競走馬の未来を守る。
馬の「走り」と「命」を支える
疾病研究の現場から

レースで力強く走る競走馬。その輝きの裏には、
日々“馬の命を守るため”に研究を続ける人たちがいます。
JRA競走馬総合研究所・臨床医学研究室もそのひとつ。

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治療の様子

見えないところで馬を支える臨床研究の力

競走馬のパフォーマンスを支えることは、同時にその「命」を守ることでもあります。
研究者らが向き合うのは、競走馬がかかる幅広い病気。骨折や腱の炎症、術後感染症、肺炎や下痢、不整脈、角膜炎――見えないところで、科学が馬を支えています。

最新の手法を日々研究

研究室では薬の効果と副作用を調べる「臨床薬理学」、MRIやCTなどの最新機器を用いた画像診断、病気の傾向を調べる「疫学」、術後感染の防止まで。ヒトの医療からヒントを得た最新手法も使い、研究を続けています。

研究の様子

MRI検査風景

現場で働く獣医師のために“チームプレー”で治療法を開発

現場から寄せられる課題は研究の重要な出発点です。
臨床の現場では「教科書通りにいかない」ことが多々あります。言葉を話せない馬の状態を読み取り、治療法を探るには、獣医師と研究者の“チームプレー”が必要です。

例えば「心房細動」の治療。薬の副作用が強く、投与量を誤ると命に関わるため、馬の反応と獣医師としての経験をもとに試行錯誤して治療してきました。
そこで研究チームは、薬の濃度を細かく分析。治療している各馬に対して効果の出る最適な量を導く“オーダーメイド治療”に取り組んでいます。

また、若手の獣医師 が高度な機器を扱う場面では、教育や研修など、研究所の支援が重要です

体育館での座学の様子 サラブレッドのイメージ

「治りました!」現場からの声が何よりの励み

「治りました」と届く現場からの報告は、研究者にとって何よりの励みです。

正解のない世界で、一頭一頭に向き合った経験があるからこそ、研究の成果が実を結ぶ瞬間は大きなやりがいにつながります。

研究の様子

競走馬の未来に向けて「道」をつくる

馬の医療研究は、日本だけでは完結しません。症例数が限られるため、海外大学とデータを持ち寄り、より精度の高い研究につなげています。

研究者たちは馬を直接治すわけではありません。でも獣医師がより正確に、より安全に、多くの命を救えるように「道」をつくります。
馬が安心して走れる環境をつくる人がいて、支える技術がある。その積み重ねが、競走馬の福祉とスポーツとしての競馬の信頼を支えています。

研究室にはたくさんの馬の治療データが届きます。臨床現場で得られた情報が、未来の馬を救うヒントになるのです。JRAの研究者たちは、これからも小さな一歩を積み重ねます。

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