今週の注目レース

トップスプリンターが一堂に会する秋のGI シリーズ開幕戦!「第46回 スプリンターズステークス(グローバルスプリントチャレンジ)」
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出走馬情報

カレンチャン

前走のセントウルSは、高松宮記念(1着)以来5か月半ぶりの実戦で、馬体重(504キロ)はプラス22キロと大幅な増加。数字ほど太くは映らなかったものの、やや緩さを残す体つきだった。それでも前半から持ち前のスピードを発揮し、前半3ハロン33秒2のハイペースを2番手で追走。ゴール前で脚色が鈍って0秒1差の4着に敗れたが、逃げたマジンプロスパーが11着に大敗したことを考えれば、この馬の地力は示したと言えるだろう。これまで2か月以上の休養明けは〔1・1・1・3〕に対し、休養明け2戦目は〔4・0・0・0〕。実戦を一度叩かれるとガラリと良化するタイプなのは明らかだ。また、斤量が前走の56キロから1キロ減って55キロになるのも好材料。スプリント女王にふさわしい走りが期待できるだろう。

 

ロードカナロア

春のスプリント王を決める3月の高松宮記念では、5連勝の勢いを買われて堂々の1番人気に支持された。1枠1番からのスタートで道中は終始インぴったりを走り、直線でやや窮屈な競馬になって追い出しが遅れ、優勝馬カレンチャンから0秒1差の3着に惜敗。しかし、GI 初挑戦としては悲観する内容ではなかった。その後も2戦続けて2着と惜敗が続いているが、前々走の函館スプリントSは直線で前の馬が壁になって外に持ち出すロスがあり、やや追い出しが遅れた印象。前走のセントウルSは、好位追走から早めに動いて先行勢を力でねじ伏せ、抜け出したところを1着馬エピセアロームに強襲されたもので、勝ちに等しい内容と言えるだろう。その2戦はいずれも約2か月半の休養明け。中2週で臨む今回は、さらに強い姿を見せてくれるはずだ。

 

エピセアローム

重賞2勝目を飾った前走のセントウルSは、芝・短距離界の現役最強クラスが揃っていたために6番人気と評価は低かったが、先行集団の後ろでスムーズに流れに乗り、1番人気のロードカナロア(2着)をゴール寸前で鮮やかに差し切った。上位人気を集めたロードカナロア、マジンプロスパー(11着)、カレンチャン(4着)の56キロより4キロも軽い52キロという斤量面の恩恵はあったが、優勝タイム1分07秒3、上がり3ハロンタイム33秒4(推定)はいずれも優秀。3歳牝馬の身ながら、古馬の一線級相手に堂々たる勝ちっぷりと評価すべきだ。斤量は前走の別定から今回は定量に変わるが、4歳以上のライバルたちよりも2〜4キロ軽い53キロで出走できる。前走の再現も十分にあるだろう。

 

パドトロワ

最終戦のセントウルSを待たずして『サマースプリントシリーズ』チャンピオンのタイトルを確定させた前走のキーンランドCは、見どころ十分の内容。2枠2番からのスタートで二の脚を利かせてハナへ立ち、2ハロン目が10秒5、3ハロン目からゴールまで各ハロン11秒台前半の速いラップを続けて押し切った。ゴール前は2着馬ダッシャーゴーゴーと首の上げ下げの接戦になったが、ハナ差先着。自らペースを作って1分07秒6のコースレコードでの勝利も素晴らしいが、競り合いで勝負強さを披露した点も大きな収穫と言える。スプリンターズSが初秋に移行した2000年以降は、昨年の優勝馬カレンチャンをはじめ、夏場を順調に使われて、好成績を挙げた馬の活躍が目立つ。今年の出走馬の中で、このパターンにピタリと当てはまるのがこの馬だ。

 

