2019年 重賞レース一覧天皇賞(秋)
出走馬16頭のうち10頭がGⅠウィナー。この豪華な顔触れの中でも、しかし、アーモンドアイは単勝オッズ1.6倍の断然人気を背負う。3歳牝馬三冠、ジャパンカップの驚異的なレコード勝ち、世界に名を轟かせたドバイターフ。不利がありながら猛然と追い込んだ安田記念(3着)も負けてなお強しの印象だった。実績と、これまで示してきたパフォーマンスは確かにナンバーワンだ。唯一、「休み明け。馬が走りたがるかどうか」とクリストフ・ルメール騎手は不安を抱いたと言うが、それも杞憂。アーモンドアイは、またひとつ、天皇賞(秋)(GⅠ)のタイトルを自身の経歴に刻み込むこととなる。
予想された通りアエロリットがハナを切る展開。2番人気サートゥルナーリア、3番人気ダノンプレミアムが直後につける。アーモンドアイはその後ろ、先行馬群のインに落ち着いた。ライバルたちを監視できるポジションと、パートナーに対する絶大な信頼を根拠として、ルメール騎手は早くも向こう正面で「勝てる」と思ったという。
その確信は正しかった。直線、アエロリットにサートゥルナーリアとダノンプレミアムが並びかけていく。ワンテンポ遅れてアーモンドアイもスパートを開始。「押せばすぐに反応してくれた」とルメール騎手が振り返ったように、内ラチ沿いから一気に突き抜けていく。競り合いながら粘るダノンプレミアムとアエロリット、急追するユーキャンスマイルとワグネリアン。これらによる2着争いを3馬身後ろに見て、アーモンドアイは悠々の先頭ゴールを果たすのである。
アーモンドアイを評するために何度も使ってきた“特別な馬”という表現をこの日も用い、「能力が違う。楽勝だった」と語るルメール騎手。しかも、「まだトップコンディションではない」という。ポテンシャルのすべてを解放したとき、果たしてどれほどの強さを発揮するのか。これだけの走りを見せながら、まだ楽しみが広がる、そんな完勝劇だった。
(谷川 善久)
着順 | 枠 | 馬番 | 馬名 | 性齢 | 負担重量 | 騎手 | タイム | 着差 | コーナー通過順位 | 推定上り | 馬体重(増減) | 調教師 | 単勝人気 |
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1 | 2 | アーモンドアイ | 牝4 | 56.0 | C.ルメール | 1:56.2 |
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33.8 | 480(-4) | 国枝 栄 | 1 | ||
2 | 9 | ダノンプレミアム | 牡4 | 58.0 | 川田 将雅 | 1:56.7 | 3 |
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34.5 | 508(+4) | 中内田 充正 | 3 | |
3 | 5 | アエロリット | 牝5 | 56.0 | 戸崎 圭太 | 1:56.7 | クビ |
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34.8 | 516(0) | 菊沢 隆徳 | 6 | |
4 | 6 | ユーキャンスマイル | 牡4 | 58.0 | 岩田 康誠 | 1:56.8 | クビ |
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33.7 | 488(-8) | 友道 康夫 | 7 | |
5 | 14 | ワグネリアン | 牡4 | 58.0 | 福永 祐一 | 1:56.8 | クビ |
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34.0 | 462(-10) | 友道 康夫 | 4 | |
6 | 10 | サートゥルナーリア | 牡3 | 56.0 | C.スミヨン | 1:57.1 | 1 1/2 |
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34.9 | 502(+4) | 角居 勝彦 | 2 | |
7 | 4 | スワーヴリチャード | 牡5 | 58.0 | 横山 典弘 | 1:57.1 | ハナ |
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34.3 | 514(-10) | 庄野 靖志 | 5 | |
8 | 15 | ウインブライト | 牡5 | 58.0 | 松岡 正海 | 1:57.3 | 1 1/4 |
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34.8 | 486(-8) | 畠山 吉宏 | 12 | |
9 | 3 | ケイアイノーテック | 牡4 | 58.0 | 幸 英明 | 1:57.5 | 1 |
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34.2 | 468(-2) | 平田 修 | 14 | |
10 | 8 | マカヒキ | 牡6 | 58.0 | 武 豊 | 1:57.6 | 3/4 |
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34.4 | 504(-4) | 友道 康夫 | 8 | |
11 | 11 |
ゴーフォザサミット
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牡4 | 58.0 | 北村 宏司 | 1:57.7 | 3/4 |
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34.7 | 502(-2) | 藤沢 和雄 | 16 | |
12 | 7 | スティッフェリオ | 牡5 | 58.0 | 丸山 元気 | 1:57.9 | 1 1/4 |
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35.9 | 448(+6) | 音無 秀孝 | 11 | |
13 | 1 | カデナ | 牡5 | 58.0 | 藤岡 佑介 | 1:58.4 | 3 |
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34.7 | 472(-6) | 中竹 和也 | 10 | |
14 | 16 |
アルアイン
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牡5 | 58.0 | 北村 友一 | 1:58.7 | 2 |
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36.1 | 516(-4) | 池江 泰寿 | 9 | |
15 | 13 |
ランフォザローゼス
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牡3 | 56.0 | M.デムーロ | 1:59.1 | 2 1/2 |
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36.2 | 490(0) | 藤沢 和雄 | 13 | |
16 | 12 | ドレッドノータス | せん6 | 58.0 | 坂井 瑠星 | 2:00.1 | 6 |
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37.5 | 462(+4) | 矢作 芳人 | 15 |
ハロンタイム | 12.8 - 11.4 - 11.5 - 11.6 - 11.7 - 11.6 - 11.3 - 11.1 - 11.3 - 11.9 |
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上り | 4F 45.6 - 3F 34.3 |
2コーナー | 5(10,7)12(2,9)(4,15)(13,16)(11,14)-6(3,8)-1 |
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3コーナー | 5,7(10,12)9(2,16)15(4,13)(11,14)-(6,8)3,1 |
4コーナー | 5,7(10,9)(2,15)(12,16)(4,14)13,11(6,8)3-1 |
勝馬 | アーモンドアイ [牝4・鹿毛] 父:ロードカナロア 母:フサイチパンドラ |
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馬主 | 有限会社 シルクレーシング |
生産地 | 北海道勇払郡安平町 |
生産牧場 | ノーザンファーム |
戦績 | 10戦8勝 (内中央) 9戦7勝 (内海外) 1戦1勝 |
獲得賞金 | 1,297,811,900円 (内中央) 902,111,000円 (内海外) 395,700,900円 |
主な勝鞍 | 重賞7勝目(海外含む) 2018年 日刊スポーツ賞シンザン記念(GⅢ) 2018年 桜花賞(GⅠ) 2018年 優駿牝馬(GⅠ) 2018年 秋華賞(GⅠ) 2018年 ジャパンカップ(GⅠ) 2019年 ドバイターフ(G1)〔ドバイ〕 |
騎手 | C.ルメール:3勝目 2018年(秋) レイデオロ 2019年(春) フィエールマン |
調教師 | 国枝 栄:2勝目 2009年(春) マイネルキッツ |