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インターナショナルS(G1・イギリス)の舞台となるのはヨーク競馬場。ロンドンから北へ約320キロメートルに位置するノースヨークシャー州の都市である。
レース2日前には一瞬だけ降雨がみられたものの、翌日、つまりレース前日には雨粒が落ちることはなく、風もあったため馬場は回復。インターナショナルS当日はGood(良)の発表となった。
シュヴァルグラン(牡7歳。栗東・友道康夫厩舎)は前日に競馬場入り。当日の午前7時過ぎに出張馬房を出発すると、まず装鞍所からパドックという順でスクーリング。その後、馬場入りを許可された向こう正面で軽いキャンターを行い、できる限りの手は尽くす姿勢をうかがわせた。
午後3時35分の発走を前に出走9頭が装鞍所に現れる。装鞍時に多少イライラする姿勢を見せたのはリーガルリアリティとシュヴァルグラン。しかし、いずれも激しくイレ込むとまではいかず無事に装鞍を終えるとパドックへ移動。シュヴァルグランは馬場入り直前ではなく、比較的早目にメンコを外され、O.マーフィー騎手を背に時計回りのパドックを歩いた。馬場へは最後にジャパンとクリスタルオーシャンが入り、返し馬に移る。その後ゲート入りが始まり、最後にエラーカムが収まるとすぐにスタートが切られた。
舞台となったヨーク競馬場
ジャパンが力強く抜け出してG1連勝
予想通り先頭に立ったのはサーカスマキシマス。2番手がJ.ドイル騎手のクリスタルオーシャンでその後ろの内にエラーカム、外にはR.ムーア騎手騎乗のジャパン。さらに内に最内1番枠からスタートを切ったL.デットーリ騎手騎乗のキングオブコメディ。シュヴァルグランはそのすぐ外。マーフィー騎手はレース前に「スタートを決めてクリスタルオーシャンをマークしたい」と語っており、実際、好スタートを切れたが、直後にジャパンにヨラれてここまで番手を下げてしまった。ジャパンは直前の2戦では右へヨレる場面があったが、今回は左へ行ったことで、日本馬は後退せざるをえなくなったのだ。
シュヴァルグランの後ろのインはリーガルリアリティ、さらに後ろに芦毛のせん馬2頭、すなわちロードグリッターズとサンダリングブルーが続いた。
9頭は先頭から最後方まで8馬身前後の中に入ってコーナーへさしかかる。ここでまず動いたのがクリスタルオーシャンだ。ヨークの急なコーナーにもかかわらず大外を回りながらサーカスマキシマスに並びかけ、直線へ向いた。
例年、直線では各馬が外に行く傾向の強いこのレースだが、今年はクリスタルオーシャンがしっかりと内を突いたことで皆、インへ進路を取った。これが勝負にも影響した。早目に先頭に立ったクリスタルオーシャンのすぐ外へ出して追撃態勢をはかったジャパンに対し、ほぼ同じ位置で進めていたエラーカムの進路が無くなる。ラスト100メートルではジャパンが僅かにクリスタルオーシャンを交わし先頭へ。外から伸びてきたのはキングオブコメディで、一瞬、進路がなく追えなくなったエラーカムは、J.クローリー騎手に誘われてジャパンとキングオブコメディの間を突こうとする。しかし、時すでに遅く、その時にはジャパンが先頭でゴールへ飛び込み、アタマ差遅れの2着でクリスタルオーシャンもフィニッシュラインを越えていた。
エラーカムが3着で、伸びてきたものの最後に止まって差し返されたキングオブコメディはやはり距離が長かったか4着。首の高いフォームもあって、そんな競馬ぶりに見えた。
シュヴァルグランは残念ながら8着。直線入り口では早々に手応えが怪しくなったが、その後、差を詰めるシーンもあった。しかし、最後は伸びを欠いてしまった。
勝ち時計は2分07秒77。勝ったジャパンは、英ダービー(G1・イギリス)で鞍上が鞭を落としながらも3着。その後、イギリスのG2レースとパリ大賞(G1・フランス)を連勝してここに臨んで来た。そのレースぶりには目を見張るものがあったものの、破った相手が決して強いとは言えなかったこともあって、このインターナショナルSは試金石の一戦と思われたが、クリスタルオーシャンを破ったのだからジャパンに実力があったということであろう。オブライエン調教師は2014年のオーストラリア以来、これが同競走6勝目。R.ムーア騎手はこの競走2勝目で、初勝利だった2006年のノットナウケイトは自身初のG1制覇でもあった。指揮官は次走としてアイリッシュチャンピオンS(G1・アイルランド)への挑戦もほのめかした。