ダッシャーゴーゴー

前走のキーンランドC(2着)は好スタートを決め、4番手でインのポケットという絶好のポジションをキープ。直線では少し前が狭くなりかけたが、パドトロワ(1着)とテイエムオオタカ(3着)の間を割って迫力満点の伸び脚を披露。逃げ込み態勢に入ったパドトロワにハナ差届かなかったものの、ゴール前の勢いは完全に上回っており、あらためて地力の高さを示した感がある。重馬場で行われた4走前のオーシャンSで9着に完敗しているが、向正面で外から寄られてバランスを崩す不利があってのもの。同じ重馬場で行われた前々走のCBC賞では、トップハンデの59キロを背負って1着馬マジンプロスパーから0秒2差の3着に入っており、馬場が渋っても割り引く必要はないだろう。

 

マジンプロスパー

2番人気で11着に敗れた前走のセントウルSは、先手を奪ったものの2番手のカレンチャン(4着)に終始マークされ、息の入らない逃げになってしまった印象が強い。それでも、1着馬エピセアロームとのタイム差は0秒6で、約2か月の休み明けだったことを考慮すれば、着順ほど内容は悪くない。芝を使われるようになった昨年6月の1000万下(阪神・芝1400m)以降、戦績は1着→6着→1着→4着→1着→8着→1着→5着→1着→11着。見事なまでに快勝と敗戦を繰り返してきており、今回は“走る順番”かもしれない。前々走のCBC賞は、重馬場で1分08秒7のコースレコードをマークして優勝。道悪になれば、さらにチャンスが広がる。

 

ラッキーナイン

国際G1 のタイトルは昨年暮れの香港スプリント(シャティン・芝1200m)のみだが、今年3月に遠征したドバイゴールデンシャヒーン(メイダン・オールウェザー1200m)でも、世界中から集結したスピード自慢を相手に3着と健闘。スプリント部門で世界トップクラスの実力を持つ。前半はじっくりと脚を溜め、ゴール前で鋭く追い込むのがこの馬の好走パターンだ。こうした脚質のため、昨年のスプリンターズS(5着)に限らず、地元の香港でも前が詰まって脚を余したレースは少なくない。いかにロスなく馬群を捌けるかが、好走のポイントと言える。今回は安田記念(11着)以来約4か月ぶりの実戦になるが、2か月以上の休み明けでは〔2・1・1・0〕の好成績。久々でも力を発揮できるタイプだけに、侮れない。

 

リトルブリッジ

昨年暮れの香港スプリント(シャティン・芝1200m)では、優勝馬ラッキーナインから2馬身差の4着に敗れたが、カレンチャン(5着)には1/4馬身先着している。6歳を迎えた今年は最初の2戦で7着、6着と好結果を出せなかったが、その後、一気に本格化した。3走前のバウヒニアスプリントT(同・芝1000m)と前々走のスプリントC(同・芝1200m)を連勝、勢いに乗って英国遠征した前走の国際G1・キングズスタンドS(アスコット・芝1000m)は好位追走から直線残り200m地点で抜け出して優勝。短距離界における世界トップクラスの仲間入りを果たした。環境に慣れさせるために9月11日と早めに来日(他の2頭は20日来日)しており、その後の調整も入念。今年の海外馬3頭の中で最も勝負気配が漂っている。

 
下半期の芝の短距離王を決めるスプリンターズSは、1999年までは暮れの中山開催で行われていたが、2000年の番組改革で初秋の中山開催に移行。秋のGI シリーズ開幕を告げる一戦という位置付けになり、今年で13年目を迎える。2005年にスタートした『グローバルスプリントチャレンジ』に組み込まれてからは海外馬の参戦も目立つようになり、過去7年で3頭が優勝している。今年も、香港とシンガポールから計3頭の強豪が参戦を表明。一方、迎え撃つ日本馬も芝・短距離部門のトップクラスが一同に集結した。中山・芝1200mを舞台に、ワールドクラスのハイレベルな戦いが繰り広げられる。

日本馬の大将格は、JRA史上初となる芝のスプリントGI・3連覇の大記録を狙うカレンチャン(牝5・安田隆行)。4歳時の昨年に本格化し、1600万下の山城S(京都・芝1200m)→阪神牝馬S→函館スプリントS→キーンランドC→スプリンターズSと、破竹の5連勝でGI 初制覇を成し遂げた。その後に遠征した国際G1・香港スプリント(シャティン競馬場・芝1200m)は5着に敗れたが、2011年度のJRA賞最優秀短距離馬のタイトルを獲得。5歳を迎えた今年は、始動戦のオーシャンSは4着に敗れたが、続く高松宮記念では一変した走りを見せてGI・2勝目をマーク。5か月半の休み明けで臨んだ前走のセントウルSは4着に敗れたが、プラス22キロと大幅な馬体重の増加が響いた印象だ。ひと叩きされた今回は確実に調子を上げてくるだろう。

