古馬勢は牝馬三冠馬デアリングタクトを筆頭に、名牝ジェンティルドンナの娘ジェラルディーナ、重賞3勝のウインマリリン、連覇を狙うアカイイトらが出走。いっぽう3歳勢は、秋華賞1、2着のスタニングローズとナミュール、桜花賞・オークスとも掲示板に載ったピンハイ、フェアリーSを勝っているライラック。さらに海外から愛オークス馬マジカルラグーンを迎えて、今年もエリザベス女王杯（GⅠ）には多彩なタレントが集まった。

この注目の一戦を制したのは、前走・産経賞オールカマーで初の重賞タイトルを手にしたばかりのジェラルディーナ。手綱を任されたクリスチャン・デムーロ騎手が「前走はいいレースで勝っている。自信を持って乗った」と語った通り、力強い差し切りとなった。

戦局が大きく動いたのは4コーナー。逃げたローザノワールとの差を後続が一気に詰め始め、直線での追い比べへと移行する。まずは好位からウインマリリンが抜け出しを図ると、直後からはデアリングタクトやナミュール、後方からはライラックやアカイイトらが脚を伸ばしてくる。なかでもひと際目立ったのがジェラルディーナの末脚だ。「道中の手応えは良く、直線も堂々と走り抜けてくれた」と鞍上が称賛する瞬発力で、外から豪快にスパート。重馬場をものともせずに突き抜けて、ウインマリリンとライラックの激しい2着争いに1馬身4分の3差をつけて先頭ゴール。連勝でGⅠ初制覇を飾ったのである。

2014年の有馬記念ではラキシスに騎乗し、引退の花道を飾ったジェンティルドンナの姿を見届けているクリスチャン・デムーロ騎手は「ジェラルディーナも母親のようになってくれる可能性はあるでしょう」と、大きな期待を口にする。偉大な母に、どこまで近づけるのか。ジェラルディーナの今後から、目が離せなくなりそうだ。

（谷川　善久）