ラップが、ゴドルフィンマイル(G2)の勝ちタイムとほぼ差がないという、かなり特殊な馬場状態であった。
すんなりと8頭がゲートに納まって、スタートを切ると、ロケットスタートを決めたのは、前哨戦のマハブアルシマール(G3)をレコードタイムで逃げ切ったジョーダンスポート(せん5歳)。ファウジ・ナス調教師は、例え8頭立てだとはいえ、大外枠になったことを嘆いていたが、快速を生かして内へと切れ込んでいく。同じ脚質のエックスワイジェットは完全に前に入られ、キックバック(砂の跳ね返り)をよけるために1頭分外へと持ち出した。その後ろを内にマテラスカイ(牡4歳、栗東・森秀行厩舎)、外にマイキャッチ(せん7歳)が、この直後をロイエイチが「いつでもかわせるぞ」という気配で続いた。マインドユアビスケッツは、スタートこそ五分だったが、二の脚がつかず、レイナルドザウィザード(せん12歳)が内に切れ込んだのと入れ替わりで外に持ち出して、最後方を追走した。

3コーナーを過ぎると、マテラスカイが内から単独3番手に押し上げ、さらに外からロイエイチも外に並びかけてくる。直線に向くところでは、逃げるジョーダンスポートにエックスワイジェットが外から並び、その直後にマテラスカイ、ロイエイチが接近。マインドユアビスケッツはこの時点で10馬身近く離されて、依然最後方を回っていた。

残り300メートルを切ったところでジョーダンスポートが徐々に失速、替わって外からロイエイチが先頭を行くエックスワイジェットへと迫る。マテラスカイも内で粘るが、ここから伸びるほどの脚は残されていない様子。そこへ、完全に圏外と思われた位置から、大外を飛んできたのがマインドユアビスケッツ。もうひと伸びが出ないロイエイチを残り100メートル付近でかわすと、抵抗するエックスワイジェットもゴール直前で測ったかのようにアタマ差かわし、連覇のゴールへと飛び込んだ。勝ちタイムは1分10秒12で、このレースもレコードタイム。日本のマテラスカイも最後まで健闘し5着でフィニッシュした。

昨年の勝ち馬(マインドユアビスケッツ)と一昨年の2着馬(エックスワイジェット)でのフィニッシュ。断然人気で3着に敗れたロイエイチのミラー調教師は、呆然とした表情でビジョンを見つめる。直前のアルクオーツスプリント(G1)でも、3頭出しの必勝態勢で挑みながら、2、3、6着という結果だっただけに、無理もないことだろう。2着のナヴァロ調教師は、ベストは尽くした、という表情を見せる。マインドユアビスケッツのサマーズ調教師は、片手で両方の目頭を押さえるようにしながら、驚異的な最後のひと伸びを見せた愛馬を待ち構えた。

口取り撮影を終えると、次々に共にシェアするオーナーたちひとりひとりと熱い抱擁を交わした。それはサマーズ調教師の父であり、弟である。
「彼らのサポートに大きく感謝します」
そう長兄のサマーズ調教師が述べると、
「私たちは彼のアイディアを楽しみ、信じるだけです」
と父のスコット・サマーズ氏は続けた。
「この馬はゴールがどこかを知っている馬だし、絶対に諦めない馬だと信じていたけど……。さすがに4コーナーを回ったときの9〜10馬身のビハインドは諦めそうになりました。2頭のアメリカの馬はとてもリスペクトしていますので、簡単ではないと思いました。スタートして外のエックスワイジェットがすぐ前に行ってくれたおかげでうまく外に切り替えられ、受けるキックバックも少なく済んだと思います」

  • マテラスカイは世界の強豪相手に5着

  • 会見でポーズをとる
    マインドユアビスケッツのロザリオ騎手

  • サマーズ家。左が調教師のチャド氏、
    右から3番目が父のスコット氏

そう、サマーズ調教師が勝因を振り返ると同時に、今後についても言及する中で、驚きのプランを口にした。
「去勢していない5歳ですので、種牡馬という選択肢もありますが、まだまだやることはあるはずです。ペガサスワールドカップ(G1、アメリカ)もそのひとつ。近走でマイルまでの距離を使っていたのは、それを視野に入れてのことでもありました」
ペガサスワールドカップはダート1800メートルで、出走馬の馬主が枠を購入することで出走権利を得られる、まさに「ステークス」の競走(本来のステークスは馬主どうしが賞金を拠出して、その賞金を取り合うレースのこと)。サマーズ調教師は、その出走権利をすでに一口持っているのだそうだ。
「ペガサスに向かうのか、マイルなのか、スプリントなのか、それを試しながら行くのか、まずは戻ってから考えたいです」

「Mind Your Biscuits」という馬名は、「大きなお世話」の意味である「Mind Your (own) Business」をもじってつけられたという。レースが終わって余韻が残る中、来年1月の話を今からするのは、それこそ「大きなお世話」なのかもしれない。

文:土屋 真光

5着 マテラスカイ 森 秀行 調教師のコメント
「理想はハナだったけど、相手がこれまでと違うから。それでも、あの形から4コーナーで前に取りついたし、砂をかぶったのを嫌がらなかったのは収穫でした」

5着 マテラスカイ 武 豊 騎手のコメント
「スピード負けはしてなかったし、道中の感覚も悪くなかった。馬は戸惑ってなかったし、最後伸びてくれればと思ったけど、さすがに相手が強かった」

2018年3月31日(土) メイダン競馬場(アラブ首長国連邦)

6R

第25回 ドバイゴールデンシャヒーン(G1)

3歳以上 定量 1200m ダート・左
賞金総額2,000,000米ドル 発走  18:40 (現地時間)
1着賞金1,200,000米ドル 天候:晴 ダート:良
着順 馬番
(ゲート)
馬 名 (生産国)



騎手 タイム ・
着差



(kg)
調教師 (調教国)


1 1 (01) マインドユアビスケッツ(USA) 牡5 57.0 J.ロザリオ 1:10.12
レコード
C.サマーズ(USA) 3
2 2 (02) エックスワイジェット(USA) せん6 57.0 E.ハラミーヨ アタマ J.ナヴァロ(USA) 2
3 6 (06) ロイエイチ(USA) せん6 57.0 K.デザーモ 0.75 P.ミラー(USA) 1
4 4 (04) ワイルドデュード(USA) 牡8 57.0 S.デソウサ 3 A.ビン・ハルマシュ(UAE) 8
5 5 (05) マテラスカイ(USA) 牡4 57.0 武 豊 1.25 森 秀行(JPN) 5
6 9 (09) ジョーダンスポート(GB) せん5 57.0 A.デフリース 1.25 F.ナス(BHR) 4
7 3 (03) レイナルドザウィザード(USA) せん12 57.0 R.マレン 2.25 S.シーマー(UAE) 7
8 8 (08) マイキャッチ(IRE) せん7 57.0 P.ドッブス 18 D.ワトソン(UAE) 6
取消 7 (07) シロング(GB) 牡5 57.0 P.コスグレイヴ H.アル・アラウィ(UAE)
 着差は先着馬からの着差を表しております(馬身表示)。
払戻金
単勝 1 760円 3番人気 馬連 1-2 1,530円 5番人気 馬単 1-2 3,300円 9番人気
複勝 1
2
6
100円
110円
100円
2番人気
3番人気
1番人気
ワイド 1-2
1-6
2-6
220円
120円
130円
4番人気
1番人気
2番人気
3連複 1-2-6 240円 1番人気
3連単 1-2-6 5,130円 16番人気

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