そのカレンチャンの強力なライバルとなりそうなのが、同じ安田隆行厩舎所属のロードカナロア(牡4)だ。通算成績は〔6・4・1・0〕とすべて3着以内の堅実な成績で、2011年の京阪杯、今年のシルクロードSと、芝1200mの重賞を2勝。唯一、連対を果たせなかった3走前の高松宮記念も、優勝したカレンチャンから僅か0秒1差の3着という大接戦だった。まだ底を見せていない印象があり、約3か月ぶりの実戦となった前走のセントウルSでは、アタマ差の2着惜敗ながら、カレンチャン(4着)に堂々と先着した。同厩舎の偉大な先輩をGI の大舞台でも破り、スプリント界の新しい王者として君臨する可能性は十分にある。

スプリンターズSの前哨戦であるセントウルSを鮮やかに差し切り、一躍、有力候補に躍り出たのがエピセアローム(牝3・石坂正)。春シーズンは牝馬クラシック戦線を歩み、チューリップ賞で2着に好走。桜花賞は15着、オークスも16着と、大舞台で好結果を出すことはできなかったが、今夏から芝の短距離路線に矛先を向けて、再びブレーク。前々走の北九州記念では後方待機から直線で大外を豪快に伸びて3着まで追い込むと、前走のセントウルSで昨夏の小倉2歳S以来となる重賞2勝目を飾った。芝1200mの距離に限れば〔2・0・1・0〕の好成績で、まだまだ成長が見込める3歳馬。未知の魅力に溢れている。

勢いと充実度なら、今年の『サマースプリントシリーズ』チャンピオンに輝いたパドトロワ(牡5・鮫島一歩)が一番だろう。昨年暮れに遠征した国際G1・香港スプリントで14着に大敗して以降はやや成績を落としていたが、前々走のアイビスサマーダッシュでは初の直線競馬を克服して重賞初制覇を達成。続く前走のキーンランドCも1分07秒6のコースレコードで連勝した。昨年のスプリンターズSは、キーンランドC3着からの臨戦で、9番人気の低評価を覆して1着馬カレンチャンから0秒3差の2着に好走。その当時よりも明らかにパワーアップした今なら、善戦以上の結果も期待できる。

ダッシャーゴーゴー(牡5・安田隆行)は、2010年のセントウルS、2011年のオーシャンS、CBC賞と、芝1200mの重賞を3勝。2010年のスプリンターズSでは、優勝馬ウルトラファンタジーからハナ差の2位で入線したが、走行妨害で4着に降着となった。2011年のCBC賞を制して以降、1年3か月以上も勝ち星から遠ざかっているが、最近の3戦は高松宮記念4着→CBC賞3着→キーンランドC2着と、強敵相手に接戦の連続。いつGI 制覇を飾ってもおかしくない実力の持ち主だ。この中間も引き続き上々の気配を保っており、今回も上位進出のチャンスは十分あるだろう。

マジンプロスパー(牡5・中尾秀正)は、3歳7月にJRAでデビューしたものの4戦して勝てず、その後は名古屋競馬に転出し、3戦2勝の好成績を挙げて同年11月にJRAに転入。4歳春に復帰したあとはグングン力を付けて勝ち星を積み上げ、秋にはオープンクラスまで出世してきた。特に今年に入ってからの充実ぶりは目を見張るものがあり、4走前の阪急杯、前々走のCBC賞と、芝の短距離重賞を2勝。CBC賞はコースレコードでのVだった。約2か月の間隔を取って臨んだ前走のセントウルSは、前半3ハロンが12秒0−10秒3−10秒9という速いラップで逃げる形になって11着に大敗したが、この1戦だけで見限るのは早計だろう。

