前哨戦に位置づけられる重賞の連対馬がズラリ、好メンバーがそろった朝日杯フューチュリティS（GⅠ）。ゴール前の追い比べに競り勝ったのは、1番人気のドルチェモアだ。

2番ゲートから抜群のスタートダッシュを見せたドルチェモアだったが、鞍上・坂井瑠星騎手は、デイリー杯2歳S逃げ切り勝ちのオールパルフェ、サウジアラビアロイヤルCで2着に粘ったグラニットを先に行かせて3番手のインに収まる。

600メートル通過は34秒1、1000メートル通過は57秒8と息の入らない流れ。しかし坂井騎手は「ペースは想定内、レースはイメージ通り。折り合いもついている」と自信たっぷり。初めてのコンビ結成ながら「追い切りに乗って特長はつかんでいた」と落ち着いた追走だ。

新馬勝ちの鮮やかな末脚から3番人気に推されたレイベリングが好位、デイリー杯2歳Sで鋭く2着に追い込んだ2番人気ダノンタッチダウンは中団、京王杯2歳S覇者オオバンブルマイと同2着のフロムダスクは後方から。これらを相手に、直線、ドルチェモアは力強い走りを披露する。

「最後もしっかり反応してくれた」という坂井騎手の言葉通り、外へと持ち出されたドルチェモアはグンと加速。残り200メートルを切ったところで先頭に立つと、追いすがるダノンタッチダウンとレイベリングを振り切ってみせる。最後はクビ差＋クビ差の大接戦となったものの、堂々の押し切り勝ちを飾ったのである。

3馬身差で逃げ切った新馬戦、先行して速い脚を使ったサウジアラビアロイヤルCに続く3連勝での戴冠。土つかずで走り抜けた実績、隙のない走り、そして桜花賞馬アユサンを母に持つ血統と、先々が楽しみな要素をいくつも持つドルチェモア。この世代のトップランナーとして、今後もターフで輝きを放ってくれることだろう。

（谷川　善久）