若駒たちの大目標・朝日杯フューチュリティS（GⅠ）には16頭がゲートインした。中でも注目を集めたのは最内1番枠に入ったダノンプレミアム。デビュー戦で後続を4馬身ちぎり捨て、サウジアラビアロイヤルCではコースレコードを叩き出した素質馬だ。1番人気に推されたものの、デビューからコンビを組む川田将雅騎手に気負いはない。

「ここまでの2戦はいい内容だった。今日もそのリズムを続けよう」

抜群のスタートから、ケイティクレバーとファストアプローチを前へと促して好位の内に収まったダノンプレミアム。行きたがるところを「なだめながら、まだ大丈夫だよと言い聞かせながらの追走だった」という川田騎手とダノンプレミアムの姿は、まるで弓につがえた矢をグっと引き、狙いをさだめながら時を待つ射手のようだ。

淡々とした流れのまま馬群はコーナーを回り切り、直線へ。すぐさまその瞬間はやって来る。前2頭の間を割ってゆっくりと先頭に躍り出たダノンプレミアムは「そこからは強いレースを見せようと思った」という川田騎手のゴーサインに合わせて、遂に弾ける。

なすすべなく置き去りにされる15頭。独走態勢に入ったダノンプレミアムの鞍上で、川田騎手はターフビジョンの映像から後ろとの距離を把握、勝利を確信すると早くも手綱を緩め、馬の首筋をポンと叩いて快走を褒める。3番人気ステルヴィオ、2番人気タワーオブロンドン、5番人気ケイアイノーテック、4番人気ダノンスマッシュらによる激しい2着争いの3馬身半前で、ダノンプレミアムは悠々とゴールを駆け抜けたのだった。

メンバー中ただ1頭の無敗馬が、ここでも勝利を重ねてGⅠ制覇。「いい加速、いい跳びだった。これから長い距離に挑むことになるけれど、賢い馬なので勉強していってくれれば」と川田騎手は語る。どこまで強くなり、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか。期待とともにダノンプレミアムの次走を待ちたい。

谷川善久