今年も日本の悲願達成はならなかった。昨年に続きシャンティイ競馬場での代替開催となった第96回凱旋門賞(G1)は、ランフランコ・デットーリ騎手騎乗のイギリス調教馬エネイブル(牝3歳)が好位追走から直線で力強く抜け出してV。G1は5連勝で、欧州最強牝馬の力を満天下に知らしめた。2馬身半離れた2着にクロスオブスターズ(牡4歳)、さらに1馬身1/4遅れた3着がユリシーズ(牡4歳)で、日本から挑戦したサトノダイヤモンド(牡4歳、栗東・池江泰寿厩舎)は15着、サトノノブレス(牡7歳、栗東・池江泰寿厩舎)は16着に敗退した。
直線、エネイブルが悠々と抜け出す
1番人気に応える快勝でG1・5連勝を達成
エネイブルを管理するジョン・ゴスデン調教師とデットーリ騎手は、2年前(2015年)の勝ち馬ゴールデンホーンと同じコンビ。ゴスデン調教師は通算2勝目。デットーリ騎手は、1995年ラムタラ、2001年サキー、2002年マリエンバード、2015年ゴールデンホーンに続く、騎手としては単独トップとなる史上最多の通算5勝目という金字塔を打ち立てた。
曇り空の下、5か国から出走した18頭によって争われたレースは、エイダン・オブライエン厩舎(アイルランド)のアイダホがペースを握る。前半1400mの通過タイムが1分27秒10というペースで、追い込み馬のブラムトが先行馬群で競馬をする予想外の展開に。JRAのオッズでも単勝1.8倍という断然の人気を背負ったエネイブルは、3、4番手をリズム良く進むと、直線を向いて追い出されてから大きなフットワークを繰り出して悠々と抜け出し、後続を瞬く間に引き離した。冷静な騎乗で仕掛けを遅らせたM.バルザローナ騎手のクロスオブスターズがゴール前で脚を伸ばしたが2着に上がるのが精いっぱいで、エネイブルの強さばかりが際立つレースになった。
3歳牝馬による「“キングジョージ” & 凱旋門賞 両レース制覇」は史上初
史上最多となる凱旋門賞5勝目をあげたデットーリ騎手
馬上から飛び降りるフライングディスマウントで場内を大きく沸かせたデットーリ騎手は、「彼女はスーパースター。レース前のプランはたくさんあったけれど自信を持って騎乗しました。彼女の走りを心からたたえたい」とコメント。管理するゴスデン調教師は、「エネイブルは真の女王です。フランキー(デットーリ騎手の愛称)が上手にレースを運んでくれました。今年は6か月間走り続けてきましたから、年内にもう1度レースを使うというのは誤った判断でしょう。馬の状態をよく見て、順調であれば現役続行を検討し、新ロンシャンでの開催となるこの舞台にぜひ戻ってきたいです」と話した。
エネイブルは2014年2月12日に誕生した鹿毛の3歳牝馬。父ナサニエル、母コンセントリック(母の父サドラーズウェルズ)という血統で、サウジアラビアの王族カーリッド・アブデュラー殿下の自家生産馬。今年は史上14頭目となる英、愛オークス制覇を達成すると、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(G1)で年長の牡馬を撃破し、前走のヨークシャーオークス(G1、1着)をステップに世界最高峰の戦いに挑んでいた。
昨年のグランプリホースであるサトノダイヤモンドは、9月10日に行われた前哨戦のフォワ賞(G2)4着からの巻き返しを期していたが、道中は中団を追走するも、直線で本来の輝きを見せることはかなわず。C.ルメール騎手、池江泰寿調教師とも最大の敗因には重馬場を挙げ、日本調教馬による凱旋門賞制覇の夢は来年以降に持ち越される形となった。
文:沢田康文
サトノダイヤモンド
サトノノブレス
夢は来年以降に持ち越しとなった
15着 サトノダイヤモンド、16着 サトノノブレス 池江泰寿調教師のコメント
「サトノダイヤモンドは、ベストに近い状態に持っていけましたが、馬場が合いませんでした。サトノノブレスは、こちらの重馬場はこなしてくれましたが、少し距離が長かったです。たくさんの方々に応援していただいたのに結果が出せず、悔しくて情けない気持ちでいっぱいです。また懲りずに凱旋門賞にチャレンジしたいと思いますので、その時はまた応援してください。応援ありがとうございました」
15着 サトノダイヤモンド C.ルメール騎手のコメント
「馬のコンディションは良く、前走よりもパワーアップしていましたが、この馬場では直線に向いて反応がありませんでした。凱旋門賞には来年もう1回トライしたいです。日本の皆様、応援ありがとうございました」
16着 サトノノブレス 川田将雅騎手のコメント
「サトノノブレスの能力を一番発揮できる競馬を、という指示に従って騎乗しました。道中はサトノノブレスにとって良いポジションで進めることができ、リズム良く走っていました。最後まで良く頑張ってくれました」
