阪神ジュベナイルフィリーズ（GⅠ）で高い評価を得たのは、アルテミスSを豪快に差し切ったリアアメリア、新潟2歳Sの勝ち馬ウーマンズハート、サウジアラビアロイヤルCの2着馬クラヴァシュドールといった、マイル重賞で鋭い切れ味を示してきた馬たち。これら高素質馬を相手に、堂々の完封劇を披露したのがレシステンシアだ。

新馬、ファンタジーSと、1400メートルでデビュー2連勝を飾っているレシステンシア。「スピードのある馬。いいスタートさえ切れればハナでも」と鞍上・北村友一騎手が思い描いた通り、絶好の飛び出しで難なく先手を奪う。そこから作り出した800メートル通過45秒5、1000メートル通過57秒5のハイペースも「少し速いとは思ったが、無理に抑えずリラックスさせることだけ考えた」という、馬なりのラップだった。

そして直線、これだけ飛ばしながらもレシステンシアは、まだまだ余力十分。スパート態勢に移るや、一気に後続を突き放す。瞬く間にセーフティリードを築き上げると、好位から粘るマルターズディオサ、外から急追するクラヴァシュドールの激しい2着争いを5馬身も後方に見ながら、悠々とゴールへ。勝ちタイム1分32秒7は、ウオッカが2006年に記録した1分33秒1を更新するレースレコード&2歳コースレコード。圧倒的な勝ちっぷりで、松下武士調教師に初のGⅠタイトルをもたらしたのである。

北村騎手曰く、「道中、何度も手前を替えながらフワフワと走っていた。まだ粗削りで、高いポテンシャルを秘めている」。完成途上でありながら、この衝撃的なパフォーマンスを見せるとは恐るべし。速くて、強くて、さらに将来性も感じさせる、驚異の2歳女王誕生である。

（谷川　善久）