2019年 重賞レース一覧天皇賞(春)
平成最後のGⅠとなった天皇賞(春)。昨年の菊花賞で上位3着までを占めたフィエールマン、エタリオウ、ユーキャンスマイルら4歳勢を中心とする13頭が優勝盾の獲得を目指して駆けたレース、そのゴール前は、壮絶な追い比べとなった。
スタートからハナを主張したヴォージュが1000メートル通過59秒8という緩みのないラップを刻み、隊列は縦長に。だが向こう正面でややペースが緩むと徐々に馬群は凝縮していく。中でも目を引いたのが、それまで中団に位置していた1番人気フィエールマンの走りだ。
「馬はリラックスしていた。これは長距離戦では大切なこと」と、鞍上のクリストフ・ルメール騎手は悠々の追走だったことを強調。さらに「2周目の3コーナーから4コーナーでは、馬が自分で動いていった」と語った通り、手応え十分なままポジションを上げていったのである。
これに呼応したのが直後にいたグローリーヴェイズ。こちらも菊花賞で鋭く追い込んで5着に入った4歳馬だ。今回は敵をフィエールマン1頭に絞ったかのように追随。ついに2頭は馬体を並べて先頭に躍り出ると、最後の直線へと向かっていく。
そこからは、外から前に出ようとするグローリーヴェイズ、内で抵抗するフィエールマンともに譲らず、激しい追い比べが繰り広げられる。結局は「競りかけられてから、また頑張ってくれた」とルメール騎手が讃えるフィエールマンの底力が上回り、グローリーヴェイズをクビ差だけ退けての1着ゴール。3着争いを6馬身も突き放した壮絶な一騎打ちを制して、フィエールマンは菊花賞に続く2つ目のGⅠタイトルを手にしたのである。
スーパークリーク、メジロマックイーン、ライスシャワー、ビワハヤヒデ、サクラローレル、マヤノトップガン、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、マンハッタンカフェ、ディープインパクト、ゴールドシップ、キタサンブラック……。振り返れば平成の天皇賞(春)では数々のスターホースたちが、白熱かつ激烈な名勝負を演じてきた。その掉尾を飾るこの日の一戦もまた、競馬史に刻まれるレースになったといえるのではないだろうか。
(谷川 善久)
着順 | 枠 | 馬番 | 馬名 | 性齢 | 負担重量 | 騎手 | タイム | 着差 | コーナー通過順位 | 推定上り | 馬体重(増減) | 調教師 | 単勝人気 |
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1 | 10 | フィエールマン | 牡4 | 58.0 | C.ルメール | 3:15.0 |
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34.5 | 480(0) | 手塚 貴久 | 1 | ||
2 | 7 | グローリーヴェイズ | 牡4 | 58.0 | 戸崎 圭太 | 3:15.0 | クビ |
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34.4 | 456(+2) | 尾関 知人 | 6 | |
3 | 8 | パフォーマプロミス | 牡7 | 58.0 | 北村 友一 | 3:16.0 | 6 |
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35.2 | 452(-8) | 藤原 英昭 | 8 | |
4 | 2 |
エタリオウ
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牡4 | 58.0 | M.デムーロ | 3:16.0 | クビ |
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35.2 | 472(+6) | 友道 康夫 | 2 | |
5 | 9 | ユーキャンスマイル | 牡4 | 58.0 | 岩田 康誠 | 3:16.5 | 3 |
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35.5 | 492(+8) | 友道 康夫 | 3 | |
6 | 1 | チェスナットコート | 牡5 | 58.0 | 坂井 瑠星 | 3:16.8 | 1 1/2 |
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35.8 | 464(-4) | 矢作 芳人 | 10 | |
7 | 6 | カフジプリンス | 牡6 | 58.0 | 中谷 雄太 | 3:17.3 | 3 |
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36.8 | 530(+2) | 矢作 芳人 | 9 | |
8 | 3 | リッジマン | 牡6 | 58.0 | 蛯名 正義 | 3:17.4 | 3/4 |
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36.4 | 454(+10) | 庄野 靖志 | 11 | |
9 | 11 | ケントオー | 牡7 | 58.0 | 幸 英明 | 3:17.6 | 1 1/4 |
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36.2 | 472(0) | 西橋 豊治 | 13 | |
10 | 12 | クリンチャー | 牡5 | 58.0 | 三浦 皇成 | 3:17.7 | 3/4 |
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36.5 | 496(+2) | 宮本 博 | 4 | |
11 | 5 | メイショウテッコン | 牡4 | 58.0 | 福永 祐一 | 3:18.9 | 7 |
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38.4 | 508(-2) | 高橋 義忠 | 5 | |
12 | 13 | ロードヴァンドール | 牡6 | 58.0 | 横山 典弘 | 3:20.7 | 大差 |
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39.9 | 500(+2) | 昆 貢 | 7 | |
中止 | 4 | ヴォージュ | 牡6 | 58.0 | 和田 竜二 |
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522(+4) | 西村 真幸 | 12 |
ハロンタイム | 12.9 - 11.5 - 11.6 - 11.6 - 12.2 - 12.2 - 12.5 - 13.8 - 13.3 - 12.4 - 12.5 - 12.3 - 11.7 - 11.6 - 11.0 - 11.9 |
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上り | 4F 46.2 - 3F 34.5 |
1コーナー | 4,13,5,6,1,8,10,12,7,3,9-11-2 |
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2コーナー | 4,13,5,6(1,8,10)(12,7)3,9-11-2 |
3コーナー(2周目) | (4,*5,6)(13,8,10)(1,7)(3,2)(12,9)-11 |
4コーナー(2周目) | 10(5,6,7)(8,2)(13,1,3,9)12,11=4 |
勝馬 | フィエールマン [牡4・鹿毛] 父:ディープインパクト 母:リュヌドール |
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馬主 | 有限会社 サンデーレーシング |
生産地 | 北海道勇払郡安平町 |
生産牧場 | ノーザンファーム |
戦績 | 6戦4勝 |
獲得賞金 | 356,893,000円 |
主な勝鞍 | 重賞2勝目 2018年 菊花賞(GⅠ) |
騎手 | C.ルメール:2勝目 2018年(秋) レイデオロ |
調教師 | 手塚 貴久:初勝利 |