秋晴れの空の下に15頭が集った秋華賞（GⅠ）では、1番人気のチェルヴィニアが期待に応えて差し切り勝ちを飾ってみせた。

ローズSで3着に逃げ粘ったセキトバイーストが、ここでもハナを主張、1000メートル通過57秒1の速いペースでリードを広げていく。離れた2番手に紫苑S勝ち馬クリスマスパレード、さらには忘れな草賞1着のタガノエルピーダ、クイーンSで古馬を破ったコガネノソラ、オークス5着のランスオブクイーンらが続く。

先団の直後、チェルヴィニアは馬群の中で折り合う。「馬場はけっこう速い。いい位置を取りたかった」というクリストフ・ルメール騎手にとっては、ほぼ望み通りのポジション。しかも「自分のリズムで走れた」という絶好の追走となった。

セキトバイーストが後続に5馬身から6馬身の差をつけたまま4コーナーを回る。チェルヴィニアは力をためながら、桜花賞馬ステレンボッシュ、フラワーCの勝ち鞍を持つミアネーロ、ローズSを制したクイーンズウォーク、そして紫苑S2着のボンドガールら難敵を従えて直線へと向かうのだった。

クリスマスパレードとタガノエルピーダがセキトバイーストを交わそうとするが、その後ろから続々と差し・追い込み勢が押し寄せる。中でも目立ったのがチェルヴィニアの脚だ。「スムーズな競馬が出来れば届く。実際、直線では加速してくれた」とルメール騎手が語った通り、抜群の瞬発力を繰り出して残り100メートルで一気に先頭へ。大外からボンドガール、内からはステレンボッシュが追い込んできたものの、これらを完封したチェルヴィニアがオークスに続いての1着、堂々と二冠を達成したのである。

樫の女王が秋も女王の座を守り、さあここからチェルヴィニアは、世代を超えた現役最強牝馬の座を目指すことになる。「今後もGⅠでいい結果を出せるはず」というルメール騎手の言葉を信じるなら、明るい未来が待っているはずだ。

（谷川　善久）