JBC3競走のラストを飾るのは、京都ダート1800メートルを舞台に16頭の牝馬が覇を競うJBCレディスクラシック（JpnⅠ）。ブリーダーズゴールドC圧勝のラビットランが1番人気に推され、以下、昨年の関東オークスとレディスプレリュードの勝ち馬クイーンマンボ、このコース6戦3勝で4着以下のないフォンターナリーリ、今年のレディスプレリュードを制したプリンシアコメータと続いた。

これら難敵を打ち負かしたのが、ベテラン・横山典弘騎手の巧みな手綱さばきに導かれたアンジュデジールだ。

アイアンテーラーが1枠を利して先頭に立ち、プリンシアコメータは好位、ラビットランは先行勢の後ろ、さらにフォンターナリーリにクイーンマンボと、有力各馬は中団より前につける。アンジュデジールもラビットランと並ぶ位置。大外16番枠からの発走ながら、好ダッシュを決めて先行争いを無理なく追い、最初のコーナーまでにスッと馬群の内へと潜り込んでいた。横山騎手が「スピードのある馬だから、いいところに入れた」と振り返る、絶好のスタートと進路どりとポジショニングだ。

3コーナーに差し掛かると、内アンジュデジールと外ラビットランが並んで進出を開始。2頭は直線入口で馬体を併せるようにして先頭に立ち、そこからゴールまではマッチレース、ビッシリと追い比べを演じることになる。いったんはラビットランが前に出たものの「ひと叩きして良化し、道中は気分よく走っていた」ことが最後の踏ん張りにつながって、アンジュデジールも反撃に出る。もともとエンプレス杯ではプリンシアコメータを、マリーンCではクイーンマンボを破っている実力馬。その全能力を、鞍上が懸命に振るう鞭が引き出す。

最後はアタマだけ差し返し、ファッショニスタの猛追も3着に抑えてアンジュデジールが1着。「よく盛り返してくれた」と横山騎手も讃える気迫の走りで、アンジュデジールはダート女王の座をつかんだのであった。

（谷川　善久）