2017年10月1日(日) シャンティイ競馬場(フランス) | ||
4R |
第96回 凱旋門賞(G1) |
3歳以上 牡・牝 定量 | 2400m 芝・右 | |||
賞金総額 | : | 5,000,000ユーロ | 発走 16:07 (現地時間) | |
1着賞金 | : | 2,857,000ユーロ | 芝:重 |
着順 | 馬番 (ゲート) |
馬 名 (生産国) | 性 齢 |
負 担 重 量 |
騎手 | タイム ・ 着差 |
馬 体 重 (kg) |
調教師 (調教国) | 単 勝 人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 17 (02) | エネイブル(GB) | 牝3 | 55.0 | L.デットーリ | 2:28.69 | J.ゴスデン(GB) | 1 | |
2 | 5 (03) | クロスオブスターズ(IRE) | 牡4 | 59.5 | M.バルザローナ | 2 1/2 | A.ファーブル(FR) | 8 | |
3 | 4 (01) | ユリシーズ(IRE) | 牡4 | 59.5 | J.クローリー | 1 1/4 | M.スタウト(GB) | 5 | |
4 | 12 (09) | オーダーオブセントジョージ(IRE) | 牡5 | 59.5 | D.オブライエン | 1 1/2 | A.オブライエン(IRE) | 4 | |
5 | 14 (04) | ブラムト(IRE) | 牡3 | 56.5 | C.デムーロ | 1 1/4 | JC.ルジェ(FR) | 7 | |
6 | 8 (10) | チンギスシークレット(GER) | 牡4 | 59.5 | A.デフリース | 1/2 | M.クルーク(GER) | 6 | |
7 | 11 (06) | イキートス(GER) | 牡5 | 59.5 | A.シュタルケ | アタマ | H.グリューシェル(GER) | 14 | |
8 | 7 (07) | アイダホ(IRE) | 牡4 | 59.5 | S.ヘファナン | ハナ | A.オブライエン(IRE) | 12 | |
9 | 18 (08) | ウィンター(IRE) | 牝3 | 55.0 | R.ムーア | クビ | A.オブライエン(IRE) | 3 | |
10 | 1 (18) | ザラック(FR) | 牡4 | 59.5 | C.スミヨン | 3/4 | A.ドゥロワイエデュプレ(FR) | 10 | |
11 | 3 (11) | ワンフットインヘヴン(IRE) | 牡5 | 59.5 | J.ドイル | クビ | A.ドゥロワイエデュプレ(FR) | 17 | |
12 | 2 (12) | ドーハドリーム(FR) | 牡4 | 59.5 | G.ブノワ | クビ | A.ファーブル(FR) | 16 | |
13 | 16 (14) | プリュマティック(GB) | 牡3 | 56.5 | M.ギュイヨン | 1 1/2 | A.ファーブル(FR) | 18 | |
14 | 13 (17) | セブンスヘブン(IRE) | 牝4 | 58.0 | P.スマレン | 1/2 | A.オブライエン(IRE) | 13 | |
15 | 9 (13) | サトノダイヤモンド(JPN) | 牡4 | 59.5 | C.ルメール | アタマ | 池江 泰寿(JPN) | 2 | |
16 | 10 (05) | サトノノブレス(JPN) | 牡7 | 59.5 | 川田 将雅 | 1/2 | 池江 泰寿(JPN) | 11 | |
17 | 15 (15) | カプリ(IRE) | 牡3 | 56.5 | W.ローダン | 1 | A.オブライエン(IRE) | 9 | |
18 | 6 (16) | シルバーウェーヴ(FR) | 牡5 | 59.5 | P.ブドー | 20 | P.バリー(FR) | 15 |
単勝 | 17 | 180円 | 1番人気 | 馬連 | 5-17 | 1,550円 | 6番人気 | 馬単 | 17-5 | 1,900円 | 5番人気 |
複勝 |
17 5 4 |
120円 320円 260円 |
1番人気 7番人気 5番人気 |
ワイド |
5-17 4-17 4-5 |
610円 410円 1,540円 |
6番人気 3番人気 18番人気 |
3連複 | 4-5-17 | 3,550円 | 9番人気 |
3連単 | 17-5-4 | 10,600円 | 19番人気 |
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