海外競馬発売

コックスプレート(G1)

ムーニ―バレー競馬場 2040メートル(芝)3歳以上

発売開始時刻
日本時間10月26日(土曜)
ネット投票:午前8時00分
UMACA投票:午前9時20分または午前9時30分
発走予定時刻
日本時間10月26日(土曜)午後2時55分

2019年コックスプレート
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日本馬リスグラシューが1番人気に応えて優勝。クルーガーは13着

現地時間26日、オーストラリア、ムーニーバレー競馬場。オーストラリアの若き女性オペラ歌手A.V.マアネン氏のボーカルでメルボルン少年少女合唱団とファンが、この地の人なら誰もが知る名曲“The Horse”を合唱。その約15分後、コックスプレートが行われた。

昨年から大幅に増額された総賞金は500万オーストラリアドル。そのうち勝ち馬には300万オーストラリアドルと競馬場の創設者であるW.コックスの名が彫られた計5万ドル相当のプレートがオーナー、調教師、騎手、厩務員に贈呈される。また、指定レースを勝ち上がって来た馬たちにはこれとは別にボーナスが用意されており、宝塚記念(GⅠ)勝ちのリスグラシュー(牝5歳。栗東・矢作芳人厩舎)が勝った場合、先述の賞金とは別に200万オーストラリアドルが支払われることになっていた。しかし、高額賞金レースに強い馬が集まるのは道理。果たしてそう簡単にボーナスを掌中に収めることができるのか?! 興味深い一戦となった。

  • 名曲“The Horse”の合唱で会場を盛り上げる
    メルボルン少年少女合唱団

  • 優勝馬の関係者に贈られるコックスプレート
    (写真は2020年のもの)

当日は朝から間欠的に雨の落ちる天候。時に強く、時に弱く降ったかと思えば陽光が降り注ぐ時間帯もある。そんな空模様ではあったが、馬場状態は競馬場側が常に目標としているGood4(稍重)。そんな条件下で日本馬2頭を含む14頭が栄誉あるプレートを懸けて覇を競った。ここ3年間の同競走は10、8、8頭立て。“クイーンオブザバレー(ムーニーバレー競馬場の絶対女王)”と呼ばれたウィンクスがいたため、少頭数になっていたが、今年は彼女がいないこともあり、4年ぶりにフルゲートになったのだ。
そんな彼女を称え、第4レース終了後には“ウィンクストリビュート”と銘打たれた催しが開催された。昨年まで史上初となる4年連続でのコックスプレート制覇という偉業を成し遂げたウィンクスを称え、共同馬主マジックブラッドストックレーシングの一員であり名物女性オーナーのD.ケピティス氏やP.タイ氏、また、主戦騎手だったH.ボウマン騎手らが改めて紹介されたのだ。

  • 馬場状態はGood4(稍重)。メルボルン市街を望むムーニーバレー競馬場

  • レース前に行われたジョッキー紹介

勝ち馬欄にズラリと並ぶ“WINX”という4文字に、今年、名を連ねるべく海を越え南下したリスグラシューが、JRAプールだけでなく、地元でも1番人気に支持された。
「プレッシャーを感じ、3日間、まともには眠れませんでした」と語る矢作調教師は、スタート後、後方10から11番手に下げられた愛馬の姿を見て「さすがに少し不安を感じた」とも言った。

序盤、先行争いをしたのはアイルランドの伯楽A.P.オブライエン調教師が送り込み、R.ムーア騎手が手綱をとるマジックワンドと地元のブラックハートバート。その少し後ろ、5番手を日本のクルーガー(牡7歳。栗東・高野友和厩舎)。同馬は、スタート前にゲートの中で立ち上がったため、1度ゲートを出され検査。「異常なし」ということで出走していた。さらに少し遅れた馬群の真ん中に南半球産の3歳牡馬ということで49.5キログラムの負担重量で出走したキャステルヴェキオ。

リスグラシューは終始後方の10から11番手で、ヨーロッパから参戦のダンステリアがほぼ並走。昨年このレースで大怪我を負い競走中止しながらも見事に今年復活しG1馬となったキングズウィルドリームがさらに後ろ、ニュージーランドのテアカウシャークが最後方という隊列。序盤は1ハロン11秒台のラップを刻みながら、3コーナーを過ぎ4コーナーへ向かった。

  • ポジションを取り合う各馬(1周目のスタンド前)

  • 好位につけるクルーガー(中央、緑帽)と後方につけるリスグラシュー(赤帽)

ムーニーバレー競馬場はこの3から4コーナーが長い。競馬場を上空から俯瞰して見ると長方形に近い形。この短い辺にあたる箇所にゴールが設置されているため、1コーナーから2コーナー、3コーナーから4コーナーがそれぞれ長い直線で結ばれているのだ。矢作調教師はこのコース形態について、レース後に次のように語った。
「(パリロンシャン競馬場の)フォルスストレートみたいなもの。ここでうまく勢いに乗れれば何とかなると思った」

