例年は地方の競馬場での持ち回りで開催されているJBC3競走が、今年は史上初めてJRA（京都競馬場）を舞台として開催。その先陣を切るのはダート短距離の頂上決戦・JBCスプリント（JpnⅠ）だ。

JRAからはプロキオンSレコード勝ちのマテラスカイ、2016年のフェブラリーS覇者モーニン、今春の東京スプリントを逃げ切っているグレイスフルリープ、昨年の勝ち馬ニシケンモノノフのほか、レッツゴードンキやセイウンコウセイといった芝のGⅠウィナーも参戦。前哨戦・東京盃で中央勢を一蹴したキタサンミカヅキが地方のエース格として立ち向かう構図となった。

レースを引っ張ったのはマテラスカイ。前半3ハロン通過33秒7のラップを刻んで3?4コーナーを回り切り、後続を一気に振り切ろうとする。あまりのスピードに好位勢が次々と力尽きる中、ただ1頭、追撃の脚を伸ばしてきたのがグレイスフルリープだった。

鞍上のクリストフ・ルメール騎手が「完璧なポジションを取れた」と振り返ったように、道中はマテラスカイの直後でしっかりと力をためることに成功したグレイスフルリープは、直線、逃げ粘るマテラスカイを目標にスパートすると、じりじりと差を詰め、ついには外から並びかける。キタサンミカヅキ、モーニン、レッツゴードンキらの追い込みを2馬身以上後方に見ながら競り合う2頭。最後はグレイスフルリープがクビだけ前に出て先頭ゴールを果たしたのである。

これでルメール騎手は、JRAのGⅠ・JpnⅠを4週連続で制覇&年間7勝という大記録を達成。だが「馬が頑張ってくれた」とジョッキーが語った通り、グレイスフルリープの奮闘も忘れてはならない。快速馬を追いかけながら最後まで力尽きず、競り勝ち、8歳にして成し遂げたJpnⅠ初挑戦初制覇。諦めることなく走り続けたことでつかんだ栄冠である。

（谷川　善久）