平年より早く開いた桜に見守られて、高松宮記念（GⅠ）のゲートが開く。1番枠から飛び出したのは連覇を目指すセイウンコウセイだ。阪急杯を逃げ切ったダイアナヘイローが競りかけていき、香港から参戦のブリザードは好位。レッツゴードンキとレーヌミノル、2頭の桜花賞馬は先行勢を見ながら進み、ダンスディレクターらが続く。中団ではスノードラゴン、後ろから2頭目の位置にはレッドファルクス、スプリンターズSの勝ち鞍を持つ両馬は末脚に賭ける策だ。

GⅠ馬6頭を含め16頭が重賞ウィナー、残る2頭もオープンクラスの短距離で優勝経験あり。ハイレベルなメンバーによる緊迫したせめぎ合いは、やがて直線の攻防へと移っていく。

粘るセイウンコウセイを内から交わしたのは、昨年の高松宮記念とスプリンターズSで2着に泣いたレッツゴードンキだ。雪辱を果たそうと後続を振り切りにかかるが、そこへ外から急追してきたのがファインニードルだった。

前走シルクロードSで久々にファインニードルの手綱を取り、勝利に導いた川田将雅騎手は「凄く成長している」と感じ、この日も「勝ちに行く競馬を組み立てよう」と自信を抱いての騎乗、スムーズなスタートから6番手の外につける。経験の少ない左回りも「問題なし。馬は気持ちよさそうにしている」と、終始リズムよく追走。そして直線では「あまり急ぎ過ぎないように」とタイミングを計ってのラストスパートで前を追い詰めていったのだった。

盤石のレース運びを見せたファインニードルは、並んで脚を伸ばすナックビーナスをまずは競り落とし、最後はレッツゴードンキを捕らえてハナ差で先頭ゴール。「届いてくれてホッとした」と川田騎手が振り返った通り僅差の勝利だったが、まさしく成長を感じさせ、充実期を迎えたことを知らしめる、力強い差し切りＶであった。

谷川　善久