実際、レーン騎手に促されたリスグラシューはここで徐々に前との差を詰めて行く。4コーナーで先頭はマジックワンド。馬場の真ん中を上がってきたキャステルヴェキオはクルーガーをかわす際、軽く接触。もっともクルーガーのT.ベリー騎手はレース後に「あれが敗因ではない」と語った。内に潜り込んで一気に番手を上げたのがテアカウシャーク。対照的に外から上がってきたのがリスグラシュー。さらに外にいたダンステリアはギブアップするように急失速。レース後には肺出血が認められた。

173メートルしかない最後の直線は早目に抜け出したキャステルヴェキオが栄冠をつかむかと思えたが、その外から内へササり気味ながらも一気に伸びるリスグラシューの脚色が違う。ラスト100メートル付近で先頭に立ち手前を替えると、あとはもうこのハーツクライ産駒の牝馬の独擅場。結果、2着のキャステルヴェキオとは1.5馬身差だったが、着差以上に圧勝といえる競馬ぶりで宝塚記念からのGⅠ連勝を異国の地で飾ってみせた。勝ち時計は2分04秒21。レース後の表彰式では日本語で“受取リスグラシュー、金額3億7500万円”と書かれたボードが関係者に手渡された。

  • 直線一気に抜け出すリスグラシュー

  • ゴール前は流す余裕も見せて優勝したリスグラシュー

2着のキャステルヴェキオは先述した通り3歳ということでリスグラシューより7.5キログラムも軽量。2013年には9戦未勝利の3歳馬シェイマスアワードがこの大舞台で優勝したわけだが、やはりこの斤量差は南半球産の3歳馬にはかなり有利に働くケースもあるようだ。今季絶好のスタートを切ったC.ウィリアムズ騎手の好騎乗もあったが、管理馬が200頭を超える厩舎も当たり前の中、わずか22頭の預託馬の中から南半球最大の中距離戦で2着馬を出したR.リット調教師は笑みを隠そうとしなかった。

さらに2馬身遅れた3着がテアカウシャーク。こちらはキャリアの中で初めてパドックだけメンコ(耳覆い)をしたが、それが奏功した。マジックワンドは先行勢の中では最先着といえる4着。地元オーストラリアのオッズでは2番人気だったミスティックジャーニーが5着。クルーガーは大きく失速して13着。レース後には獣医による検査が入り、ノドに疾患が認められたため、再びレースをする際は獣医師の許可が必要との裁定が下された。

メールドグラースで勝利したコーフィールドC(G1・オーストラリア)に続き、日本馬とのコンビで2週連続大仕事をやってのけたレーン騎手。コックスプレートはこれが自身初の制覇。「1週前にスクーリングをしたおかげで、その時より落ち着いていたし、少しササッたコーナーリングも調教の時よりは上手に回れた」と語った。

日本馬初の当レース優勝という偉業を達成した矢作調教師は、37年前にオーストラリアのネヴィル・ベッグ厩舎で働いていた時期があった。その際、メルボルンに飛び、コックスプレートを観戦したそうだが、この時の勝ち馬が、当時としては史上初となる3連覇を達成したキングストンタウン。同馬は実況で「今年はもうノーチャンス!!」と叫ばれるほど道中、厳しい態勢から巻き返したのだが、それを思えばリスグラシューの実力なら、今回はまだ余裕のある位置だっただろう。レース後、矢作調教師はかつての師匠の子息にあたるグラハム・ベッグ現調教師と満面の笑みで喜びを分かち合った。

  • 2週連続で日本馬を勝利に導いたレーン騎手

  • 矢作調教師とグラハム・ベッグ調教師

「2度の香港遠征などで経験を積み、以前では考えられないくらい落ち着いてレースに臨めるようになった。この成長が大きい」
矢作調教師はそう言う。実際、レース後の口取りの際は人に囲まれようが、周囲でシャッター音がバシャバシャ鳴ろうが我関せず。馬を扱ったことのない女性でも引っ張れるのではないか? と思うくらい、堂々としてみせた。

ムーニーバレー競馬場はメインスタンドの位置を長方形の長い辺の位置へ移動する工事が予定されており、最後の直線が317メートルという新しい舞台に生まれ変わる。矢作調教師としては、37年前に見たのと同じ直線173メートルのこの舞台で戴冠できたことも良かったのではないだろうか。

文:平松 さとし

  • リスグラシュー関係者(口取り)

  • コックスプレートを手にとる矢作調教師とレーン騎手(表彰式)