文:平松 さとし
名手ムーア騎手の手腕も相まって勝利を収めたジャパン
シュヴァルグランのイギリス遠征は6着、8着という結果だった
8着 シュヴァルグラン 友道 康夫 調教師のコメント
「馬は一生懸命走ってきてくれました。コンディションも良かったですが、少しペースが合わなかったようです。ポジションが予定よりもちょっと後ろになってしまって、もう少しペースが流れてほしかったのですが、ヨーイドンの競馬になってしまい、長所である長くいい脚が使えなかったです。今日は天候も馬場も良くてこの馬に合っていると思ってすごく期待していたので残念な結果で申し訳なかったですが、また次のチャレンジをしていきたいと思います。」
8着 シュヴァルグラン O.マーフィー 騎手のコメント
「ゲートの出は良くて、勝ったジャパンの後ろにつけて道中は進めました。馬自身は頑張っていましたが、ペースがそこまで速くなかったので、もっとペースが流れて欲しかったこの馬にとっては厳しかったです。応援してくださったファンの皆様ありがとうございました。皆様が期待していた結果ではありませんでしたが、またトライします。」
2019年8月21日(水) ヨーク競馬場(イギリス) | ||
4R |
第48回 インターナショナルステークス(G1) |
3歳以上,定量 | 2050m 芝・左 | |||
賞金総額 | : | 1,000,000ポンド | 発走 15:35 (現地時間) | |
1着賞金 | : | 567,100ポンド | 芝:良 |
着順 | 馬番 (ゲート) |
馬 名 (生産国) | 性 齢 |
負 担 重 量 |
騎手 | タイム ・ 着差 |
馬 体 重 (kg) |
調教師 (調教国) | 単 勝 人 気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 8 (07) | ジャパン(GB) | 牡3 | 56.5 | R.ムーア | 2:07.77 | A.オブライエン(IRE) | 3 | |
2 | 2 (04) | クリスタルオーシャン(GB) | 牡5 | 60.0 | J.ドイル | アタマ | M.スタウト(GB) | 1 | |
3 | 3 (02) | エラーカム(GB) | 牡4 | 60.0 | J.クローリー | 1 | M.ジョンストン(GB) | 5 | |
4 | 9 (01) | キングオブコメディ(IRE) | 牡3 | 56.5 | L.デットーリ | 3/4 | J.ゴスデン(GB) | 2 | |
5 | 5 (08) | リーガルリアリティ(GB) | 牡4 | 60.0 | R.キングスコート | 1 3/4 | M.スタウト(GB) | 7 | |
6 | 4 (09) | ロードグリッターズ(FR) | せん6 | 60.0 | D.タドホープ | クビ | D.オメーラ(GB) | 8 | |
7 | 7 (06) | サーカスマキシマス(IRE) | 牡3 | 56.5 | D.オブライエン | 3/4 | A.オブライエン(IRE) | 6 | |
8 | 1 (05) | シュヴァルグラン(JPN) | 牡7 | 60.0 | O.マーフィー | 1 1/4 | 友道 康夫(JPN) | 4 | |
9 | 6 (03) | サンダリングブルー(USA) | せん6 | 60.0 | J.ワトソン | 3 1/2 | D.ムニュイジエ(GB) | 9 |
単勝 | 8 | 760円 | 3番人気 | 馬連 | 2-8 | 380円 | 1番人気 | 馬単 | 8-2 | 1,250円 | 6番人気 |
複勝 |
8 2 3 |
150円 100円 150円 |
3番人気 1番人気 4番人気 |
ワイド |
2-8 3-8 2-3 |
190円 530円 220円 |
1番人気 9番人気 3番人気 |
3連複 | 2-3-8 | 730円 | 2番人気 |
3連単 | 8-2-3 | 5,580円 | 19番人気 |
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