NHKマイルカップ（GⅠ）は雨の中、稍重馬場でのスタート。激しい追い比べに競り勝って3歳マイル王に輝いたのは、9番人気の伏兵シャンパンカラーだ。

レースでは、1000メートル通過58秒4という力を要する馬場状態にしては速いラップが刻まれる。となれば有力馬は脚をためる策。昨年の2歳王者ドルチェモアこそ先行勢を見る位置につけたものの、ニュージーランドT1着のエエヤン、朝日杯フューチュリティS2着のダノンタッチダウン、ファルコンS2着のカルロヴェローチェらは中団に控え、デイリー杯クイーンC3着のモリアーナ、アーリントンCを制したオオバンブルマイ、ニュージーランドTで2着に追い込んだウンブライルなどは後方に待機する形となった。

シャンパンカラーも後方集団の外。鞍上の内田博幸騎手によれば、本来はもう少し前、もう少し内を想定していたとのことだが「馬に負担をかけず終いを生かそう」と切り替えての位置取り。結果として「馬場のいいところを走れた」という利を得ることとなる。

直線。残り400メートルを切った辺りで先頭に躍り出たダノンタッチダウンを目がけて、外から伸びたのがシャンパンカラーとオオバンブルマイ。とりわけシャンパンカラーの力強さが目立つ。
「速く抜け出すことのないよう、周りを見ながらスパートをかけた」という内田騎手の落ち着いた追い出しに反応したシャンパンカラーは、内で粘るダノンタッチダウン、外で食い下がるオオバンブルマイを振り払い、ウンブライルの直線一気もアタマ差抑えて、重賞初制覇をGⅠの大舞台で果たしたのだった。

新馬、ベゴニア賞と東京・芝1600メートルで連勝した後、京成杯は6着、ニュージーランドTは3着に敗れていたシャンパンカラー。今回は得意の舞台に戻っての戴冠劇。持ち前の息の長い末脚を存分に見せつけてのビッグタイトル獲得である。

（谷川　善久）