1着 リスグラシュー 矢作 芳人 調教師のコメント
「道中の位置取り的にかなり厳しいと思っていたので、馬が強いとしか言いようがありません。馬の強さに感心していますし、嬉しすぎて涙が出ないです。次走としては、絶対ではないですけれども有馬記念を目標にという風に考えています。馬や応援してくれた全ての人に感謝しています。」

1着 リスグラシュー D.レーン 騎手のコメント
「良いスタートを切ることが出来ましたが、最初のコーナーまでペースが早かったので、無理にポジションを取りに行くことよりも折り合いに専念しました。4コーナーで外に出したときに、素晴らしい脚を出してくれたので勝利を確信しました。リスグラシューは1番人気でオーストラリアでも話題になっていたので、期待に応えられて良かったです。」

13着 クルーガー 高野 友和 調教師のコメント
「この馬のことをよく知っているジョッキーなので、大きな指示は出さずに任せていました。スタートも決まりましたし、前の位置取りも取れたので、レースの進め方には不満はありません。次走としては何もなかったらオーストラリアでもう一走しようかなと思っていましたが、馬体を見て決めていきたいです。」

13着 クルーガー T.ベリー 騎手のコメント
「今日は下見所や返し馬でも馬のテンションが低かったので、レース前は心配していました。好スタートを切って流れも良かったのですが、道中はあまり手応えが良くありませんでした。ムーニーバレー競馬場の独特のコースが合っていなかったのかもしれません。」

  • リスグラシュー

  • クルーガー

  • パドックで騎乗の合図を待つベリー騎手(左)とレーン騎手(右)

2019年10月26日(土) ムーニーバレー競馬場(オーストラリア)

9R

第99回 コックスプレート(G1)

3歳以上,定量 2040m 芝・左
賞金総額5,000,000豪ドル 発走  16:55 (現地時間)
1着賞金3,000,000豪ドル 芝:稍重
着順 馬番
(ゲート)
馬 名 (生産国)



騎手 タイム ・
着差



(kg)
調教師 (調教国)


1 9 (11) リスグラシュー(JPN) 牝5 57.0 D.レーン 2:04.21 矢作 芳人(JPN) 1
2 14 (03) キャステルヴェキオ(AUS) 牡3 49.5 C.ウィリアムズ 1.5 R.リット(AUS) 3
3 7 (14) テアカウシャーク(NZ) せん5 59.0 O.ボッソン 3.5 J.リチャーズ(NZ) 11
4 10 (02) マジックワンド(IRE) 牝4 57.0 R.ムーア 3.9 A.オブライエン(IRE) 2
5 12 (05) ミスティックジャーニー(AUS) 牝4 55.5 A.ダルマニン 4.1 A.トリンダー(AUS) 4
6 6 (13) キングズウィルドリーム(IRE) せん5 59.0 H.ボウマン 6.6 C.ウォーラー(AUS) 10
7 2 (06) アヴィリオス(GB) せん5 59.0 K.マカヴォイ 7.1 J.カミングス(AUS) 5
8 4 (01) ハーレム(GB) せん7 59.0 D.ダン 7.85 D&Bヘイズ&T.デイバーニッグ(AUS) 14
9 1 (10) ブラックハートバート(AUS) せん9 59.0 B.ローウィラー 8.05 L.スミス(AUS) 13
10 11 (07) ケープオブグッドホープ(IRE) 牡3 56.5 M.ザーラ 8.35 D&Bヘイズ&T.デイバーニッグ(AUS) 6
11 5 (12) ホームズマン(USA) せん5 59.0 B.メルハム 8.45 L.ハウリー(AUS) 12
12 13 (04) ベリーエレガント(NZ) 牝4 55.5 J.マクドナルド 10.45 C.ウォーラー(AUS) 8
13 3 (08) クルーガー(JPN) 牡7 59.0 T.ベリー 12.45 高野 友和(JPN) 7
14 8 (09) ダンステリア(FR) せん4 59.0 J.スペンサー 20.2 D.ムニュイジエ(GB) 9
取消 15  ヒューミドール(NZ) せん7 59.0 B.シン C.マー&D.ユースタス(AUS)
取消 16  ミスタークイッキー(AUS) せん4 57.5 G.ボス P.ストークス(AUS)
取消 17  ゲイローチョップ(FR) せん8 59.0 D.オリヴァー M.ウィリアムズ(AUS)
取消 18  ドリームキャッスル(GB) せん5 59.0 P.コスグレイヴ S.ビン・スルール(GB)
 着差は1着馬からの着差を表しております(馬身表示)。
払戻金
単勝 9 170円 1番人気 馬連 9-14 1,110円 2番人気 馬単 9-14 1,440円 3番人気
複勝 9
14
7
110円
230円
680円
1番人気
3番人気
10番人気
ワイド 9-14
7-9
7-14
430円
1,540円
3,840円
2番人気
16番人気
34番人気
3連複 7-9-14 12,540円 34番人気
3連単 9-14-7 40,200円 112番人気

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