海外競馬発売

凱旋門賞(G1)

パリロンシャン競馬場 2400メートル(芝)3歳以上 牡・牝

発売開始時刻
日本時間10月7日(日曜)
ネット投票:午前7時00分
競馬場:午前9時30分
発走予定時刻
日本時間10月7日(日曜)午後11時05分

2018年凱旋門賞 レース結果・回顧

女王の凱旋。エネイブルが異なる2つの競馬場で凱旋門賞連覇

前夜から午前中にかけてうっすらと降雨のあったパリ周辺。第1レースが始まる段階での馬場の含水量を示すペネトロメータ値は3.2のbon、すなわち良馬場で迎えたが、実際に馬場に脚を踏み入れてみると、表面の芝生がズルっと剥げるような感覚で足を取られた。
昼前になって雨は完全に止んだが、歩くだけで軽く汗ばんだ前日までの暖かさと打って変わって、空気はひじょうに冷たく、冬近しを思わせる。

現地PMUのオッズもエネイブル(牝4歳)が1番人気。連覇への期待が数字にも現れていた。次いでヴァルトガイスト(牡4歳)とシーオブクラス(牝3歳)が同じオッズで続いた。

3レースに行われたアラビアンワールドカップの表彰の喧騒が落ち着くと、出走19頭がパドックに姿を現した。1番先頭に入ってきたのはゼッケン1番のデフォー(牡4歳)。ブランケットを装着して入ってきた。ここから馬番順に入ってきて、10番のエネイブルは、17番の馬のあと、つまり牝馬3頭の先頭という形でパドックに入った。騎乗合図が掛かって最初にまたがったのはウェイトゥパリス(牡5歳)のジェラルド・モッセ騎手。武豊騎手がクリンチャー(牡4歳、栗東・宮本博厩舎)にまたがると観客エリアから頑張れ!の声があがる。しかし、それを塗り替えるように声援が上がったのはエネイブルにランフランコ・デットーリ騎手が騎乗したときだった。ここにもエネイブルと鞍上への期待の大きさがうかがえた。

しかし、このとき、デットーリ騎手は我々が計り知れないほどのプレッシャーの中に置かれていたと、レース後に語っていた。
「これまでに30回の凱旋門賞(G1)の騎乗がありますが、これまでに経験したことのないほどに緊張して、そして興奮していました」

最初にゲートに入ったのは日本から参戦のクリンチャー。長く待たされる形となったが、特にいれ込むような様子もなかった。最後に黒覆面を被されたウェイトゥパリスがゲートに収まると間もなくゲートが開かれた。

大方の予想通りネルソン(牡3歳)が逃げ、2番手に同じオブライエン厩舎のカプリ(牡4歳)が外から取り付いた。ここで奇襲気味に仕掛けたのが18番枠のデフォーで、馬群から大きく離れた馬場の真ん中を序盤は走り、コースの形態に合わせて徐々に馬群に近づけていった。クリンチャーも好スタートを切って好枠を活かして4番手の内ラチ沿いを確保。その外にエネイブルが取り付いてレースを進めた。ヴァルトガイストは中段よりやや後方、シーオブクラスは最後方の内ラチ沿いを追走した。

ネルソンの逃げるペースは、1400メートルを1分29秒33というペース。残り1000メートルを切ったところから、じわじわとスピードを上げると、カプリもこれを積極的に追いかけて全体の加速を促す。直後につけていたクリンチャー、エネイブル、デフォーもこれを追うが、真っ先にデフォーが4コーナー手前で脱落。直線に向いて、クリンチャーの武騎手が追い出すも、前との差は詰まらず、そうこうしているうちに脚を失くしてしまう。

  • クリンチャー

  • 単独先頭に立つエネイブル

  • シーオブクラスが並び切る前がゴールだった

カプリが前に行き、デフォーが失速したことで、ぱっくりと進路が開いたのがエネイブルだ。懸命に手が動く他の馬の鞍上とは対象的に、デットーリ騎手が追い出しを我慢すると、残り400メートルを切ったところから猛然と追い出す。残り300メートルを切るところで前の2頭を交わして単独先頭に立つと、ここから去年のように後続を突き放す。完全に勝ちパターンだ。ところが、残り100メートル付近で勢いが止まり、そこへ後方から馬群を縫って猛然とシーオブクラスが、クロスオブスターズ(牡5歳)とヴァルトガイストを従えて追い込んでくる。ゴール前ではシーオブクラスの馬体がエネイブルに並ぶが……、並び切る前がゴールだった。3着に昨年の2着馬クロスオブスターズ、4着にヴァルトガイスト、クリンチャーは17着だった。

「残り300メートルで抜け出して後続に3馬身つけたところで、自分に「勝てる!」と鼓舞していましたが、残り50メートルで馬の勢いが止まりそうだったので、彼女の力をできるだけ搾り出しました」

鞍上の凱旋門賞6勝目はもちろん、エネイブルにとっては異なる2つの競馬場で凱旋門賞勝利という、空前にして絶後の記録達成を目の当たりにした。
馬上での勝利インタビューを終えて、デットーリ騎手がエネイブルとともにゴール前へと戻ってきた。そのとき、特に気に留めなければ見過ごしてしまいそうな驚きの光景があった。馬上のデットーリ騎手が両手を挙げると、駆け寄ってくる厩舎スタッフに向かってエネイブルが自ら歩を進めたのである。つまり誰も手綱も引き手も持っていない状態で、ひとつ間違えれば放馬してもおかしくない状況だ。そう、まるで自分の戻るべき場所を理解しているかのように。
まさしく、女王の凱旋。
パドックまで戻ってくると、万雷の拍手のもと、ファン関係者一同から祝福された。

