フルゲート18頭の戦いとなったホープフルS（GⅠ）。鮮やかに突き抜けて2024年を締めくくったのは、単勝オッズ1.8倍の断然人気に支持されたクロワデュノールだ。

レースはジュンアサヒソラの先導で進む。芙蓉S勝ち馬ジェットマグナムやアイビーS2着のピコチャンブラックらが続き、札幌2歳Sの覇者マジックサンズ、京都2歳S2着のジョバンニ、そしてクロワデュノールなどは先団を見ながらの追走。黄菊賞2着のヤマニンブークリエやアイビーSを制したマスカレードボールは後方に控える展開となる。

1000ｍ通過61秒4のペースに焦れたように、ファウストラーゼンが馬群の外を一気に進出して先頭に並びかける。隊列に緊張感が走る中で、クロワデュノールの鞍上・北村友一騎手は「どんな流れになっても自分の競馬に徹する」と落ち着き払っていた。

そして直線。粘るファウストラーゼンに迫るのは、やはりクロワデュノールだ。力強い末脚を繰り出して残り200ｍで先頭に立つと、その勢いを最後までキープ。2着に押し上げてきたジョバンニに2馬身差をつけて、クロワデュノールは勝利を飾る。「馬を信じていた。本当に強かった」という北村騎手の言葉にうなずくしかない圧巻のゴールだった。

ホープフルSを勝利した後、サートゥルナーリアは皐月賞馬、コントレイルは三冠馬、そしてレガレイラはグランプリホースへと駆け上がった。新馬、東京スポーツ杯2歳Sに続く3連勝での戴冠を成し遂げ、北村騎手が「緩さが解消されて、より動けるようになっている。来年につなげたい」と語るクロワデュノールにも、洋々とした未来が待ち受けているに違いない。

（谷川　善久）