ドリームバレンチノ(牡5・加用正)は、5歳を迎えた今年の春に素質が開花した1頭。4走前の福島民友C(福島・芝1200m)→3走前の安土城S(中京・芝1400m)とオープン特別を連勝したあと、前々走の函館スプリントSも勢いに乗って差し切り勝ち。3連勝での重賞初制覇となったこのレースでは、ロードカナロア(2着)、パドトロワ(4着)という芝の短距離部門のトップクラスに先着している。前走のキーンランドCでは7着に敗れているが、外枠(8枠13番)からのスタートで後手を踏み、終始外を回る距離ロスの大きな競馬になった印象。うまく立ち回れば、GI でも上位に食い込むチャンスはあるだろう。

フィフスペトル(牡6・加藤征弘)は、2011年の京成杯オータムH1着、2008年の朝日杯フューチュリティSと2011年のマイルチャンピオンシップでともに2着と、芝1600mでの好走歴が目立つが、芝1200mも〔2・0・0・1〕の好成績。メイクデビュー函館と函館2歳Sを連勝しており、昨年のスプリンターズSも4コーナーで包まれて追い出しが遅れるロスがあっての0秒5差6着。スプリントレースにも高い適性を示している。6歳とベテランの域に入ってきたが、地力はまだまだ健在。スムーズな競馬ができれば、侮れない。

サンカルロ(牡6・大久保洋吉)は、春シーズンの芝・短距離王を決める高松宮記念で、2011年・2012年と2年連続2着の実績を持つ。いずれも中団追走から直線で素晴らしい末脚を繰り出し、勝ち馬(2011年キンシャサノキセキ、2012年カレンチャン)を際どく追い詰めた。決め手の鋭さは、間違いなく現役トップクラスのものがある。前哨戦のセントウルSでは直線で伸び脚を欠いて14着と大敗を喫したが、当時は約4か月の休養明け。ひと叩きされた今回は、直線で追われてからの反応が変わってくるはずだ。

エーシンヴァーゴウ(牝5・小崎憲)は、2011年の『サマースプリントシリーズ』チャンピオン。その年はセントウルS1着でシリーズ優勝を決めたあとにスプリンターズSへ駒を進め、優勝馬カレンチャンから0秒3差の3着に好走した。今年は3走前のアイビスサマーダッシュで3着と地力健在をアピールしたものの、その後は前々走の北九州記念8着、前走のセントウルS6着と、ひと息の成績が続いた。昨年ほどの勢いは感じられないが、ここ2戦でも1着馬とのタイム差は0秒4、0秒3と、大きく離されておらず、能力が衰えた訳ではない。今回も善戦は十分に可能だろう。

3頭が参戦してきた外国勢の中で、日本での出走歴があるのは香港のラッキーナイン(せん5・C.ファウンズ)のみ。昨年秋に来日、セントウルSで2着に好走したあと、続くスプリンターズSは0秒5差5着に敗れたが、直線でまともに前が詰まってブレーキをかける不利があってのもの。香港に帰国して約2か月の休み明けで臨んだ香港スプリントではカレンチャン(5着)に雪辱して、国際G1 初勝利を飾っている。通算成績は〔9・7・5・5〕で、3着内率80.8%を誇る。日本の芝コースへの高い適性も示しているだけに、V争いに加わってきそうだ。

前走内容が最も優秀なのは、『グローバルスプリントチャレンジ』の第5戦に組み込まれている国際G1・キングズスタンドS(アスコット・芝1000m)を制して、ここに挑む香港のリトルブリッジ(せん6・C.シャム)。通算成績は〔10・2・1・7〕で、目下重賞3連勝中と上昇度は海外馬の中ではナンバー1だ。日本の芝コースへの適性はまったくの未知数だが、勢いと底力は侮れない。

シンガポールからの遠征となるキャプテンオブヴィアス(せん7・S.バリッジ)は、国際グレード競走での優勝歴がないために格的には見劣るが、相手なりに走れて大崩れはないタイプ。通算成績は〔15・4・3・8〕で、勝率50%をマーク。初めて経験する日本の芝コースで、隠れていた才能が発揮されるケースも考慮しておく必要はある。

(鳥谷越 明)

ご注意:当コーナーの情報は、制作段階の情報に基づき制作されております。出走回避などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。

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