  • 厩舎スタッフに自ら歩み寄るエネイブル

  • エネイブル陣営

  • デットーリ騎手は凱旋門賞6勝目

「正直、セプテンバーS(G3)のあともマイナーな問題があったらしいですが、それも踏まえてきちんとここに向けて準備するという……、ジョン・ゴスデン、すごい調教師です」
そうデットーリ騎手がゴスデン調教師を称えると、半分冗談交じりにゴスデン調教師もデットーリ騎手を称えた。
「今日は彼は前半のレースに乗り鞍がないのを知っていたので、競馬場に到着して一緒に馬場を歩きました。新品の革靴なのに(笑) 素晴らしい仕事をしてくれたと思います」

今後については、「これから協議する」として、ブリーダーズカップターフ(G1)挑戦も、来年の現役続行についても明言を避けた。しかし、レースの2日前に取材した際にゴスデン調教師がこぼした、こんな言葉が忘れられない。

「ゴールデンホーンはオーナーの意向もあって1年で引退してしまいましたが、正直なところ、彼があの“先”どこまで強くなるのか見たかった」

果たして、凱旋した女王のその“先”があるのだろうか。あるとすれば、また、パリロンシャンに脚を運びたい。

文:土屋 真光

17着 クリンチャー 宮本 博 調教師のコメント
「クリンチャーの状態は最高に良かったのですが、世界の壁は厚いなと感じました。フォワ賞後は運動量を増やして悔いのないように仕上げました。このような大きなレースに連れてきてくれたクリンチャーに感謝したいです。結果は残念でしたが凱旋門賞を走ることができました。これからもクリンチャー応援してやってください」

17着 クリンチャー 武 豊 騎手のコメント
「レース自体はプランどおりで流れは悪くなく良い形でした。良いポジションだったので、あとは慌てないように、ペースと前の動きを見ながらのレースでした。自身7回目の挑戦でしたが、いつかは勝ちたいレースですね」

2018年10月7日(日) パリロンシャン競馬場(フランス)

4R

第97回 凱旋門賞(G1)

3歳以上 牡・牝 定量 2400m 芝・右
賞金総額5,000,000ユーロ 発走  16:05 (現地時間)
1着賞金2,857,000ユーロ 芝:良
着順 馬番
(ゲート)
馬 名 (生産国)



騎手 タイム ・
着差



(kg)
調教師 (調教国)


1 10 (06) エネイブル(GB) 牝4 58.0 L.デットーリ 2:29.24 J.ゴスデン(GB) 1
2 19 (15) シーオブクラス(IRE) 牝3 55.0 J.ドイル 短クビ W.ハガス(GB) 3
3 6 (09) クロスオブスターズ(IRE) 牡5 59.5 V.シュミノー 3/4 A.ファーブル(FR) 9
4 5 (13) ヴァルトガイスト(GB) 牡4 59.5 P.ブドー 3/4 A.ファーブル(FR) 2
5 3 (04) カプリ(IRE) 牡4 59.5 D.オブライエン 1 1/2 A.オブライエン(IRE) 11
6 2 (07) サルウィン(IRE) 牡4 59.5 O.マーフィー 1/2 S.カーク(GB) 15
7 13 (14) キューガーデンズ(IRE) 牡3 56.5 R.ムーア クビ A.オブライエン(IRE) 5
8 17 (03) ネルソン(IRE) 牡3 56.5 M.ハシー クビ A.オブライエン(IRE) 17
9 14 (19) スタディオブマン(IRE) 牡3 56.5 S.パスキエ 短クビ P.バリー(FR) 8
10 18 (16) マジカル(IRE) 牝3 55.0 W.ローダン 3/4 A.オブライエン(IRE) 14
11 4 (10) ウェイトゥパリス(GB) 牡5 59.5 G.モッセ 1/2 A.マルチアリス(FR) 16
12 8 (05) ティベリアン(FR) 牡6 59.5 W.ビュイック 3/4 A.クエティル(FR) 17
13 7 (08) タリスマニック(GB) 牡5 59.5 M.バルザローナ 4 1/2 A.ファーブル(FR) 6
14 12 (02) パタスコイ(FR) 牡3 56.5 O.ペリエ 短クビ X.トマドゥモールト(FR) 7
15 1 (18) デフォー(IRE) 牡4 59.5 A.アッゼニ 1/2 R.ヴェリアン(GB) 12
16 16 (12) ハンティングホーン(IRE) 牡3 56.5 S.ヘファナン 4 1/2 A.オブライエン(IRE) 13
17 9 (01) クリンチャー(JPN) 牡4 59.5 武 豊 2 宮本 博(JPN) 4
18 11 (11) ヌフボスク(FR) 牡3 56.5 C.デムーロ 3 1/2 P.ブラント(FR) 10
19 15 (17) ルイドール(IRE) 牡3 56.5 A.アムラン 大差 T.カスタネーラ(FR) 19
 着差は先着馬からの着差を表しております。
払戻金
単勝 10 170円 1番人気 馬連 10-19 590円 2番人気 馬単 10-19 750円 2番人気
複勝 10
19
6
110円
180円
540円
1番人気
3番人気
8番人気
ワイド 10-19
6-10
6-19
310円
980円
1,930円
2番人気
10番人気
18番人気
3連複 6-10-19 5,050円 13番人気
3連単 10-19-6 10,850円 19番人気

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