有馬記念を制したブラストワンピース、日本ダービー馬ワグネリアン、マイルチャンピオンシップを差し切ったステルヴィオ、皐月賞勝ち馬エポカドーロなどの強力な布陣で臨む4歳勢か。それとも、ジャパンカップの驚異的なレコードを演出したキセキ、昨年このレースで2着のペルシアンナイト、上がり馬エアウィンザー、悲願のGⅠ獲りを目指すサングレーザーなど5歳勢が意地を見せるのか。

ハイレベルなメンバーで争われた大阪杯（GⅠ）。この大一番で見事な復活Vを果たしたのがアルアインだ。

アルアインも5歳勢の一角。ここまで15戦して5着以内を外したのは2度だけという安定感を誇る反面、一昨年の皐月賞以来、勝ち星からは遠ざかっている。惜敗続きの原因は、最後の最後にフワリと気を抜いてしまう性格、集中力の欠如にあるとされていた。

「だから馬の気分を損ねないように注意した」と振り返るのは鞍上の北村友一騎手だ。

エポカドーロがハナを切ると、これをキセキがピタリとマーク。アルアインはすかさず好位の内に潜り込み、向こう正面、3コーナーから4コーナーと、ひたすらそのポジションで力を溜める。そして直線入口、満を持して追い出されたアルアインは、残り200メートルで先頭に立つと、粘るキセキを外に、急追するワグネリアンを内に従えてゴールへ飛び込んだのだった。

「展開は読みやすかったし、3番枠も良かった。行きっぷりも上々。ブリンカー装着も2回目で慣れたのか、いい位置でジッとしていることができた。仕掛けてからの反応も抜群。抜け出した後も馬の気分を害さないようステッキは入れなかった」

すべてがピタリと噛み合ったことに加えて、北村騎手の丁寧な騎乗がアルアインの能力を最大限に引き出し、理想的な競馬を完遂。その結果としてもたらされた、約2年ぶりの勝利。それはまた、デビュー14年目の北村騎手にとって、夢に見たGⅠ初制覇の瞬間ともなったのだった。

（谷川　善久）