レース史上初めて京都での開催となった朝日杯フューチュリティS（GⅠ）には16頭が出走。サウジアラビアロイヤルCを制したアルテヴェローチェと同2着のタイセイカレント、黄菊賞完勝のミュージアムマイル、新潟2歳Sの覇者トータルクラリティ、京王杯2歳Sを差し切ったパンジャタワー、クローバー賞勝ちのニタモノドウシといった素質馬たちを完封したのは、未勝利を勝ち上がったばかりのアドマイヤズームだ。

最内1番ゲートからダイシンラーがハナを切り、800メートル通過48秒0、1000メートルが60秒4というゆったりとしたペースを作り出す。これを2番手でピタリとマークしたのがアドマイヤズームだった。

新馬戦では4着に敗れたアドマイヤズームだが、2戦目の3馬身差1着を「素晴らしい内容。ポテンシャルの高さを感じた」と鞍上の川田将雅騎手は称える。ただし「難しい面のある馬で、今回もそれをケアしながら」と慎重な追走を心がけたという。

3、4番手にトータルクラリティとミュージアムマイル、中団にはパンジャタワー、アルテヴェローチェ、タイセイカレント、そして後方にニタモノドウシらが続く隊列を背中に感じながら、アドマイヤズームを駆る川田騎手は「とてもいい走りができた。4コーナーで負けることはないと思った」という絶大な自信とともに直線に向かう。

粘るダイシンラーを交わして先頭に躍り出るアドマイヤズーム。ミュージアムマイルが懸命に追いすがろうとするも、伸び脚はアドマイヤズームが上、その差は縮まらない。「そういう動きのできる馬」という川田騎手の言葉通り、ゴールまで躍動したアドマイヤズームはミュージアムマイルを2馬身半突き放して勝利する。

堂々と押し切っての完封劇。この世代、この路線を牽引していくことは間違いないと思わせる、力強い勝ちっぷりだった。

（谷川　善久）