フルゲート18頭の戦いとなった桜花賞（GⅠ）。2歳戦線で高い能力を見せ、ここへ直行してきた馬たちが貫録を示すのか。それとも前哨戦で好結果を残した勢力が逆転するのか。注目の一戦を鋭い末脚で勝利したのは、ステレンボッシュだ。

外からショウナンマヌエラがハナを主張する展開。報知杯フィリーズレビュー逃げ切りのエトヴプレと同2着馬コラソンビート、アネモネSを制したキャットファイトが好位を占め、アルテミスS快勝のチェルヴィニア、阪神ジュベナイルフィリーズ1着以来のアスコリピチェーノ、クイーンC差し切りのクイーンズウォーク、フェアリーSを競り勝ったイフェイオンらが中団を形成。エルフィンS1着のライトバックとチューリップ賞で豪脚を披露したスウィープフィートは後方に控える。

中団各馬を見ながらの追走となったステレンボッシュは、3コーナーから4コーナーにかけて馬群の中を徐々に進出していく。手綱を託されたジョアン・モレイラ騎手が「ポケットに入りそうで不安もあったが、うまくスペースができた」と振り返ったように、直線入口で外へ持ち出されると、いざラストスパート。一気に前へと襲い掛かり、残り200メートルを切ったところで力強く抜け出す。

「反応が素晴らしかった。先頭に立つのが早すぎたとも感じたが、能力の高い馬だからそれでも伸びてくれた」

確かにステレンボッシュの脚色は最後まで衰えない。阪神ジュベナイルフィリーズではアスコリピチェーノを猛追するもクビ差及ばず2着に敗れたが、今度は逆に外から迫るアスコリピチェーノ、ライトバック、スウィープフィートらを4分の3馬身封じ込んで先頭ゴールを果たした。

「今後もこの馬のポテンシャルを楽しみにしていてほしい」と微笑むモレイラ騎手。名手の“お墨付き”を得るに十分な、鮮やかなGⅠ初制覇だった。

（谷川　善久）